死んで欲しい。12 君と僕

早歩きでレジに向かった彼の後を視線で追って
私は彼の椅子も丁寧に戻し、少し時間をかけてレジへ向かった。
ちょうど精算が終わって彼が振り向く。
微笑んでる。
私も微笑み返して、エレベーターに向かった。

もう会話は要らない。
ここで何か発言してしまうと、現実に戻ってしまいそうだった。

そのまま私達は長い廊下を歩いて部屋に向かった
ちょっと私は彼の後ろを歩いた。

レースのカーテンがかかった部屋は陽の光で十分に明るかった。
夜でもなければ、お酒も飲んでるわけでもないのに。
何に酔っているのか分からないが、何かに酔っていたい気分。

背もたれのないソファーに座った私の前に彼がいた。
いきなり彼は私の上着を荒々しく剥ぎ取った。
今まで見たことのない、彼がそこにいて一気に彼の世界に引き摺り込まれた。

 時々よぎる理性が私を抑制する。
その抑制をも剥ぎ取るかのように彼は、私のカラダを次々に刺激してくる。
初めての彼との交わりに私は何度何度も、強い快感を得てしまった。

 何度目かの快感を得た後、ようやく私たちはゆっくりと横になった。
私はうつ伏せになり強い西陽がさす大きな窓の方に視線を向けた。

背中越しで彼が、
僕たち合うよね。君もわかってるでしょ?
その声はいつもの優しい彼の声に変わっていた。









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