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我が家のささやかな教育目標

年に一度、夏の間に日本に一時帰国をしていると、色々な変化に気づく。今年気づいたことのひとつは、日本の同年代の子と比べて、7歳の娘はかなり積極的なタイプに見られることだった。

先日、スマホの修理でアップルストアに出かけた時、たまたま、iPad を使って発明品を考えよう!というワークショップが店内で行われていた。一緒にいた7歳の娘も、飛び入りで参加させてもらえることになった。

どんなものが世の中にあったらいいかを考えて、iPadのソフトを使って、自由に発明品のアイデアを書き込んでいく、という企画である。私は、3歳の息子が店内を走り回るのを追いかけていたので、娘の様子は遠巻きにしか見られなかったのだが、モデレーターが質問を投げかけると、娘はしょっちゅう手を挙げているようだ。「えーと、えーと」と言葉を探しながら、マイクで話をするのが聞こえる。

私は、娘が生まれた時から日本語で話しかけているものの、娘はデンマークで育っているので、日本育ちの子と比べれば言葉はたどたどしいし、語彙も完璧とはいかない。マイクの声を聞きながら、さっきから「けむり」と言っているのは、たぶん「雲」のことだろうな…などと思いつつ、辛抱強く聞いてくださっている主催者のみなさんに感謝していた。

イベントが終わった後、モデレーターを務めていた方から「お嬢さん、助かりました!」と声をかけられた。娘はワークショップの間、マイクでたびたび発言するだけでなく、ほかの子のアイデアに意見を言ったりして、ワークショップを盛り上げていたそうだ。「日本の子は、あんなふうに手を挙げてマイクで発言してくれることが少ないですから」とのことである。

ところどころ聞いていた限りでは、私の娘は、質問者の意図からはピントが外れたようなことも言っていたし、できあがった発明品も、ほのぼのするけど、やや意味不明なところもある。それと比べると、ほかの参加者の子の発明品は、きちんと主催者の意図にあったものになっている。マイクで発言すれば、娘よりもきっちり的を射た回答ができていたに違いない。

ただ、この「意図をきっちり汲む」練習というのは、もしかすると、「この文章はどういう意味でしょうか」といった国語の問題を、たくさん解いているからなのかもしれない、とも思ってしまった。

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