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3歳半でおむつにおしゃぶりの息子 デンマークの幼稚園で言われたこと

3歳半になる息子は、まだおむつをしている。「うんちした!」と自分で表明し、気持ち悪いのか自分でおむつを外して、使用済みおむつボックスに入れたりする(時々、洗濯かごの方に入れたりもする)ので、自分でおむつを変えられるくらいならもういらないんじゃ…とも思うのだが、本人はおむつがいいらしい。

デンマークは4月といってもまだ寒く、かなり着込むので、失敗した時の着替えの大変さを考えると、トイレトレーニングはもう少しあったかくなってからやりたい、という親側の都合もある。

初めての子どもだった長女の子育ての時には、私はよく日本の育児書を読んでいた。おむつはずれが遅いと、成長に問題があるような見方もされるためか、日本ではトイレトレーニングを急がせる印象がある。幼稚園の入園前には、おむつはずれを完了しているよう求められるところもあるようで、娘が使っていた幼児教材では、2歳の時からトイレトレーニングのトピックが出てきていた。移行期に使う“トレーニングパンツ”なるものも存在するらしいし。

そして息子は、寝る時におしゃぶりも使っている。3歳半でおしゃぶりを使っているなんて日本で言うと、眉をひそめられるに違いない。デンマークでも、歯並びに影響するという理由で、歯科医からは早くやめるように言われるのだが、周りの親たちに聞いてみると、3歳児でもおしゃぶりを使っている家庭はまあまあある。特に第二子を育てている家では、ゆるい印象だ。「いや、わかってるんだけどね、外すのも大変だし、まあそのうち本人が恥ずかしくなってくるだろうしね…」という感じである。

さて、先日、息子の幼稚園のクラスの担当保育士2人と、私、夫の4人で面談があった。息子の幼稚園での様子や、身体能力、社交性といった項目について一通り話を聞くのだが、我が家の場合は、だいたい言語の発達具合が話題の中心になる。

自宅では、日本語(私と子どもたち)、デンマーク語(夫と子どもたち)、英語(私と夫)と3ヶ国語が飛び交っていて、息子のデンマーク語の語彙力や表現力は、同年齢の子の平均以下である。これは娘の時も同じだったが、園側の見解は、多言語で育つ子はだいたいそうなるので、そのうち追いついてくるでしょう、というものだった。

このあたりの内容は想定内だったが、この日、私が聞いてみようと思っていたのは、おむつとおしゃぶりについてだった。幼稚園でも息子のおむつを替えてもらっているわけだが、これって年齢的にどうでしょう?それに、寝る時はおしゃぶりもしているので、そろそろ両方やめた方がいいと思いますか?

へー、と思ったのは、保育士が「おしゃぶりとおむつを外すのは、どちらも子どもにとって大きな出来事なので、2つを一気にやらない方がいい。一つずつやりましょう」と言ったことだった。おむつはずれもおしゃぶりをやめるのも、本人にとって「いい経験」であることが大事で、トラウマを残さないのが大事、とのこと。

おむつはずれは個人差が大きいので、特に年齢は気にしなくていい、というのは、以前から幼稚園から言われていたことでもあった。おむつはずれは、体と心の両方の準備が整っている必要があり、自分はできる、と思っても、排泄能力の方がついていってなかったり、逆に気持ちの方がついていってないこともある。デンマークのトイレトレーニングはのんびりとしたもので、友人の息子は4歳を過ぎた頃に、排泄量が多過ぎて気持ち悪くなってきたと自己申告し、すんなりおむつはずれに至ったとのことだった。

というわけで、「親御さんの都合もあるだろうし、あったかくなって本人にやる気がでてきたら、トイレトレーニングを園でもサポートしましょう」というのが、この日の面談の結論である。

デンマークの幼稚園スタッフと話しているといつも思うが、子どもの気持ちを尊重する姿勢がとても強い。それは、微熱が出ていても「家に連れて帰ってあげてください」と言われたりすることにもつながるので、親としては困る事態もままあるのだが、子どもを大事に扱ってもらっているという点では、預けていて安心である。

成長を急がせない、というのは、北欧で子育てをしていてよく感じることだ。それは、親にもいらぬプレッシャーを与えない、ありがたいやり方でもある。


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