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安芸国人とハードボイルド・ワンダーランド

ここに来る時はだいたいいつもいるインスタのキャプションが書き切れなくなったときだ。どうせこんなとこに書いたって誰も見ないので今日も気楽に書かせていただく。

【安芸国人】
 漫画の都合上安芸国人の研究に勤しんでいる。安芸国人はたくさんいるので大変だけど、ようやくちょっとはわかってきた。何でもそうだけどわかってくると面白い。
 安芸国人の最大の特徴は大内か尼子が近くに来るとその度に来た方につくことである。地域のリーダー格である毛利の動きに影響されることも多い。また、前半では案外武田がまだ力がある。それもそのはず、武田はもともとは安芸の分郡守護ないし郡主?とかいって安芸のリーダーもリーダーであり他の連中とは格が違う家なのだ。ただ、自分が漫画に描こうとしている時期、影響力はと言われると謎である。高橋とかいう毛利の外戚みたいなやつが平々凡々な名前の割に結構土地が広く、隠然たる力を持っていることにも注意だ。熊谷もなんか熊さんや埼玉県の自治体みたいな名前だけど本来の家格は毛利より上らしい。武田の第一の部下のはずが気がついたら毛利の友達になってたみたいな印象である。
 とにかくはたから見ると平気で二転三転する。尼子だったけど大内が来たんですいませんって感じで大内方となり、大内が通り過ぎるとまた尼子に戻る、どっちかについても完全には他方との縁を切らないみたいな付和雷同と面従腹背のプロフェッショナルである。
 吉川興経ばかりが月山富田城攻めの時に裏切った件でアホで有名みたいになってるふしがあるが、何も二転三転はこいつだけではないし、吉川だっていろいろ考えてしまう立場だったのには違いないのでなんかかわいそうである。吉川はそもそも尼子と縁が深く、領地も尼子の近くにあった。だけど隣の毛利やその背後にいる大内にも気をつけないとやっていけない。毛利と縁戚関係を結び仲良くしてた時期もあった。地理的にも経緯としてもとても大変な立場なのである。しかも家臣も発言権が結構強くてそれぞれ尼子や大内と結び付きたがったりしてめんどくさそうである。自分が興経の立場だったらまともな決断なんかできそうにない。興経が頭がいいかアホかはわからないがとにかく大変だったろうと思うのである。
 吉川についてはそんな感じがして特に興経は大変だったのではと思ってしまうが、他の人たちも概ね同種の悩みは深そうである。阿曽沼、平賀、白井などみんなその時々で立場を変え、最終的にうまく毛利の臣下に収まっている。武田の手下だった香川や熊谷も数奇な運命を辿っている。驚いたのは武田も実は滅んだと思ってたら最後に出雲に脱出した信実がその後室町幕府の幕臣になって生きてたっぽいとかいう話である(Wikipediaだけど)。
 安芸国人。大内や尼子に翻弄されるかわいそうもしくは義理もへったくれもない連中というイメージで捉えがちだが、彼らは常に難しい立場に立たされ、時に近所と仲良くしたり敵対したりしながらもその時その時を必死に生き延びるために選択し続けることから逃げなかった。そして最終的に少なくない家が大内尼子よりも長く生き延びた。それはすごいことである。何だか感動すらする話だ。

【とは言え…】
よく考えたら立場を変える際には内部で陰惨な尻尾切りや当主切りなどが行われたりもしてるわけで、まあ綺麗な話でもないけど。第一吉川はあれじゃ生き延びたとは言わないか。うわあ、上の文章台無し。

以下自分用メモ
備後  三吉、山内、多賀山、宮
石見  福屋、本城
出雲  三沢、三刀屋、河津、宍道、古志

あれ?宍戸ってのもいるよね安芸に

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