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月次報告

しばらくぶりの投稿です。
この期間、書きたいことがたくさんあっても書けず苦しんでいました。
なんなら今も。

ここ1ヶ月の体験と想像を報告します。

某日(晴れの日)
環状線の曇ったガラスの向こうに見える青空は本当に青いのか考えました。
どこにいても、私はガラス窓の内側から出ることができません。

某日(夜の底)
寂れたラブホテルで夜を明かそうと思ったのですが、いつまで経っても夜が明けませんでした。
どうやら私は夜と一緒に閉じ込められてしまったようです。

某日(豪雨)
雨でダイヤが乱れてしまったらしく、時間通りに1時間前の列車が来ました。
駅の喧騒と座席端の大男のいびきが混ざる中、湿気が満ちた車内で鉛色の夜を共有しました。

某日(忘却)
おろしたての白いスカートに蝿がとまりました。

某日(気まずさ)
うつむき、からまったイヤホンをほどく遊びを楽しみました。

某日(車窓)
団地の草むらにショッピングカートがふたつ、並んでいました。
きっとそれに意味なんかありません。
そんなものです。

某日(コンタクト)
勢いよく封を切ると、半透明の小さな魚が小さな水槽から飛び出しました。
私は床で魚が跳ねる様子を、ただぼんやりと眺めていました。

某日(まっしろ)
久々の晴れ間に入道雲と目が合いました。
私にとって、別れと出会いの季節は夏です。
今年はきっと初めての白い夏です。

某日(靄)
小説を書いているという人に出会いました。
私の胸にたちこめた煙の正体は分かりませんでした。

某日(エレベーター)
扉が閉まった瞬間のあなたの顔が今でも忘れられません。
それ以上に窓の黒さに写った私の顔が忘れられません。

某日(青)
蝉の声に、あの夏に胸が押しつぶされそうになりました。
晴れるたびにこんな感情になるならいっそ、そう思ってしまいました。

某日 (味)
よく君に一口もらっていたのを思い出して、白ブドウのジュースを買いました。こんなに多かったっけ。

某日(そして)
誰も私の心を満たしてくれないことに気がつきました。
そして文字は、文章は私を裏切らないことを知りました。

そして今日に続きます。

お疲れさまでした。

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