見出し画像

子育て世代が親の介護に直面したら【やってよかった10個のリスト】

「もう無理だよ、施設に入れよう。」

姉からのその言葉に正直ホッとしている自分がいました。

母の様子がおかしいと思ったのは5年前
そこからあっという間に
家の中は手すりだらけになり
お風呂も自分で入れなくなり
伝い歩きもやっとになった母。

診断名は進行性核上性麻痺、
治療法はありません。


転びやすくなり、
話しづらくなります。
認知症のような症状も出て、
会話があまり成り立たちません。


母は独居です。

私には0歳と2歳の息子がいます。
今は育休中ですが、すぐにフルタイム復帰します。
介護している場合じゃないというのが
正直な気持ちです。

子育て世代の介護の最適解は何か?


親の介護にどこまで関わるか?は、
本当にその家庭ごとに答えがあります。

母が元気な頃、口癖のようにこう言いました。

「子どもたちの生活は絶対に脅かしたくない。その為に働いてきた。だから、いざという時は施設に入れてほしい。施設はよーく選んでね。」

その言葉が強がりだったとしても
母の意志だと思うようにしています。

私も同じように子どもに対して思うからです。

母の介護をする上で姉妹で認識を共有しました

•できるだけ社会的資源を使う
•いざという時は施設入居を躊躇わない
•多少のことは諦める(絶対に骨折させないなどの無理な目標は立てない)
•ある程度はお金で解決する
•なるべく遠隔で解決できるようにする(子供を預けたり、会社を休む機会を減らす)

認知が進んでからでは、遅いことがたくさんあります。
ちょっとおかしいな、そう思ったら是非できることを早めにやってみてください。

母の異変から施設入居までやっておいてよかったこと


1.地域包括支援センターに行く


病気が確定していなくても、例えば「認知症のようだけど、本人を病院に連れて行けていないので、わからない」などでも大丈夫です。

わからなければ市役所に電話して介護について知りたいというと、その部署に繋いでくれます。住所を伝えて親の住むエリアの包括支援センターを教えてもらってください。

包括支援センターについてはこちらのnoteにまとめました。

2.ケアマネージャーをつけてもらう


介護には要支援1・2と要介護1〜5と段階があります。
要支援のうちはケアマネがつかず包括支援センター付になることがほとんどです。ただ、若くて何か病気がありそう、確実に進行しそうという場合はこの段階からケアマネをつけてもらうのも一つの手だと思います。継続して相談できる人がいるというのはとても心強いです

3.親の意思の確認と自分の生活との擦り合わせをする


本人がどのように今後を過ごしたいのか、知っておくのはとても大切なことです。ただ、親の気持ちを尊重するあまり自分の生活が壊すことは絶対に避けたいと思っています。私が親に確認したことは以下の通りです。

・基本的には在宅で過ごしたいのかor施設で過ごしたいのか
・お金や今後のことを誰に任せたいのか
・一番不安に思っていることは何か
・延命治療やその他の対応はどこまでを望むのか

母は、
・生活に不安があるから施設に早めに入りたい
・延命治療はしてほしくない
・胃ろうは嫌(ご飯が食べられなくなった時に胃に直接栄養を送る)
・子供には迷惑をかけたくない
・わからなくなった時の判断は娘二人に任せたい

この中で娘の私と姉が悩んだのは早めに施設に入りたいという部分でした。
あと何年生きるかわからない状況で、施設に入った場合お金が足りるかどうか、判断できなかったからです。

それから新型のウイルスで入居したら面会がしずらい時期であったこと、私が長男を産んだばかりで孫の面会は間違いなくできないだろうということから、在宅で出来る限り過ごそうということにしました。
今思うと、あの時施設の選択をしていてもよかったのかもしれないと、思い返したりします。

4.公証役場に行く


任意後見契約と、尊厳死宣言公正証書を作りに行きました。

任意後見契約は、今後母の認知が進んだ時に、治療費などを銀行から引き出したり、医療を受ける際の契約を結べなくなる可能性があると判断したからです。

認知症が進むと、本人が銀行預金をおろせなくなります。また後見契約は本人が判断できるレベルでないと結べません。
なので、とにかく意思疎通がとれるうちに行うことがベストです。

