死んで欲しい。7 始動

 いつものように朝起きて、犬の散歩をして子供たちを見送って
午前中仕事を調整し、君とお昼を食べ、コーヒーを飲んだところまでは、
いつもと変わらない日常だった。
変わっていた事があるとしたら、日常にはない君との顔合わせのお昼にちょっと心躍らせながら行ったことだ。

 その後のたった数時間の出来事で、僕はタイムマシーンにでも乗ってどこかの世界に行ってしまったように、もう元の世界には戻れない、違う世界の時間が始まってしまったのだ。

 僕はどうやって仕事に戻ったか帰り道、あまり覚えていない。
ただ、確実に僕のカラダはまだ君と同化した感覚が鮮明に残っていてる。
あの数時間がずっとずっと頭の中でリーピートしている。
 思い出しただけで、身体は暑くなり僕の中心に血液が急激に集まる感じがわかる。

もう一度、もう一度、君と重なり合いたい。
会いたい、会いたい、もうすぐにでも会いたい。

そんなことで頭がいっぱいの中、家にたどり着くと、家族がいた。
そうだった、俺は妻子ある人間だった。

すまない。
僕は初めて浮気という行為をしてしまった。
しかし、罪悪感がない。
罪悪感を抱かなきゃいけないと感じるふりをしていた。
すまない。あ

不思議なことに君のことで頭がいっぱいなんだけれど
仕事が手につかないわけではなく、逆に捗り、毎日が充実していく。

こんなに一人の男を狂わし始めた君は僕にとって
救世主なのか? 破滅の悪なのか?

もう一つの僕の人生が動き出してしまった。
 

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