見出し画像

人権デュー・デリジェンス

 世の中ではSDGsをはじめとした社会問題に目が向けられていますが、その波は企業にも大きくのしかかっています。ESG投資が主流になってきている現在では、企業も環境や人権に配慮することが必要になっています。そこで、気になる新聞記事から、医療健康への配慮を考えてみたいと思います。

2021年4月26日の日経ビジネスの記事から
アサヒGHDや東芝、人権配慮の調達急ぐ 政治リスク増す

 日本企業が人権侵害を避けるためにサプライチェーン(供給網)の見直しを急いでいる。海外の取引先で児童労働や強制労働などがないかを調査し、必要に応じ調達先の切り替えを進める。欧米では調達への人権配慮を求める法規制も進む。日本企業もリスクを把握し情報を開示するように求められ始めた。世界で民主主義が揺らぐ中、企業も政治リスクにどう向き合うか、難しい課題を突きつけられている。(一部抜粋)

人権デュー・デリジェンスという考え方
 今までは利益優先の時代であり、利益を得るための生産過程に関してはあまり評価されることはありませんでした。しかし、ESG投資が株式投資の基本となった現在では、製品の利益は当然である上、どのように利益を得たのかが重要となってきました。その1つが環境で、もう1つが人権配慮です。
 特に製品に関しては、その製品が作られるまでにきちんと人権配慮されていたのか、「人権デュー・デリジェンス」という視点がとても大切になってきました。
 人権デュー・デリジェンスとは、企業が人権に関する悪影響を認識し、防止し、対処するために実施するプロセスです。国際規範においては、組織内での人権方針の策定に始まり、企業活動が人権に与える影響の検討とパフォーマンスの継続的な追跡・評価、そして人権に対する悪影響が発見された場合における改善へ向けた取組みまでの一連の対応が具体化される必要があるそうです。つまり、このような視点から、企業が人権デュー・デリジェンスに取り組む意義を明らかにすることに焦点を当てる観点から、より広く、企業においてその活動が人権に対して悪影響を及ぼす恐れがないかを調査・検討するプロセス一般のことを指して用いる用語です。

医療・健康における人権デュー・デリジェンスについても
 健康や医療においては、人権や環境に配慮するという視点よりは尊い命を救うという視点の方が強いために、利用者の健康配慮に関してはとても慎重に対処されていますが、その生成過程に関してはあまり環境や人権に配慮するという視点を耳にすることはありません。しかし、薬や健康製品に関しても、その製品の原料調達や作成の過程は、労働者の人権に配慮することは当然です。そう考えると、今後はその製品を利用することで、利用者の健康が害されたかどうかだけではなく、その製品の原料調達や開発により地域の人々の人権が侵されていないのか、またそこの従業員の健康や働き方にきちんと配慮されているのかなどの視点も広義の意味では含まれてくる可能性が高いと思います。
 そう考えると、これからの医療・健康は、単に健康・医療に寄与するという視点だけでなく、環境や人権に配慮した製品やツールを利用すること、そのような生活スタイルを患者さんに指導することなど、環境や人権に配慮するという視点が大切になってきています。さらに付け加えるのであれば、医療・健康分野で働いている人の環境にも配慮することが必要不可欠です。
 医療・健康分野は、感染症などの危険な患者に接したり、労働時間を超えて患者さんのために働いたり、また知識や技術の研鑽のために時間を惜しんで勉強したりしなければなりません。そのため、休みが取りにくかったり、産休などが取りにくい、時短で働くことが難しいなどの問題を目にすること少なくなりません。いずれの行為も患者さんのためには尊いことなのですが、医療関係者の過労死などが問題になる中、職場環境も改善しなければならないのです。
 以上のことを踏まえて考えると、医療・健康業界の中にも、人権や環境に配慮した新しい環境を提供する仕組みを考えなければならないのです。その1つのモデルとなるように、YOJYO projectでは、人と環境に配慮した取り組みの1つとして、田舎の自然環境で健康を取り戻す仕組みを世の中に提供していきたいと考えています。

新聞記事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ271NW0X20C21A2000000/

田舎での健康活動の
【動画】
https://www.youtube.com/watch?v=Y1Krw2omybs&t=72s

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?