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Hot Stuff: EVISBEATS/ゆれる feat.田我流


最初に取り上げる曲はこれに尽きるだろう。

「EVISBEATS/ゆれる feat.田我流」

2011年にYoutubeにアップされてから1100万回以上の再生され、今なお聞き続けられるJapanese HIP HOPの至宝の一曲。

この曲は私にとって、本当に「たまたまdigした一枚のVINYL」だった。

陳腐な表現だが、自分にとって「雷に打たれたような」感覚を感じた曲を最初のテーマとしたい。

まずリリック全文を掲載する。

Lyric

この心がゆれる時がある
それはバイト帰りのサンセットだったり
本の中に答えを見つけた時だったり
季節の変わり目を感じた時だったり
またはステージの上でHIGHな時だったり
好きな娘とまったりな時だったり
たまたまDIGした一枚のVINYLだったり
感動して頬伝う涙だったり
生きてるって実感を味わうその瞬間
ほんの一瞬、その一瞬を求めて
猫みたいなBITCH 追いかけるのに必死
人生の見せる美しき1シーン
そのまた不思議なパートに魅せられ
とどのつまり夢から夢を綱渡り
社会から見れば窓際の人
でもいつに生まれても「俺は俺だ」と
時代に合わせ呼吸するつもりはない
人であることを選び 求めるLOVE
DOORSのようにLIGHT MY FIRE
あのJAZZMANみたいにNEVER RETIRE
音の中に生きると決めたこの人生
まだまだ未熟で俺は小せぇ
でも、どうせやるならばこのまま挑戦
誰かがゆれるための曲を書こうぜ
今日は残りの人生の始めの1ページ
まだまだやりたいことが山積みさ
IT'S A HISTORY CALLED BOOK OF LIFE
I JUST RELEASE MYSELF TO GO UP ABOVE
いつものいつものこの道を歩いていこう
人種も政治も宗教も要らないとこ
ステージへと続く俺のこの道を
SWINGしてBOPしてHIPしてHOPだろ
俺はイカれた音楽家 無二のMILESTONE
BEATのCONDUCTOR 果てるまでSING A SONG
咲かそう枯れ木に花を
踊ろう時には土砂降りの雨に打たれて
早すぎて流されがちな日々にふっと
何もかも変わっちまいそうな気がするけど
そんな時ほど心に太陽を
なるようになるさと言い切れる勇気を
ゆれる 風に
ゆれる 明日に
ゆれる 分からずに
だけど、弛まずに
LET'S GET IT ON HA?? バラ色の日々
遠回りばかりでも悪かない別に
ゆれる ゆれる 胸が 胸が
ゆれる ゆれる 胸が 胸が
ゆれる ゆれる 胸が 胸が
ゆれる ゆれる 胸が 胸が

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1. lyricと自分の日常

最初にガツンとやられたリリックはこれだ。

この心がゆれる時がある
それはバイト帰りのサンセットだったり
本の中に答えを見つけた時だったり
季節の変わり目を感じた時だったり

部活の飲み会が好きだった。

好きな音楽を爆音で流しながら、ウイスキーの瓶を回し飲む。

酔っ払ってプールに飛び込む、洗濯機に入る、グラウンドを意味もなく走り回る。そして、普段じゃ話せない部活への熱い思いを語る。

自分にとって部活の仲間と飲む時間は、まさに心の解放区だった。

そんないつもの飲み会の中で、ふと思ったことがある。

「今ある自分の日常の風景は、同じことを卒業した後に同じことをやったっとしても、それはもう”日常”ではなく”特別”になってしまうんじゃないか」

何もなくても夕方に「今日飲みましょう」のLINEで集まる、乾杯する。

練習終わり、いつもの定食屋で飯を食った後、近くのイズミヤで酒を買って、部室で飲む。

自分はそんな、自分の好きな人たちと過ごす「日常」を一番大切にしてるんじゃないか。

自分が一番大切なことは、旨い飯を食うことでもなく、インスタ映えすることでもなく、金持ちになることでもなく、「誰と、どうやって時間を過ごすこと」なんじゃないか。

そうだと気付いた時、心が「ゆれる」瞬間は、日常のふとした瞬間に潜むことを描いたこのリリックに、雷に打たれた。

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2. 憧れとポリシー(にしたい)

