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20年前にサンタさんから貰った包丁でお料理デビューした

包丁にド緊張していた20代が、コロナ禍ステイホームと子ども用の包丁を経由して、料理歴4年目(2023年現在)になるまでの振り返りnote


4歳か5歳のクリスマスに、サンタさんから包丁まな板セットをいただいた。

赤い柄に、先が丸っこいステンレスの包丁だ。刀身には、ゆるーい絵柄の動物がプリントされている。かわいい。まな板はもうないけれど、同じデザインだったと思う。
調べたら、BRiSA BONiTA(ブリサボニータ/かわいい風)というシリーズの包丁だとわかった。そのまんまだった。

目が覚めて発見した時に、とても嬉しかったのを覚えている。
何故これをお願いしたのか、きっかけは忘れてしまった。まいんちゃんは放送前なので、パティシエなおジャ魔女の影響かもしれない。

当時の私はいただいた包丁をとても気に入っていたけれど、怖がり・飽き性・めんどくさがりが原因で手にする時間はとても少なかった。なんで頼んだんだ。

小中高と続く10代。変わらず包丁が苦手だった。彫刻刀やカッターを使う時間がとても苦痛。ハサミはなんともないし、技術科目のノコギリとかも平気で、恐怖症とは違いそう。包丁を使うのは、ものすごくストレスに感じる。調理実習より、家の包丁の方が緊張する。不思議。
いつか使えるようにならなければ、と考えつつ、実家暮らしに甘えまくる毎日だった。おにぎりとたまご焼き風のものしか作れず、それすら億劫でランチのたびにお財布を持って学校内の店をぐるぐるぐるぐる。

引きこもりがちな20代はじめ。母から夕飯係に任命された。何にも出来ない私に自信と家事力をつけさせるためだろう。コロナ禍でおうち時間が増えたこともあって、新しいことを始めやすいタイミングだった。
食材は家族が準備しているので、好きに組み合わせ、切って、加熱して、味をつけるのが私の役目。キッチンバサミやピーラー、スライサーなど便利な道具はたくさんあるが、大事な道具と向き合う時が来たのだと思った。

母は自分の包丁をとても大切にしている。きちんと研いでいるからよく切れて、とても綺麗。「これは母のもの」という意識もあって、持つだけでいっぱいいっぱいになってしまう。なかなか使う気になれなかった。
家の包丁に緊張するのは、怖がり+ひとの大事なものを使うからなのかもしれない。
せっかく料理をするなら、あの子から持ってみるか……と、子ども用包丁を毎日使うようになった。母の包丁を持つと、刃への注意に全思考が支配されるけれど、子ども包丁は昔ほど緊張せず持てるようになっていた。同じ場所で同じことをしているのに、余裕をもって動けているなと感じる。
小さいし、普通の包丁の方が切りやすいだろう。切り口の良い方がおいしいに決まってる。大人になった私の手には合わない。でも、子ども包丁も 母が研いでくれて、ちゃんと使える。私にとって「使っていてストレスがたまらない包丁」はこのちっこい子。

段取りの悪さなどもあって、1、2時間近くかかることもあったが、徐々に慣れて自信がついた。(おそろしく映えないnote記録)

https://note.com/yokafood/n/n629d72dfb46c?magazine_key=mb7ea5645eaf1

ずっと使えていなかった子を活躍させられて、妙に嬉しい。
しっかり向き合って、いつか普通の包丁に切り替えたい。



……と、思って下書きにここまでの話をメモしたのが2020〜2021年のこと。

記録によると子ども用包丁は1年程しっかりがっつり使った。徐々にシフトしようと試みたらしく、記念にと包丁の写真を撮っている。※どうしても刃を自分の身体側に向けられなくて変な角度になっているヘッダー。

2023年現在。そんなに怖かったの……? と首を傾げるくらいガッツリ大人包丁で料理している。なんだ大人包丁て。自分に呆れつつ、大幅にメモを書き換えて今に至る。

この数年で、自分が食べるものを用意してもらえるありがたさが増し増しになり、母の料理も外食も、作る人の視点で味わうようになった。

完全移行してしばらくは動悸を感じながら作る時もあったが、料理自体は楽しい。最近は全くドキドキせずに包丁を扱えて、夕飯作りを継続できている。
作ることに飽きはしないが、noteにまとめるのは早々にやめてしまったので、別の形式で再開したい。

怖がり・飽き性・めんどくさがりはあんまり変わっていないけど、いつかのクリスマスに想像した、お料理ができる自分にはなれたと思う。

子ども用包丁を使う機会はなくなってしまったが、今もおうちの包丁立てのひとつにセットされている。
ずっと一緒とはいかないが、もうちょっと見守っていてもらおう。

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