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言葉の宝箱 0442【大人になっていくうちに、いろんなものをやめていくのかなあ】

関口03

『空をつかむまで』関口尚(集英社文庫2009/6/30)

心に大きな傷を大人に負わされ、覇気を失くしている男子中学三年生三人が廃校になる母校の名を刻む為にトライアスロンに挑む、切ない青春小説。
第22回坪田譲治文学賞受賞作。

・みんなだんだん大人になっていくうちに、
いろんなものをやめていくのかなあ P74

・ぼくらはよく望をみたすことを覚えるかわりに、
いろんなものを見失っていくんじゃないだろうか P85

・せめて、好きな女の子の前では、言い訳をしない男になりたいんだ P120

・平穏な毎日は、たしかにぼくを傷つけなかったけれど、
きっとそのあいだにたくさんの可能性を捨ててしまったにちがいない P121

・なぜか心に余裕があった。
しっかりと負けを認める強さが、自分にあるのだとうれしくなった P124

・ほかの人に負けるのがいやで、投げだしていた。
でも、それはまちがいだった。他人とくらべたりせず、
もっと自分でたのしめばそれでいいのだ。
下手くそな自分から目をそらさないで、努力を続けて、
少しでも以前の自分より前進できればそれでいいのだ P199

・ぼくたちは病んでなんかいない。
大人たちに押しつけられた歪みに耐えられないやつが出てきているだけだ。心の闇なんてない。ぼくたちはあと少し考える力が必要なだけだ。
言ってることとやってることがちぐはぐじゃない
憧れたくなるような大人に、そばで導いて貰えればきっと変わる。
ただ、ぼくらもなにもしないでぼっとしているだけじゃ駄目だ(略)
弱さに取り込まれないように、もっと強くならなくちゃいけない(略)
自分のつらさや苦しさにばかり詳しくなったって、
なんにも変わらない(略)大切なのはイメージだ。
もっと高くジャンプして、青い空に手を伸ばすようにして、
歪んだ大人たちがつかめなかった生きるってことの楽しさを、
ぼくらの世代が手をするのだ。
そのための強さを手に入れるには、足を踏み出さなくちゃいけない。
それは大袈裟な話ではなくて、きっと身近な一歩であってもいい P254

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