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言葉の宝箱 1004【成果というもんは、続けたもんだけが手にできるんやで】

甲士07

『そうだ小説を書こう』山本甲士(小学館文庫2012/7/11)

山本宏司は会社を左遷され、妻と離婚し一人佐賀へやってきた。
彼は対話を拒絶する息子のために
小説を書くことで父と子の絆を回復しようと試みるが、問題山積。
自分が書いた文章の何がよくないのかさえ判らない始末。
そこで彼は佐賀に住むプロ作家に教えを請うのだが……。
試行錯誤を繰り返しながら、
新人賞を受賞してプロデビューするまでを描き、
主人公と共に小説を書く技術が修得できるという希有な小説指南小説。
平凡な男が曲がりなりにも思いを遂げた物語。
山本ひろし名義で刊行された『君だけの物語』を改題し大幅に加筆改稿した作品を通して小説の書き方や作家の力量、小説の楽しみ方が分かる本。

・才能がある人とはどういう人なのか。
それは、世間が才能があると認めた人である。
それぞれの世界で成功した人はたいがい、才能があったことにされる(略)しかし、ここにトリックがある。
才能というものは本来、生まれ持ったもの、
動かすことのできないはずのものだ。
才能がある人は生まれてから死ぬまで、
いや、死んだ後も才能の人ではないか。
だから、本来は、才能があったのに運に恵まれず
世間の評価を得られなかったという人もたくさんいたはずだし、
才能がないのに幸運が重なって
世間から評価を得てしまった人も少なからずいるはずだ。
ところが、世間はそういう感覚で才能という言葉を使ってはいない。
結果を出した人のことを、才能があったとみなしている。
反対に、結果を出せなかった人については、
「要するにあの人は才能がなかったのだ」と、
したり顔で言い放つのだ(略)
とにかく結果を出すこと。
結果さえ出してしまえば
「あなたには才能があったんですね」と世間は認めてくれるのだから P4

・どんな世界でも、
成果というもんは、続けたもんだけが手にできるんやで P44

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