尊厳死宣言については、母の希望でした。
これについてはまた詳しく書きます。

2つ合わせて12万円ほどだったと思います。

5.資産の確認と管理方法を整理する


親の資産について意外と知らなかったりしませんか?
・普通預金(銀行を洗い出して整理します)
・株・投資信託・証券(我が家は該当なし)
・保険
・家や土地の権利書

我が家はまだ当時ハッキリしていた母からすべてのカードを取り上げるのは抵抗感が強いだろうなと思い、生活費を入れた銀行①と、残りの預金を入れた銀行②に分けました。オレオレ詐欺などに備えて銀行②のカードと通帳は姉が保管することにしました。

6.収入と支出を把握する


国民年金・厚生年金・企業年金・個人年金、、、

年間いくら入ってくるのか、それは何歳までなのか?などを整理します。
また、日々の暮らしにいくら掛かっているのか(年間の生活費がどのくらいかかるのか)を把握します。

この収支をざっくりしておくこと施設の予算や、何年入れそうかを計算できます。

施設は基本的に入ったら、そのまま悪化により病院か施設のまま看取りのどちらかで、自宅に帰ることは想定していません。そのため、お金が足りなくなったというのは避けなくてはいけません
足りなくなりそうだから早い死を望むという結果にはしたくありません。
当たり前ですが、お金のことも施設に入る基準の一つです。

振り返ってみて、これは本当に母の認知があまり進む前にやっておいてよかったと思います。

7.定期巡回サービスを使う

地域によりますが、要介護1以上になると定期巡回サービスが使えます。(地域によって提供範囲外のことがあります)
定額で毎日様子を見に行ってくれたり、ゴミ捨てや洗濯をしてくれます。

8.訪問診療を入れる

動けなくなると、受診もかなり大変です。外部に委託すると一回一万円くらいかかります。
自分が連れて行くのはエネルギーも時間も奪われます。
本当に必要な検査の時は会社を休んだり子供を預けたりできます。
でも、ちょっとした定期受診や与薬のための受診は訪問診療と契約すると良いと思います。

9.施設に入る基準を決める


我が家は以下の基準を決めました。
・火の始末ができなそうと判断したら
・トイレに自分で行けなくなったら
・飲み込みができなくなったら
・肋骨以外の骨折をしたら

在宅で介護を始めてしまうと、意外とズルズルと無理をしてしまいます。
ここまで整えたし、もう少し在宅で看てあげたい、もう少しもう少し。。。
そして介護する側が壊れます。なのであらかじめ目安を作っておくのは良いかなと思います。もちろん、介護をする中でその時の判断でそれが前後しても問題ありません。ただ、後々の心を守るためです。
トイレに行けなくなったらって決めてたんだった。もう十分頑張ったよな。と

10.相談できる人を一人でも作る


老いて壊れていく親を見るのは本当に精神的にかなり辛いです。それは親子の関係が良好であれば純粋に辛いし、良好でなくても別の意味で追い詰められます。
なので、パートナー・兄弟・親戚・ケアマネ・友人、一人でもいいので判断に迷った時に「いいんじゃない?」と言ってくれる人を探しておくと良いと思います。
ちょうどこの記事を読んでいる時にこのブログに出会いました。

依存先を増やす。まさにその通りで、できることならば自分は司令塔の役割になり、この問題をどこに頼るか?誰に聞けばいいのか?を正しく判断して選択するエネルギーを残しておくことがとても大切です。

心の整理の付け方は今学び中です


姉に「施設に入れよう」と言ってもらい、ホッとした自分と、
もう少し頑張れるんじゃないか?後悔しないか?これでいいのか?
たくさんの気持ちに押しつぶされそうになります。

でも、実家に帰ったあとは自分の器がいっぱいで
頭痛がしたり、子供にイライラしたり、電話の着信にため息をついたりしている自分がいるのも事実です。

大人になって我が家が歪んだ親子関係だったんだと気づき、それを正す間もなく母は会話の通じない人になってしまった現実を処理できないのだと思います。

施設に入れてみて、どう自分が変わるのか。後悔するのかホッとするのか、この先もnoteに呟いていこうと思います。

40歳を前に母の介護に直面するとは思いもしませんでした。これから親の介護を迎える人に、少しでも役立ちますように。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?