【ワンワン!!!】吠えている理由の見分け方
犬が吠えて困る、っていうご相談は本当に多いです。実はうちの犬もトレーニングを始める前は、吠えるのがお仕事っていうくらい、いつも吠えまくってました。
吠えているとご近所迷惑にもなるし、すぐに止めてほしいって思いますよね。でも実は止め方は原因によって異なってきます。なので、まずは原因の特定方法の考え方をご説明します。。
1.吠える原因ってどんなことがあるの?
犬が吠えているとき、大きく分けて「何かを要求したいとき」「攻撃しているとき」に分類されることが大きいかな、と思います。
例えば
【何かを要求しているとき】
ご飯が欲しい → 吠える
飼い主さんと遊びたい → 吠える
【攻撃しているとき】
チャイムがなった → 吠える
他の犬が通った → 吠える
掃除機をかけた → 吠える
よく飼い主さんがおっしゃるのは、「興奮しているとき」に吠えるということなのですが、それでは原因の特定にはならないです。「何に」興奮しているのか、それが「好き」なものなのか、「嫌い」なものなのか、というのをまずは考えてみるのがコツです。
また、他の犬が好きで遊びたくて吠えてるんだ、という話もよく聞きます。でも犬の様子、ボディーランゲージを見ていると、どうも好きでなさそうという場合もあります。攻撃行動で吠えている場合は、「歯をむき出す」「花にシワを寄せる」「うなる」「対象物をじーっと見る」なんていう行動も見受けられます。
2.要求吠えをやめさせるには?
何かが欲しくて吠えている場合、そのものをあげれば吠えるのをやめてくれます。ですが、一方で、それをしてしまうと、犬は吠えればもらえると学習して、もっと吠えるようになります。
ご飯が欲しい → 吠える → ご飯がもらえる
このルールが一回でも成立してしまうと、次もご飯が欲しくなったら吠えればいいんだ、ご飯がもらえるんだ、っていうルールが勝手に犬の脳内に書き込まれてしまいます。なので、要求吠えをしているときは、一切無視をする、というのが一番効果的です。
ご飯が欲しい → 吠える → 何ももらえない
となると、「吠えても意味がないんだ」と学習され、このルールは犬の脳内で意味を持たなくなっていきます。
さらに効果的なのは、代わりとなる良い行動を教えるということです。動物行動学の用語では代替行動強化といいますが、代わりにとってほしい行動を教えていくのです。
例えば遊んでほしいんだったら、おもちゃを持ってきて吠える代わりに、飼い主さんの隣に座ってほしいですよね。なので、吠え始めたらすぐにオスワリのシグナルを出します。オスワリをしてくれたら、褒めて遊んであげます。そうすると
遊んでほしい → 吠える → 遊んでくれない
遊んでほしい → オスワリ →遊んでくれる!!
という学習が進み、誤ったルールがどんどん上書きされていきます。ちょっと大変なのはオスワリしたら、必ず遊んであげなきゃいけないってところですが、これはとっても効果があります。1時間も練習すればすぐに吠えなくなる犬が多いです。
3.要求吠えでも無視してはいけない場合は?
一方、要求吠えでも無視が効果的でない場合というのがあります。それは不安や恐怖に関わる要求吠えで、吠えが10分以上継続する場合です。
このクレートから出してほしい → クレートから出してと吠える
飼い主さんがいなくて不安 → 帰ってきてと吠える
これらは「好きなものがほしい」というより、「嫌なものをなくしてほしい」という状態で、犬の心理的には不安や恐怖がとても高い状態です。特にパニック状態になっていて、吠えだけでなく、クレートに体をぶつけたり、ケージの中でぐるぐる旋回したり、異常行動をとっていることがあります。このレベルまでいってしまったら、犬の安全を守るためにもすぐに犬の嫌がることをやめましょう。
クレートから出してほしい → 吠える → 出してもらえる
飼い主さんがいなくて不安 → 吠える → 飼い主さんが帰ってくる
という学習が成立するリスクはあります。ですが、不安や恐怖を小さくして、「クレートが好き」「お留守番が好き」という状態にしてあげることが先決です。でないと、どんどん不安や恐怖が大きくなってしまって、いわゆる分離不安、閉所恐怖症などの不安症の犬になってしまいます。
実はこうした不安や恐怖の改善というのはとっても難しいんですよ・・・なので、絶対に無理をしない、というのが大事です。
4.攻撃行動をやめさせるには?
犬の攻撃行動には様々な種類があるのですが、実は一番多いのは不安や恐怖に関わる攻撃行動です。
・縄張り性攻撃行動
・見知らぬ犬や人間に対する攻撃行動
・所有性攻撃行動
・食物関連性攻撃行動
これらすべてが不安や恐怖に伴う攻撃行動です。
縄張りに人が入ってきた・・・不安
わたしのおもちゃ取られちゃう・・・不安
食べ物、他の犬に取られちゃう・・・不安
あの犬怖い、知らない人間怖い・・・不安
ついつい攻撃行動と聞くと、争っているとか、優位性の問題何じゃないかと思う飼い主さんがいるのですが、実はそんなことありません。犬にとって大事な「自分の家」「安心できる空間」「自分のおもちゃ」「自分のたべもの」こういったものを奪われることの反応として攻撃行動が出ている事が多いんです。
なので、絶対にやってはいけないのは、「叱る」ということ。他の犬が怖くて吠えているときに、叱ってしまったら余計犬にとって嫌な体験が積み重なりますよね。次他の犬を見たときに、もっともっと不安が育ってしまいます。
他の犬 → 怖い → 吠える → 飼い主さんが叱る → 他の犬ってやっぱり怖い、絶対イヤなことある
っていう学習が進んでしまいます。なので、こういうときは、恐怖の対象物を見かけたら美味しいものを上げてください。おもちゃで遊んでもいいです。
他の犬 → 怖い → ご飯がもらえる → あれ?楽しいことある?
ていう経験をどんどんつませて、吠えなくてもいいんだ、あの犬ってご飯の合図なのね、って思わせちゃったほうがいいです。そうすると、徐々に吠えが収まっていきます。
4.一刻も早く止めなきゃいけない攻撃行動
吠えどころではなく、咬んだりしてしまうような攻撃行動がでたら、非常に危険ですので、その恐怖の対象や行動を避けるということをおすすめします。
犬に咬み付く場合は、他の犬似合うような時間帯の散歩は避ける
人が来ると咬み付く場合は、来訪者があるときはどこかに預ける
ものを取り上げるときに咬み付く場合は、もう取り上げない
まずは人間や他の犬の安全を確保することが大事です。その上で、お近くのドッグトレーナーに問題行動を相談しましょう。犬は咬み付くくらい恐怖や不安でパニックになっているということです。残念ながら、人間が想像している以上に深刻な症状です。トレーナーの方と一緒にトレーニングして半年で良くなる犬もいれば、何年もかかる犬もいます。こればかりは犬の恐怖の大きさに比例するので、一概に良くなるとも、言えないものです。
それでもワンちゃんの生活を良くしていくために、問題行動改善にチャレンジできるといいな、と思います。
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