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「Minstrel」あとがき

注意!
ストーリーのネタバレはありませんが、小説やストーリーを履修済みの方がより話の内容が分かるかと思います…。



あとがき


私は、”終わらない物語"が好きです。

昔から小説の最終巻を読むのが嫌で、発売されても買うだけ買って読まずにとっておいたりしました。1~9巻を何度も読み返して、心の準備を整えて、「いざ読むぞ!」と開くのですが…残りのページ数が減るにつれて寂しくなり、「最終章は明日読もう…」と終わらせるのを先延ばしにして…

あれ、そういえばあの小説の最終章、結局読んだっけ…。

と、終わり方が思い出せない小説が実は沢山あったりします。

勿論、最後まで読んで「あー!面白かった!」で記憶に残っている作品も沢山あるのですが…好きであればあるほど、物語が終わってしまうのが怖かったです。



さて。
そんな私が書いた「吟遊詩人」シリーズ小説、いかがでしたでしょうか。

前編を書き始めた時は、ほんのオマケ…くらいのつもりだったんです。Twitterにも書きましたが、前編小説は約5万字。私にとっては「短編」くらいの文字量です。

主人公役を瑠華ちゃんにする…というのは最初から決めていましたが、ストーリーは「主人公の女の子が吟遊詩人と旅して色んな街を廻る」程度のざっくり大筋だけしか決まっていませんでした。
1st Albumの時は、曲先行だったので。先にお声がけするfeat.の方を決め、その人の人柄やバックグラウンド、歌声に合う曲を作る…が最優先。物語は全曲ある程度固まった後に、キャラクターの詳細を組み立て、世界設定などを追加し、起承転結を組み立てました。

キャラクターは基本当て書きなので、「私から見たその人」が色濃く反映されています。
勿論、筋書きに合わせて若干のプラスアルファはありますが…。

そうやって書き上げた「Minstrel(前)」という物語。私の予想をはるかに超える好評ぶりで、1年前凄く驚いたのを覚えています。長文のDMを下さる方がいたり、びっしり感想ツイートをしてくれる方がいたり…
驚きと共に「自分の書いた物語がこんなに楽しんでもらえたんだ…!」と本当に嬉しかったです。

調子に乗った私はあることを思いつきます。
「折角台詞読みが出来るアーティストさんたちばかりなんだから…ストーリーイベントやりたい!朗読劇×ライブ!」
というわけで、2023年5月21日「吟遊詩人の追想録」というとんでもないイベントを開催させて頂きました。

初主催イベントで、しかもあまり類を見ない形式。会場を探し、スタッフさんを手配し、舞台として成立するように脚本を書き直し、リリック動画を用意し、BGM12曲を一から製作し、歌やセリフも練習し…絶対に一個人の人間がやることではない気もしましたが、無事実現できたのはひとえにfeat.アーティストの皆さんと協力してくれたお友達のお陰でした。

イベントをきっかけにこの物語を知ってくれた方も多かったと思います。
大変だったけれど、主催してよかった…と思えたのは足を運んで、楽しんで、感想や「続編待ってます!」の声を届けてくれた皆さんのお陰です…。本当に、ありがとうございました。


「追想録」を終えて、一区切りついて…さあ、後編に取り掛かろう!と決めてから、非常に苦戦したことがあります。

前編では曲先行製作でしたが、後編はストーリーを完結させることとアルバムの楽曲バランスを同時に考えなくてはいけない…という点です。

まず12曲各トラックのバランスを組み立ててみました。参加feat.アーティストの方は既に決まっていたので、各々どのような曲調になりそうか考慮し、おおよその順番を決めます。
次に物語のプロット(筋書き)を組み立ててみました。ざっくりと、こういう流れでこういうエンディングに帰結したい…などなど。
そこからもう一度曲に戻って、プロット通りに物語を進めるため順番を再検討したり、歌詞のテーマやキーワードを固めます。

それらを繰り返してとりあえず先に曲を作り進めていき…アルバム曲の7割ほどが完成した辺りで、小説本編を書き始めました。

プロットは出来ていたので序盤はサクサク書き進みましたが…とりあえず書きたい内容を全部書き上げてみたらなんと!350p!
後編だけで14万文字以上!(通常本屋さんに売っている小説1冊分が12~15万字です)

流石に全部は出せない…これじゃあ小説が分厚すぎてBOXの蓋閉まらない…とそこからシーンカット大会の始まりです。これが本当に難しくて…もういっそのこと前・中・後の3部構成にしてやろうかと思う程でしたが、アルバム自体は8割完成していたのでそんな訳にもいかず…。
泣く泣く数多のシーンを削って、なんとか筋が通るように、それでいて長すぎないように纏めた…のが「Minstrel(後)」です。

きっと読了済みの皆さんは感じたでしょう。「あれ?このシーンもう終わり!?」「ここの間に何があったのか知りたい…」「これってこういうこと!?それともこういうこと!?」などなど…。
恐らくそう感じた部分は削られていった可哀想な場面たちの名残です…。

何とか2部作に収めて出すことが出来ましたが…
「このキャラがどうしてこうなったのか、もっと知りたかったなあ」
「描かれていないけどこの先、この人たちどうなったの…?」
と少し名残惜しく思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。





…さて、冒頭の話に戻ります。

物語というのは、作者が筆をおいた時点で終わりを迎えてしまいます。
勿論、それぞれがアフターストーリーや各キャラのビハインドを想像で保管して続かせることもできます。
私は二次創作が大好きな人間ですから!(吟遊詩人キャラたちの二次創作ぜひお待ちしてます!!過激なものじゃなければなんでもOK派の作者です)

でも、作者が「終わり」を明言しなければ物語の世界は続けられる。
私は、終わらない物語を書きたいです。


詠ちゃんの物語をもっと沢山の方に知ってほしい。沢山愛されて、長く続けられる作品にしたい。その為にこれからも、自分にできることは少しずつ広げていこうと思っています。

同時に。
この物語と音楽を見つけて、愛して、楽しみにしてくださっている皆さまの為に、私がこの世界を終わらせないようにしたい…そう思っています。

…今はこれ以上明言は出来ませんが。
この先も私は創作を続け、楽曲・物語…色んな作品を世に送り出していきます。その中でも、今回の「吟遊詩人」シリーズは私にとって原点。
物語×音楽、という自分だけのスタイルを確立できた、大切な作品です。

この物語が終わらないように。
これからも皆様が、物語の世界を旅して廻れるように。

音楽を、言葉を、紡ぎ続けていきますね…!
無理のない範囲で、応援し続けて頂けたら嬉しいです。




それでは、また人生録の続きでお会いしましょう!
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。


2023.12.28  酔シグレ/香音(KANON)


p.s 初回限定盤DLカードを手に入れてくださった皆様。D.C. al Fine のメッセージはちゃんと伝わりましたか?
これからも、終わらない物語をお楽しみください。


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