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先輩に可愛がられない、甘え下手な人へ

私は昔から、年上に好かれない人間だと感じながら生きてきました。
親の教育のおかげか、わりと礼儀正しく育ってしまったので、なんというか、距離を詰められないのです。
敬語を使うのはもちろん、不躾な質問をしてはいけない、あまりプライベートに深く踏み込んではいけない、相談ごとも重くない程度にしなければならない……
そんな風に気を遣いながら年上と接してきました。
加えて、初見だとしっかりしてそうに見えるらしく、いわば「いじりにくい」キャラクターなのだと思います。
(ただ、実際はそんなことないのでだんだんメッキが剥がれていくのですが)

いつからそう感じるようになってしまったのかと振り返ってみると歴史は深く、小学生の頃に遡ります。
参加していたバスケットボールチームの同学年に、小柄で可愛いミカちゃんという女の子がいました。
ツインテールが似合って、明るく甘え上手で、いつも上級生から可愛がられるミカちゃん。
一方、身長が高め(当時)で周りからは「しっかりしてそう」な見た目の私は、同じミスをしてもミカちゃんより明らかに厳しく怒られていました。
そんな幼少期の刷り込みもあってか、私は年上(特に女性)からは好かれないんだな、と思うようになった気がします。

時は進んで社会に出てからのこと。大人になっても根本の性格は変わらないもので、仲良くなりたいと思う先輩(男女関係なく)がいても、嫌われないようにしなければと思えば思うほど何を話せばいいか分からず、距離を縮めることができずにいました。
しかしそのハードルを軽々と飛び越えて先輩に積極的に話しかけ、いじられて笑いを生み出し、果てには人生相談して途中で泣き出したりする、まさに「可愛がられ上手」な子がいました。

その子とは仲が良かっただけに、近くで見ていてコンプレックスは募るばかりでした。同い年なのに、扱われ方がこうも違う。

なんで自分は素直に甘えられないんだろうか。
先輩に好かれるような可愛い性格の子になれないんだろうか。
そんな風に羨んでみても性格がそう簡単に変わるわけはなく、
さらに時は進んで気が付けば30歳を超え、いつの間にか自分が後輩を持つ立場になりました。


で、最近、あれ?って思ったんです。
「可愛い後輩」って、話しやすい子でもなければいじりやすい子でもないなって。

職場にはたくさん年下の後輩がいて、もちろんよく喋る、話しやすい、いわばいじりやすい子もいるし、かたや礼儀正しく適切な距離を保って積極的には話しかけてこない子もいます。

でもじゃあ、よく喋る子の方が可愛くて好きかと言われると、そんなことはなく、両方とも可愛いし、好きだし、良い子だなと思う。
もしも相談に乗ってほしいと言われれば喜んで話を聞くし、困っている時には助けてあげたいと思います。

でもたぶんそれは、後輩たちがちゃんと私自身や私の仕事に対して敬意を払い、尊重してくれているからだと思います。

仮にタメ語で話されたとしても、「私のことを尊重してくれているな」と思えれば、可愛い後輩だと思うし、逆に敬語で話されても、「あ、この子は私のことを下に見てるな」と感じれば、私も相手と同じ態度で接してしまうと思います。
これは先輩後輩の関係に限らず、人間関係すべてに言えることかもしれませんが、同い年の友達と接する気楽な関係よりも少しシビアに差が出る部分なのかもしれません。

なので、個人的には、相手に敬意を払いすぎるあまり先輩と仲良くなれないことを気に病むような性格の人は概ね、嫌うどころか、良い後輩だなと思われている可能性が高いと思います。そこに密なコミュニケーションがあるかどうかは、好き嫌いにはそこまで関わらないです。

だから、先輩と仲良く話せないからといって自分をダメな後輩だとか責めたりしないでほしい。
もちろん世の中には嫌な先輩もいますが、それはもうあっちの問題です。そんな先輩に好かれる努力をするくらいなら、後輩にその学びを還元してあげてほしい。

甘えるのが下手な人間は生きづらい。それは間違いないけれど、先輩から好かれる/嫌われるとはまた別だし、そんな性格だからこそ助けてあげたいな、と思ってくれる先輩も必ずいます。不器用さも一周まわれば可愛い。

もしも「先輩から可愛がられない、自分は甘え下手だ」と思っている人がこれを読んでいたら、私は「そのままで大丈夫だよ」と言ってあげたいです。年齢を重ねるにつれ、後輩ができるにつれ、少しは生きやすくなっていくと思いますよ。

そしてそのときに不器用な後輩がいたら、同じように「大丈夫だよ」という気持ちで接してあげてほしいと思います。

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