次は、「こう生きたい」と思えた2つのリリック。

社会から見れば窓際の人
でもいつに生まれても「俺は俺だ」と
時代に合わせ呼吸するつもりはない
人であることを選び 求めるLOVE

自分は元よりビビりな性格だ。

試合では強豪校に、受験では不合格に、会社では上司にどうにか怒られないように、日々生きている自分がいる。

就活をしても、何がやりたいかわからず、表面を取り繕い、他人と違う人生を歩むことや、お金と生活を心配する自分がいる。

世の中が、怖くてしょうがない。

そんな「窓際の人」の自分でも「「俺は俺だ」」と、時代に、人に、空気に流されずに生きていきたい。

自分が見つけたことに自信を持ちたい。他人と違う道を歩むことに胸を張れるようになりたい。否定されても何も思わない強さを持ちたい。

そして、「人であることを選び」たい、とこのリリックを聞いて常に思う。

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今日は残りの人生の始めの1ページ
まだまだやりたいことが山積みさ

やりたいことが自分には山積みだ。

もっと音楽を知りたい・作りたい、英語を話せるようになりたい、簿記の資格を取りたい、世界のいろんな場所に行きたい、宇宙飛行士の試験を受けたい...。

よく、新年に1年の目標を立てたり、年度の変わり目に「前期目標」を立てたりする人を見る。

だけど自分は、それが心底嫌いだった。

日付に左右されて決める「want」は、先に言葉が出てきた「want」じゃない。

「これをやりたい。」

そう思った瞬間が始まりだ。始まった時から、動き出せばいい。

そういうサイダーのように湧き上がってきた言葉でできた「want」を大切にしたい。

だから言葉が出てきた瞬間こそが、「始めの1ページ」だ。

別にそれが10ページで終わってもいいと思う。100ページ続いてもいいと思う。

とりあえず、やらなきゃ始まりさえしない。

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3. ”超越”する

最後に、EVISBEATSさんと田我流さんが生み出すこの楽曲で、超越したリリックを紹介したい。

人種も政治も宗教も要らないとこ

記憶に深く残った映画にパッチギ!という作品がある。

内容については深く触れないが、日本人高校生と在日コリアンの高校生の交流を描いた作品。

自分は、歴史に関する造詣はほとんど皆無だ。現代社会でも叫ばれている主義・主張にも全く自分の考えは持ち合わせない。

ただ、単純な考えだが、隣人とさえ仲良くなれない現状に、自国へも、他国へも辟易していることは確かだ。

現状のたった2国間の問題でさえ、莫大なカネが動き、喜怒哀楽する人がいて、何も前に進んでいない。

世界を見てもそうだ。63年の彼の言葉から世界はよくなっているだろうか。
どうも同じことを繰り返している気がしてならない。

そんな世の中で、作品目指すステージは、遺伝子で刻まれた色や国家・集団、人智が作る文化も超える「自分らしさ」。

超越的な枠組みの中で自分の作品を捉えるこのリリックは、さらに一つ高い視座にあるといっても過言ではないと思う。

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遠回りばかりでも悪かない別に

「遠回りばかりでも悪かない」

現代社会でこの言葉を胸張って言える人はどれくらいいるだろうか。

速さや効率、「いいね」を追求しすぎている今。

しかしその先に、少なくとも「自分が求めるもの」はあるか。

飛行機や新幹線に乗って、移動して「時間を買う」ことが本当にいいことなのか。

電波が届かないと本当に生きていけないか。

他人から「いいね」がもらえたら満足する人生なのか。

答えは人によって多様であっていいと思う。

ただそこに息苦しさを感じるなら、生き急ぐのを一旦やめよう。

いい意味で、自分(あなた)がいなくても社会は回る。

2011年、日本が劇的に変わった年とも言えよう。

そこから約10年。また過去の大量消費するような社会に戻っていないか。

「東京が一番」の日本になっていないか。

EVISBEATS氏らは、その時から「遠回り」でも悪くないことを知っていたのだろう。

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TITLE: ゆれる feat. 田我流 / EVISBEATS
収録ALBUM: 『ひとつになるとき』

EVISBEATS
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