夜川 うそ

今日もどこかで文章を書いています。 いつかこの思いをうまく伝えたい。 その過程です。

夜川 うそ

今日もどこかで文章を書いています。 いつかこの思いをうまく伝えたい。 その過程です。

最近の記事

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名もなき文章、残す爪痕

おはようございます。 「夜川うそ」といいます。 私は副業として時々、WEBメディアさん等で文章を書いています。 お金が欲しいというのももちろんありますが、それ以上に「がむしゃらに書く」ということがしたくなる時にちょうどいいので、何気に続いています。 そんなに自分の意見は求められず、機械的にどんどん書けるので。 WEBメディアの記事は基本的にどこかから情報を集め、かみ砕いて読者に分かりやすく提供するものです。 だからと言ってはなんですが、記事にオリジナリティは要求されません

    • 月次報告

      しばらくぶりの投稿です。 この期間、書きたいことがたくさんあっても書けず苦しんでいました。 なんなら今も。 ここ1ヶ月の体験と想像を報告します。 某日(晴れの日) 環状線の曇ったガラスの向こうに見える青空は本当に青いのか考えました。 どこにいても、私はガラス窓の内側から出ることができません。 某日(夜の底) 寂れたラブホテルで夜を明かそうと思ったのですが、いつまで経っても夜が明けませんでした。 どうやら私は夜と一緒に閉じ込められてしまったようです。 某日(豪雨) 雨で

      • 【小説】 『空気売ります』

        珍しく原稿が早く書き上がったから、6時きっかりに「切らないタイプ」のタイムカードを切ることができた。 今日は火曜日。早く帰って寝なくちゃいけないけれど、こんな日には少しばかりの遠回りをして人生を豊かにしなければならないような気がして、いつもは降りない駅で降りた。 駅前のロータリーはどこも同じようでつまらない。 ついつい「スキップ>>」したくなってしまうのを抑えて、早歩きを。 大きな太陽がビルの避雷針に突き刺さって沈んでゆく。 向かうのはGoogleマップで評価が高かっ

        • 遺伝する衝動

          私は書くことが好きだ。 飽きっぽい性格なのに、文章を綴ることだけは何故だか続いている。 日々何かを書かなければなんだか落ち着かないほどだ。 ゆくゆくはそれだけで食べていきたい、なんて思ったりもする。 また、「書きたい」という衝動に取り憑かれて書くこともある。 刻一刻と生まれては消えてゆく言葉を少しでも書き残さなければ、というある種の使命感に駆られる。 そうした傾向は最近になってより顕著になったものだが、思えば片鱗はずっと前から示されていたような気がする。 学生時代、私は

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        名もなき文章、残す爪痕

          【小説】ベリーハッピー・バッドエンド

          昨日の夕方、姉と映画を見に行った。 10年以上一緒に映画なんか見ていなかったけれど、「チケットあるから」と言われたら貧乏学生の私はついていかないわけがない。 最近話題の美男美女が主演を務める、ありふれたラブストーリー。 この手の物語は少し苦手だ。 誰もが自分の恋と重ねて観ていると思うと、いかに自分が「良い恋」をしていないかが浮き彫りになってしまう。 苦労の末に主人公たちが結ばれ、シアター内に祝福と安堵の空気が流れる中、きっと私だけが苦い顔をしていたと思う。 被害妄想なのかも

          【小説】ベリーハッピー・バッドエンド

          【小説】行けるところまで、東へ

          今週の金曜日は最悪だった。 誰に頼まれたことも、どんな仕事も全く手につかない。 趣味の執筆すらも全く調子が上がらず、三行も書けないまま断念。 「仕事にならない」とはまさにこのことだと思った。 おまけに離れた街に暮らすきみは「今日飲み会、電話できない」とのこと。夜のはじまりと呼ぶような時間には、すっかりふてくされて眠っていた。 消し忘れたシーリングライトが僕の目をこじ開ける。 寝る前に繋げていたiPhoneのバッテリーは100%だ。 午前4時32分の表示が、僕の心をゆっく

          【小説】行けるところまで、東へ

          木を見るか、森を見るか

          先日、仕事で茨城に訪れることがありました。 ふと思い立って、早朝の日立駅に赴きました。 知っている人もいるかも知れませんが、日立駅は「海の見える駅」として紹介されたスポットです。 駅の通路のつき当たりには、ガラス張りの展望スペース。 水平線の先、朝日が登る様子を見ることができるので人気なんだとか。 かく言う私も、その様子をひと目見たくなってしまった一人でした。 時節柄、そして私の性格上人が多いと嫌だなぁなんて思いながらまだ暗いメインストリートを歩きます。 駅について

          木を見るか、森を見るか

          【小説】よくばりの味

          わたしは小さい頃から、よくばりだった。 きょうだいはいないので、誰かと競う必要はなかった。 けれども、なにかとモノや愛情を欲しがった。 いつも満たされていたかった。 一時的に満足したとしても、すぐに他を探してしまう。 よくばりだから満たされないのだと、今では思う。 考えてみれば当たり前なんだけど。 たくさん食べたくて両隣の子から半ば強引にもらった給食のソフト麺。 麺が多すぎてパスタソースの味はほとんどしなかったっけ。 家族が買い物に出掛けている隙に作ったカルピス。 む

          【小説】よくばりの味

          自分に名前をつける(改名しました)

