石田三成の三献茶 その3(全3回)


秀吉はね、手のひらにその湯気の立つ湯飲み茶わんを載せて、その温かさを楽しむようにゆっくりお茶をすすりながら聞いたんだよ。
「何ゆえに、三度のお茶の量と熱さを変えたのじゃ?」。
「一服目は大変喉がお渇きのご様子だったので、すぐに飲み干せますようぬるめのものをたっぷりとお持ちしました。
ニ服目は少し癒やされたご様子でしたので少しあたたかめのものを量を少なくお持ちしました。
三服目は落ち着かれたご様子でしたので、香りのよい温かなものをお持ちしました。

小僧さんはその人が領地のお殿様の秀吉だと知っても臆することなく胸を張ってはっきりと答えたんだって。
「名を申せ。」
「石田佐吉にございます。」
秀吉はこの賢さをすっかり気に入ってしまって、この時から家来にしちゃったんだっ
て。
この石田佐吉っていうのが石田三成の12歳の時のこと。

三度お茶を献じたことから、「三献茶」と言われて広く伝えられているんだよ。
石田三成といえば、この話が出てくるくらい有名なお話。
秀吉のお傍で大きくなっていって、のちのち、石田治部少輔三成となって秀吉を助けてたくさんの手柄をたてていく人になっていくんだ。

今でもね、観音寺の総門を入って西の方へ50メートルほどいった薮の中にこの時佐吉が秀吉のためにお茶を汲んだという井戸が残されているよ。
行ってみたいね。

さあ、これでおしまい。面白かったね。

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