適度な距離と時間が、母と私には必要だった(暦のはなし・5月)

 GWが終わって日常が戻ってくる頃、暦の上ではもう夏の訪れ、立夏(りっか)です。晴天のもと、新緑が美しく木々に揺れて、外へ出かけたくなりますね。そして5月後半に差しかかると小満(しょうまん)といって、農家さんが田植えの準備をはじめる頃です。


 5月といえば、母の日。私は毎年なにかしらのプレゼントを贈るのですが、何にしようかいつも本当に困ります。


 母には、とくにこれといった趣味がありません。読書もほとんどしない、音楽にもさほど興味がない、好きな俳優も聞いたことがない……強いて言えば、NHKの朝ドラを見ることと、庭のお花の手入れくらい?

 思えば、母は子育てが趣味というか、ほとんどすべてのような生活を送ってきました。私が朝ごはんを抜いて出かけようとすると「せめて牛乳だけでも飲んでいきなさい」と玄関までコップを持って追いかけてくる母。実家を出て離れて暮らすようになると、メールや電話をなかなか返さない私に腹を立て、久しぶりに帰省しても文句ばかり言う母。

 10代の頃は干渉されるのが嫌でしかたがなかったのですが、母が私を産んだ年齢と同じくらいの歳になってようやく、かわいい人だなと思えるようになりました。当たり前のことですが、親子といっても性格も違えば考え方も違う。適度な距離と時間が、私たちには必要だったのだと思います。

 昨年の母の日には、悩んだ挙句、ちょっとだけ奮発して白山陶器のBLOOMシリーズのコーヒーカップとソーサーを2セット、プレゼントしました。母は「もったいなくて使えない」と言っていました。次に帰省したときには、きっと大事に飾ってあるであろうカップを取り出して、一緒にコーヒーを飲みたいです。

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