ホットフラッシュの謎
「最近のぼせが辛くって」「恥ずかしいぐらい汗がぼとぼと出るのです」「夜中に熱くなって目が覚めます」これって更年期ですか?とよく尋ねられますが、尋ねてこられる方が30代の女性や60代の女性からだったりします。本来、更年期症状とは、閉経に伴う諸症状なのですから、閉経に伴わないこれらの「ホットフラッシュ現象」は更年期症状類似症状とは言えますが、更年期症状ではありません。では、なぜ、その様な事が起こるのでしょうか。
後の話をスムーズにするために、ここでいう「のぼせ」(ホットフラッシュ現象)について下記のように定義しておきます。
定義
「のぼせ」(ホットフラッシュ)とは、暑くないのに、身体が熱くなって汗をかく現象。寒暖差を感じたり、ふと身体に気を向けた瞬間に一気に暑くなり、主に上半身を中心に汗をかくことを言う。通常、発汗減少は数分間で治まり、汗が冷えると今度は寒くなる。上半身ののぼせを強く感じる一方で、下肢は冷えていて足元の冷感を感じる人が多い。
一般に、「のぼせ」(ホットフラッシュ)は、50歳前後の更年期によく見られることから更年期障害の症状のひとつと考えられ、ホルモン補充療法(HRT)を受ける方が多いですが、先に述べたように月経がきちんとある30歳台や閉経から10年近く経過した60歳台の女性に症状が出る事を考えると、ホルモン減少を主たる原因と考えるのは無理がありそうです。また、このホットフラッシュについて、末梢血管が拡張していてのぼせているから血管運動を薬物で調整したら治るという発想もありますが、そう簡単にはいきません。このコラムでいつも書いていることですが、それは「結果」であり、原因は他にあります。枝葉末節にとらわれていては本質を見失います。
では、どのように考えれば良いのでしょうか。
「のぼせ」(ホットフラッシュ)になりやすい人には特徴があります。
① 冷えている
② 心が騒がしい
① の冷えているとは「消化力」(胃腸機能)の低下を意味します。「消化力」の低下により全身を温め、動かすエネルギーが不足して、体は冷えて、毛穴の開け閉めが甘くなります。
② の心が騒がしいとは、イライラやムカムカ、ビクビクやオドオドし易い状態で落ち着かない状態をいいます。
このような状況下では、身体の制御が不安定になり、身体のサーモスタットが過剰反応します。私は、これを体の中に棲む「お節介チャッカマン」と呼んでいます。「お節介チャッカマン」はそんな必要ないのに、お節介にも冷えた場所を探し周って冷えた場所を見付けしだい火力の強いバーナーでボッッ!と体を加熱するのです。チャッカマンは心が冷えてもやってきます。その対策は、冷えをとること。つまり、胃腸を整えて、心穏やかにして「冷え」を減らす事。つまり、消化力を落とさないように養生し体を温めることで、ホットフラッシュは落ちつくのです。のぼせるのに、温めるってちょっと意外に見えるかも知れませんが、そうなのですよ。
さて、このような訳ですから、更年期障害の時におきるホットフラッシュについても下の図に表したような仕組みで症状が出ます。ホルモンの減少も症状発生の原因のひとつではありますが、更年期でも症状が出ない人がいるのは、ホルモン減少だけが原因でないことを意味しています。つまり、土台である消化力、体力、心の状態、社会的環境負荷、全てが関係するのです。裏を返せば、どこ変えても症状は軽くなることを意味します。
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