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#6確定拠出年金 社員が退職する際、返還させることはできないの?

もっと会社を良くするための、確定拠出年金制度の有効な使い方とは!
中小企業経営者様にそのポイントを解説いたします!

今回は企業型の確定拠出年金で、社員が中途退職する際、例えば会社に損害を与えたりして解雇になった場合など、退職金として積立てていた確定拠出年金は会社に返還させることはできるのか?というお話です。

一般的な退職金のルール

一般には退職金規定で、支給制限のルールを決定していることが多くあります。例えば下記のような規定です。

次の各号のいずれかに該当する場合は退職金を支給しない、または減額して支給する
1 勤続年数○年未満の者
2 懲戒解雇によるもの
3 引き継ぎを行わず退職する者
4 競合他社に転職する者

しかし規定があったとしても、判例では懲戒処分を受けた行為が退職までのすべての功労をゼロにしてしまうほどの重大な不正であるのか、その程度によっては一定の割合で支払が認められています。

確定拠出年金の場合

退職金規定で定めていても、裁判の結果によっては企業側は支払わなければならないことがあります。
とはいえ裁判にならなければ、会社は規定に該当した社員には退職金を支払わないということになります。

しかし確定拠出年金の場合には、このような規定を定めることができません。確定拠出年金では、退職する社員に返還を求めることができるのは次の場合です。

勤続期間3年未満の
自己都合退職、諭旨退職、懲戒解雇

勤続期間3年未満とは、確定拠出年金の加入期間ではありません。
社員が会社に使用された期間となります。
例えばある社員が退職する際、1年前に企業型を導入したので加入期間は1年でも、会社に入社したのが3年以上前であれば、返還させることはできません。

勤続期間3年未満であっても返還させることができない場合

以下の場合には、たとえ勤続期間が3年未満であっても返還させることができません。

1 確定拠出年金における障害給付金の受給権者である者
2 以下に掲げる事項に該当したことにより、加入者の資格を喪失した者
・死亡したとき
・会社自体が制度を脱退したとき(実施事業所でなくなったとき)
・定年退職により加入者資格喪失年齢に到達したとき

なお、返還対象となるのはあくまで会社が拠出した掛金となります。
以下の場合には、返還対象外となります。

1 社員が給与から任意で積立する掛金
 ・マッチング拠出掛金
 ・選択制の加入者掛金
2 入社前からの確定拠出年金制度からの移換金
3 既存の退職給付制度等からの移換金
4 掛金を運用して増えた部分

要するに、会社が退職金として積み立てた元本部分のみ返還となります。

このように確定拠出年金の場合には、基本的に入社3年未満の退職の場合には返還させることができますが、それ以上の勤続年数の社員には返還させることができません。それだけ社員にとっては権利の守られた資産ということになります。

今回は、確定拠出年金の掛金は、社員の退職時に返還させることができるかというお話でした。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。






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