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やりたい気持ちに正直に生きる。江角悠子さんがエッセイ本を出版して得た気づき

『わたしはまじめちゃん』の著者・江角悠子さんにインタビューしました。
江角さんは、出版社や広告代理店を経て2006年よりフリーランスに。『anan』『婦人画報』などの人気雑誌で執筆したり、大学の非常勤講師を務めたりと、さまざまな場で活躍しています。2020年からはライターを目指す人を応援するため「京都ライター塾」を主宰。2023年には『わたしは、まじめちゃん。』(京都暮らしの編集室)を自費出版し、エッセイストとしても活動しています。

後半では、自身を“まじめちゃん”代表と語る江角さんが、ZINE『わたしは、まじめちゃん』(京都暮らしの編集室)を制作した理由や、書いたあとの心の変化を伺います。仕事に家事、育児にと忙しい日々でも、自分らしい生き方を見つけることで、何歳からでも幸せになれると教えてくれます。

※この記事は全2回の第2回目です。前編はこちらをご覧ください。


紙の本が好き。エッセイを書きたい、という気持ちからはじめたZINEの制作


読書が大好きという江角さんは、20年以上前からZINEの魅力にはまっています。作り方の教室にも通い、いつかは紙の本を出版したいと思っていました。仲間との共著はあるものの、せっかくなら自分のエッセイを書きたいと、ZINEの制作をはじめます。

「エッセイの仕事をしたいのに依頼が来ないので、自分で本を作ろうと思ったのがきっかけです。まじめな自分を肯定して、『まじめは悪じゃなくて、むしろ素晴らしいことだよ』という本を、私が読みたくて作りました。昔からよく、まじめだねって言われてきたのですが、まじめは損だなと思った部分もあって。でもまじめに生きてきたからこそ、いまの自分があると思っています。

私、他人の失敗話がすごく好きなんです。すごく失礼なのですが、例えば尊敬する人が失敗するとなんだか安心するんですよね、『こんなにすごい人でも失敗するんだ』って。だからこの本には、失敗してもいいんだよという気持ちを込めて、私の失敗エピソードもたくさん書いています。

完璧主義で、限界を超えて頑張りすぎていた私が、『イヤなことはイヤと言う』『自分の気持ちを置きざりにしない』など、いろいろ手放したらすっきりしました

「江角悠子」を知らない人が、エッセイ本を手に取ってくれる。ZINEの制作にこめられたこだわりとは

江角さんは、東京や京都で開催された文学フリマに出展し、これまで制作したZINEを販売したことも。自分の本を誰かが買ってくれることが、とてもうれしいと語ります。

「『わたしは、まじめちゃん』を書き終えたとき、達成感でいっぱいで、1冊も売れなくてもいいかなと思っていたほど。でも1回目の文学フリマで30冊くらい売れて、2回目では完売して、すごくうれしかったんです。現在はオンラインショップで販売しているのですが、京都の古書店や東京の書店など、私の本を置いてくださっているお店もあるんです。

オンラインショップだと、私を知ってくれた方が買ってくれることがほとんどですが、書店だと『誰か分からないけど読んでみたい』と、本だけを見て手に取ってくれる。私のことをまったく知らない人が買ってくれるのが本屋さんの良さであり、すごいことだなと感じています。

1冊目のZINE『文章を書いて、生きていきたい』は、私が配信しているメルマガの中から、ライターとしての経験やマインドをまとめたもの。だからメールと同じ“横書き”にして制作しました。『わたしは、まじめちゃん』はエッセイなので、書店の本らしさを出したくて“縦書き”に。表紙の文字は、万年筆で私が書いたものをそのままデザインしてもらいました。

オンラインサロンのメンバーと一緒に文学フリマに出ると決めて、みんなで励まし合いながら、なんとか完成させたのもいい思い出です。一人ではきっと完成させられなかったと思います」

このままの自分でいい。共感してくれる人がいて、心が軽くなった

『わたしは、まじめちゃん』を書いてから、まじめな自分を肯定できるようになったという江角さん。次のエッセイのテーマも考えているようです。

「書くことで自分を肯定でき、気持ちがすっきりしました。この本を書いてから、頑張りすぎることが少し減ったような気がします。共感してくださる人も多くて、私だけじゃないんだと気づいたし、これからもまじめちゃんのままでいいんだ、と思いました

次は、『すぐそこにある小さな幸せ』というテーマでZINEを作りたいと考えています。まだ構想中なのですが、見過ごしてしまいそうな小さな幸せをいっぱい集めたエッセイです。日々忙しく過ごしている中でも、少し意識をかえれば小さな幸せに気づけると思うんです。見逃してしまいそうな出来事から幸せを感じ取り、心穏やかに生きていくためのヒントになればうれしいです」

江角悠子さんが、心のウェルネスのためにしていること

「毎日ではないのですが、朝、瞑想をしています。10年ほど前からヨガをやっていて、ヨガのあとに行う瞑想の心地よさが忘れられなくて。今はヨガをやめてしまったのですが、瞑想の習慣だけが続いています。自分の心と向き合う大切な時間です」

江角悠子さんが、体のウェルネスのためにしていること

「ヒップホップダンスです。BTSを見てはまったのがきっかけで、40代以上の初心者向けレッスンをしている教室を見つけて、3年ほど前から通っています。子どもの頃に、モダンバレエや新体操をやっていたので、踊ることに抵抗はないのですが、ヒップホップはまったく動きが違うので大変です。

でもダンスをしている間は、『母親でもライターでもない、何でもない素の自分』でいられるんです。自分がやりたいと思ったことをできている気持ちが、満足感につながるのだと思います。いまは今月のイベント参加に向けて猛特訓中。一緒に踊っている仲間には、還暦の方もいるんですよ。いくつになっても自分がやりたいことをできるのは、幸せなことだなと感じます」

企画・取材・執筆(香川けいこ)

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