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AIの利用において大企業が気をつけるべき独禁法と下請法について


こんにちは、よじまるです。

経産省から出された「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」がとても有用だということで、解説記事を書いています。

解説記事は以下のマガジンにまとめています。

概要はこちら。


今回の記事では第3章より、

AIの利用において大企業が気をつけるべき独禁法と下請法について


解説します。

目次

1. 独禁法
 1.1 優越的地位の濫用
 1.2 排他条件付取引・拘束条件付取引等

2. 下請法


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1. 独禁法

独禁法とは、独占禁止法のことであり、資本主義の市場経済において、健全で公正な競争状態を維持するために独占的、協調的、あるいは競争方法として不公正な行動を防ぐことを目的とする法令の総称ないし法分野のことを指します。(参考:Wikipedia


1.1 優越的地位の濫用

契約した当事者間に事実上の優越関係がある場合には、独占禁止法の優越的地位の濫用が問題となる可能性があります。

具体的には、

①成果物にかかる受託者の権利を譲渡させたり委託契約の趣旨に反しない範囲で他の目的のために二次利用することを制限したりする場合には優越的地位の濫用として問題となる

②ただし、二次利用の制限に対する対価を別途払っているような場合は優越的地位の濫用とはならない

③対価を払っている場合でも、不当に低い場合や成果物等にかかる権利の譲渡等を事実上強制する場合など、受託者に対して不当に不利益を与える場合には、優越的地位の濫用として問題となる


とされています。つまり、


①俺との取引で得られたものだから成果物の権利は全部俺のものな、二次利用も一切禁止で。というようなジャイアン的思想・行動は問題である

②ただし、お金を払えばその限りではない


③お金を払っていればいいわけではなく、妥当な対価を支払っている必要がある


ということになります。


1.2 排他条件付取引・拘束条件付取引等

排他条件付取引・拘束条件取引等に関しても問題が起こる可能性があると言います。

要するに、

取引に関する条件を不当に拘束したり自分以外の相手との取引を不当に排除すること


が問題となるということです。具体的に問題となる場合を考えます。AIの利用に関しては、ライセンス契約によるものがあります。作成したものを利用する権利をライセンシングするものがあります。この時、権利をあげる方をライセンサー、権利をもらう方をライセンシーと呼びます。


①ライセンサーがライセンシーに対して、改良したものについて独占ライセンスとすることを求める(他社への提供を排除する)


ことは不公正な取引方法として問題となります

②改良したモデルについて、ライセンサーへの提供を義務づけること(改良したAIもA社には使わせてね!とすること)


は、ライセンシーが技術を自由に利用できる場合には不公正な取引とはなりません


また、改良技術がライセンス技術なしには利用できないものである場合には、


③当該改良技術にかかる権利を相応の対価でライセンサーに譲渡する義務を貸す


ことについては問題はないとされています。つまり、改良したものの権利も相応の対価を払えば譲渡させても問題はないということです。もちろん相応の対価でなければ問題となります。


そして、

④ライセンス技術についてライセンシーが利用する過程で取得した知識または経験をライセンサーに報告する義務を課す(利用する中でわかったことは逐次ライセンサーに報告してね!)


という行為は、①に該当しない限り、つまりライセンシーが取得したノウハウをライセンサーにライセンスすることを義務づけるものでない限り、問題がないとされています。


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2.  下請法

独禁法以外で問題となりうるのが、下請法です。こちらの法律は、一定規模を超える元請事業者が一定規模以下の事業者に委託する場合に対象となります。

つまり、大手システム会社などが開発の一部を他の中小システム会社に委託する場合に対象となります。


下請法の対象となる場合は、

①支払い遅延

②下請代金の減額

③著しく低い下請代金での取引


などが禁止されます。具体的には以下の条項を守る必要があります。

①下請事業者から給付を受領してから60日以内のできる限り短い期間内に対価の支払い期日を定める必要がある

②下請代金の額、支払い期日及び支払い方法等を記載した書面を交付

③支払い遅延の場合には、下請事業者の給付を受領した日から起算して60日を超過した日から支払いをする日までの期間について、年率14.6%の遅延利息の支払い義務を負う

④一定の書類の作成・保存義務を負う


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まとめ

今回の記事では、AIの利用において大企業が気をつけるべき独禁法と下請法について解説しました。


次回の記事では、AI利用の契約の進め方について詳しく解説します。


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株式会社ACESでは、上記のガイドラインの内容を踏まえ、AIの技術導入及び技術導入のためのコンサルティングを行っております。

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東京大学の理系大学院生。専門は人工知能・認知工学。 Intelligence as a service. 知をサービスに落とし込む仕事をしています。 株式会社ACES COO.
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