自分をこえて
私の心を癒してくれるピアニストにクララハスキルという人がいます。
20世紀を代表する女性ピアニスト。
故小澤征爾さんが著書の中でもっとも心に残っているピアニストのひとりにあげられていて10年くらい前にその存在を知りました。
私は彼女のピアノがとても好きで音を聴いているだけでとにかく落ちつく。けっして華々しいわけではないけれど余計なものがはいっていない、純粋で美しい音色です。
演奏家は作曲家の作品を自分のフィルターをとおして表現しますが彼女のピアノには間に挟まっている自分というフィルターの色がほとんどなくて作品そのものがそこに存在しているような圧倒的な世界観があります。
小澤征爾さんはハスキルの演奏について『コタツでみかんを食べるような自然体で』とか『モーツァルトが目の前にいるような』とかそのようなニュアンスで書かれていたと思うけど自分というエゴや概念、その他のさまざまなものを入れずに演奏するってどんな境地だろうと敬意の念すら湧いてきます。
音楽に限らず小説や詩、絵画なども作品をとおしてその奥にあるものを感じられたときにとても心が動きます。
たまたま芸術作品に触れるとそんなことを感じるけれどほんとは芸術家などの特別な人だけではなくだれもが同じなのかも。
自分の考えや主張も大切だけど
そこを超えてなにか大いなる存在に委ねることができたとき自分自身をとおしてもっとたくさんのことを伝えることができるのかもしれないなとそんなことを感じている2024年 春です。
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