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寺山修司の短歌「君たちの呼びあう声の」
君たちの呼びあう声の川ぎしにズボンをめくりあげてわれあり
『血と麦』(1962)の「呼ぶ」に収められている歌。『寺山修司全歌集』(1971)では、「初期歌篇」の「夏美の歌」の「十五才」に入っている。
■解釈
友達が川岸で遊んでいる。水を跳ね上げたり、互いに水をかけ合ったりして、喚声を上げている。川岸にやってきた「われ」も、彼らに加わろうと急いでズボンをまくり上げている。
子供の頃の思い出を詠んだものだろうか。いや、僕には中高生のイメージが浮かぶ。体は大人になりつつあるのに、精神的にはまだまだ子供。川でみんなとばしゃばしゃすることが楽しい。
「われあり」は、そういう自分がかつていた、ということだろうが、「よし、おれも参戦するぞ」というわくわく感も込められているように思う。
屈託のない青春の気にあふれる歌だ。
■おわりに
寺山修司にこんな健全な歌があったとは! 少しほっとする。
■参考文献
『寺山修司全歌集』講談社学術文庫、2011
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