死んで欲しい。6 西日

 部屋に入った僕は君を抱き寄せた。
リアルな君は想像していたより小さくて、ぼくの僕の腕の中にすっぽりおさまった。
 僕は勢いよく君の服を剥ぎ取ってツンと立っている片方の乳房を口に含んだ。
君の声が漏れる。
僕の鼓動は高まり、荒々しい呼吸で一気に体中が熱くなった。
 これまでの抑えていたの気持ちと、欲望を一気に君にぶつけた。 
何度も何度も、年甲斐もなく、何度も君へぶつけた。

 愛の形は男女愛から家族愛へ、人間愛へと変わっていくという。
僕も家族愛、人間愛へと代わっていき、男女愛は自分の人生では終了した過去の愛だと思っていた。
 
 君の中の僕は、勇ましく、男らしく、強い自分がそこにいた。
 望んでいたような、望んではいけないと自分に戒めていた、誓いのような物を破ってしまったはずなのに、罪悪感より幸福感がましていた。

もう二度と離したくない。

ずっと探していたような、やっと見つけた君。
君をまた見つけるために、僕は今まで生きてきたんじゃないかと錯覚すらしてしまう。

 混乱する僕の横で君は、うつ伏せに横たわり、大きな窓の方に顔を向けている。   
綺麗な曲線を描いた君の背中、腰のくぼみに汗がうっすらと溜まっていて、そこに強い西日が当たって、とても綺麗だった。

そっと手を伸ばし君の髪を撫でた。
こっちを振り向いた君は、近づいて僕にキスをした。

「タバコ吸ってる人でした?」

「あっ嫌いだったよね。ごめん。やめる。」

僕はもう次に君に会うことしか考えていなかった。
君のためにタバコやめる。

もう、止められない。


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