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言葉の宝箱 1057【あちらにもこちらにもいい顔をして、波風が立たないようにする。嫌な思いをしないように。厄介を背負い込まずに済むように、だろう】

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『甘いものでもおひとつ』田牧大和(文春文庫2016/5/10)

両親亡き後、叔父に実家を追われた晴太郎と幸次郎。
兄弟はかつて父の許で修業していた
職人の茂市と一緒に菓子司『藍千堂』を開く。
優しい職人肌の晴太郎と確り者で商才に長けた幸次郎は
亡き父の教えを守りながら、叔父の嫌がらせにも負けず、
知恵と工夫を凝らした季節の菓子で店を切り盛りする繁盛記。
色鮮やかな和菓子を通じて、江戸の四季と人情を描く
6話連作短編時代小説集。
『四文の柏餅』『氷柱姫』『弥生のかの女』『父の名と祝い菓子』
『迷子騒動』『百代桜』
ほのぼの、ほんのり、ほっこり ……ほの字の寛げる素敵なお話し集。
和菓子が食べたくなる、作ってみたくなる。

・あちらにもこちらにもいい顔をして、波風が立たないようにする。
それはあちらやこちらのためを思ってじゃない。
お前自身が嫌な思いをしないように。
厄介を背負い込まずに済むように、だろう P106

・俺ぁ、お天道さんの言う通りにしているだけさ。
お天道さんが「やれ」と言やあ、
気が乗らなくたって「しゃあねぇ、やるか」ってなる。
「やめとけ」って言われりゃ、
「もったいなねぇなあ」って思ったって、やらねぇ P111


*思い当たる節はある。
胸に手を当てなくても、ある。
誰だって嫌な思いはしたくない。
でも、そうもいかなこともある。

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