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言葉の宝箱 0136【人をキライだという気持ち】


『黄色い目の魚』佐藤多佳子(新潮社2002/10/30)


あとがきに
”『黄色い目の魚』というタイトルのお話を初めて書いたのは、
大学二年の時です(略)黄色い目をしたガラスの魚と性格の悪い女の子の交流を描いた短編でした(略)『黄色い目の魚』を二度目に書いたのは、それから十年後です(略)さて、また十年後です(略)単行本の夢がかなったわけなのですが、いざ短編を並べてみると、さすがに十年前の作品は微妙に違います。文章や話のリズムなどが。でも、今、書き直すと壊れてしまう気がして、細かいところをいじっただけで、そのままの姿で残しました。もし、読んでいて違和感を覚えられたら、ごめんなさい。全てがここから始まったので、削るわけにも変えるわけにもいかなかった作者のわがままをお許しください P332 ” とある。

性格の悪い女の子。なぜ性格が悪くなってしまったのか。
その性格を受け入れてくれる人たちとの交流で、
痛々しく感じられたものが、
可憐らしく微笑ましくになり、最後は「お幸せに」となる青春小説。

・人をキライだという気持ちは汚い。毒がある。
自分の出す毒にやられて自分が汚れて苦しくて死にそうになる P90

 ・「ほんの一瞬だよ」(略)
「一緒のチームでプレーできる時間」(略)
「あっという間に終っちゃうよ」 P137

・「いいな、木島クンは。やれることがいっぱいある」
「私は何もしてない。でも、何が好きかだけは、わかってるんだ」
村田の声が耳によみがえった。
細かい震えが全身を走るのを感じた P153

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