          ここまで、noteには10もの投稿をしてきました。 それを期に、私「きつねのしっぽ」は改名をすることにしました。 それでは改めて。 「夜川 うそ(よかわ うそ)」です。 以後よろしくお願いします。 改めて簡単な自己紹介をさせていただきます。 といっても、私の人となりがなにかしらのバイアスをかけてしまうと嫌なので、最小限のプロフィールだけ。 夜の川が好きです。 かわうそが好きです。 物語を生み出しているとき、私はうそつきになります。 これが名前の由来です。 私はいま、会

          自分に名前をつける(改名しました)

          【小説】悪い癖

          これまで誰にも言ってこなかった。 話すのはきっと最初で最後だ。 俺には、悪い癖がある。 人にはわからないレベルの。 しかし人に話せば、確実に気味悪がられてしまうような癖。 ほら、今も。 俺は人混みのなか、目を光らせる。 前を歩く大学生の汚れきった靴底。 トラックのバンパーについた小さな擦り傷。 ファスナーを閉め忘れたままのリュックサック。 歩道に散りばめられたガムの跡。 きっと誰も目に留めないだろうし、きっと本人だって忘れてしまう。 でも、俺はそれを拾い集める。

          【小説】悪い癖

          【小説】夜空に雲を作る。君は淡雪を舞わせる。

          ある夜君と吐息を重ねるうち、気づいてしまった。 必死に抑え込んでいた胸の痛みと、目の端に溜まる無色透明な感情。 その瞬間から、薄い皮膚と皮膚のあいだの微かな温度差が気になってしょうがない。 少しでも気を緩めれば涙がこぼれてしまいそうで、きっとそれは君を困らせてしまうから、息を止めてなんとか堪えた。 そこからどうも気持ちを入れきれないまま「すべきこと」をさっさと終わらせた。 カーテンを開けた窓から差し込む街明かりが、君の右頬を照らす。 「うーん」と伸びをしたあと、君は目を

          【小説】夜空に雲を作る。君は淡雪を舞わせる。

          死ぬと決めてから月が綺麗でしかたない

          私はこの世を去ることを決めた。 その瞬間、私の人生はなにかを取り戻すかのように急に輝きだした。 ありがちな話だ。 才能がある者は27歳で死ぬらしい。 裏を返せば、それまでに何も残すことができなければ死んだも同然だということだ。 私はというと、これまで死など全く意識せず悠長に構えてきた。 怠惰にまかせ筆をすべらせながら、私の才能がいつかどこかで認められると本気で思っていた。 私は小さい頃から、日常の中に散りばめられた美しさに人一倍目を向けてきた、つもりだった。 特に季節の

          死ぬと決めてから月が綺麗でしかたない

          【小説】裸になる。シャッターを切る。私は生きる。

          相反するものの境界は時に曖昧だ。 オマージュと剽窃だったり、崇拝と嫉みだったり。 私はその見えない境界の間を行ったり来たりしている。 ヌード写真家と露出狂。 いま、社会的に見れば私は後者だろう。 深夜の公園に出かけては人の気配がない場所を選び、裸体を晒す。 他人に見られたいという願望は無い。むしろそれは避けたい。 見られたく無いと思いつつ、脱ぐのだ。 かまって欲しいと言いながら世に背を向ける少女のような矛盾だ。 私の向いている方向は真逆だけれど。 脱いだワンピースや下

          【小説】裸になる。シャッターを切る。私は生きる。

          私が母校を選んだ理由は「日当たりがよかったから」だった

          「そんな理由、書けるわけないだろう」 そう担任に呆れられた高1の夏。 正直に答えただけなのになぁ。 あなたがこの高校を選んだ理由はなんですか?という問いだった。 各学年から数人を選んでアンケートをとり、次年度のパンフレットに使うらしい。 私は高校を日当たりで選んだ。 できるだけ晴れの日に高校見学をしに行ったし、受験当日は出来よりも日差しを気にしながら帰路についた。 そして私は、問題用紙の図形に降り注ぐあたたかな光に惹かれ、その高校へ通うことを決めた。 結局、私の回答

          私が母校を選んだ理由は「日当たりがよかったから」だった

          ラブホテルのご飯を食べると泣きたくなる

          語弊がないように最初に言っておきますが、これはラブホテルのご飯に対する批判を述べたものではありません。 むしろ「ここはレストランか!?」というほどハイレベルなご飯がラインナップされているホテルには毎度驚かされます。 けれども、というかだからこそ、なのでしょうか。 ラブホテルでご飯を食べるときにはいつも底知れぬ悲しい気持ちになってしまいます。 夜の深く、さらに深くにふたりだけ取り残されたような、そんな感覚。 大きなソファーで背をかがめ、オムライスを頬張りながら「おいしいね

          ラブホテルのご飯を食べると泣きたくなる

          【小説】あの「愛してる」を取り消したい,なんて

          歩行者用の信号が赤色に変わる。人の群れが静止する瞬間。行きかう車の中に赤色の乗用車を探してしまうのは悪い癖だ。見つけたってどうにもならないのに。 あれは何年前だったっけ。 あの時は、顔も、声も、場所も、記念日も、好きだという思いもはっきりしていたのに、今となってはすべてが輪郭を失っている。なんとなく、色や形は分かるのだけれど、肝心の部分がどれもはっきりしない。 確かに僕は、彼女のことが好きだった。 はずだ。 1日しか休みがなくても、たった数時間しか一緒にいることができ

          【小説】あの「愛してる」を取り消したい,なんて