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XRにおける「教育」の可能性~アクティブラーニングのバーゲンセール~

怒涛の勢いで記事を書いております。元はライター志望、VRパフォーマーのyoikamiです。
今回は「VRにおける教育の可能性」について、yoikamiの所感を書かせていただきたいとおもっております、こちらもまた #XR創作大賞 の応募用とはなりますが、書きたかったことを主軸に書かせていただきます。

私はVRを活用しながら、様々なことを教えさせていただいております。
海外の方向け日本語講座、JLPT受験に向けた聴解、読解では何名もの方に合格していただけ、生徒の皆が自分たちで演奏し、日本語で歌った合唱曲をサプライズでプレゼントされたこともあります。(それはズルだよ、っていいながら泣きじゃくりました、ズルですよね)
VRダンスレッスンではいままでに約1000名以上の参加者様に来て頂き、VRならではの表現やアバターによる新しいダンススタイルなどを含むVRダンススクール「でお講」を開かせていただいております。
自分の立ち上げたモーションアクターチーム「BREATH ACTORS『カソウ』舞踏団」における演技や役者としての教育はもちろん、外部に向けた「演技、演出講習会」や「聞き取りやすい発声とは」など。
加えて「講師向け講習会~講習のすゝめ~」という「VRで教えること」についてフォーカスした、講師向けの「講習会の開き方、わかりやすい講習会とは?講師たるもの五者たれ」という内容もやらせていただきました。

私がVRを「教育においてかなり優れた場である」と認識しているのは様々な要因がありますが、中でもわかりやすく大きな点として「アクティブラーニングが容易である」ことが上げられます。

そもそも「アクティブラーニング」とは何か?

アクティブラーニングを学ぶ前に、まずは「ラーニングピラミッド」というものを見てみましょう。ラーニングピラミッドとは「学習定着率」の図解を表します。ピラミッドの下にいけばいくほど、時間にたいしての定着率が高くなっていきます。その中でも定着率が極めて高い3つを「アクティブラーニング」と言います。

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逆にいうと、アクティブラーニングの反対になるラーニングはVR上ではしにくい傾向すらあります。
・講義に至っては、講義内にてどれだけラーニングピラミッド上位を行うか、がそもそもの課題である(講義に視聴覚的アプローチをいれる、デモンストレーションを組み込む。討論するなど)上に、講義を行っている人そのものは「他の人に教える」というアクティブラーニングをしているため、発生しにくいと思っています。
・読書はVR内ではそもそも「読める本」がまだ少ないため、中々発生しません。
・視聴覚は「ビデオや音声による学習」のことをさします。VRの中で動画をみることは多々あるので、こちらは発生しやすいです。
・実演を見る に関してはVRにおいてとても重要だとおもっています。これはアクティブラーニングではありませんが、かなり効率的であり「なかなかできない」学習でもあります。しかしVR内では互いに自室にいながら、技術的なことをデモンストレーションすることもできます。

実際どのようにアクティブラーニングを行うのか?

一つずつ分解してみますと、他者と議論する。これは「リアルタイム」であることが大事です。レスポンスが早いことで意見の新鮮さが生まれ、頭の中で整理する必要があるために「より深い理解」を行っていけます。
話すことがメインコンテンツであるVRSNSであるからこその「話しやすさ」も教育的魅力の一つです。

実践による経験・練習 これがVRにおいてはずば抜けています、例え軍事訓練であろうとも、美術的な制作であろうとも、体験することができます。
なんとなれば「実際には体験できないこと」を体験することもできますよね、戦闘機のエンジンを稼働中に近づいて見物したり、スペースシャトルを自分のスイッチで打ち上げたり。

他人に教える これについては私が推奨し続けているものですが、VRにおいて、講習会を開くことが「とても容易である」というのが重要です。人を集めて何かを教える場合、教鞭をとる能力よりも課題になるのは「場所」や「コンプレックス」である場合も数多いはず。
場所を無限に増やせるVR上で、教えることに適した自分の姿で、他者に教えることもできます。
たとえ講習会ではなかったとしても、VRChatをやっている人の場合はUnityを教えあったことがあるのではないでしょうか?その場合、VR内にて「ダイナミックボーンがこういうふうに動くから~」などと何気無く話したこと、それが「他人に教える」というアクティブラーニングです。

実際のVR学習は?もはや学習ではなく「娯楽」として成り立つ

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ノートルダム大聖堂にいって、世界トップクラスの音楽家が行うDJを聞いて、その音に合わせて飛び交うパーティクル(光)を見て…これが一体どれだけの音楽的学習に繋がる体験か、というのは言うまでもないはずです。

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VRの中に存在する技術の講習会、それぞれが自室から接続しているものの、全員が同じワールドに存在して「一緒に講習をうけている」という感覚で授業をうけることができる。リモートと違い自分の姿は見られているので、講師が直接的に指導することもできうる。

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私が着目したのは「書」でもある。VRでは自宅から書を学ぶことすらできるので、たとえ別の国にいようとも気軽にJapanese calligraphyのレッスンを受けることもできるのだ。

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余談ともなりえるが、筆者ことVRパフォーマーyoikamiは「VRでダンスを学習」した、その結果世界的な音楽祭であるSXSW2021 では「XR Dance CONTEST」にて優勝することができた、これは自身の体験がそも、教育/学習においてVRが優れている証拠でもある。

 ある意味「カクテルパーティ効果」をうまく活用できるというポイント

「苦手なものは覚えられず、得意であるものや好きなものは学習率が高い」という「興味がある内容を優先して覚える」脳の仕組みを「カクテルパーティ効果」と呼びますが、私はダンスを覚える際、日本人の講師がおらず英語と韓国語をメインにダンスを教わったため、全く知らなかった英語と韓国語を「ダンスがしたいから」という理由で日常会話レベルではあるものの、1年少々で習得することができました。今では逆に「英語、韓国語でダンスレッスンをする講師」をやっています。アクティブラーニングにおける「他人に教える」におけるフェーズだと思っています。(とてもむずかしいです)

それ以外にも教育においてアドバンテージの高い「リモート性」や「興味関心を惹く」というメリット

昨今、コロナ禍においてリモートの授業が多い中「XRにおける教育」はとてつもない武器になりうると確信している。そのリモート性もさることながら、関心を惹くことにおいては「姿かたちが自由である」というメリットもある。
例えるなら、生徒がVRでなかったとしても講師がVRで入り、姿が「アニメのキャラクター」のようなアバターである場合、小学生などであれば否応無しに関心を惹く。講師そのものが一つの「コンテンツ」となりうるからである。
まずは「講師のVR化」による「リモート教育の進化」
そして「生徒のVR化」による「体験的学習の進化」
これらを含めて、教育の進化においてXR、VRは欠かせない存在になるのではないかと考える。

まとめ~VRは教育において優れているものの、それに特化した教師が必要である壁~

VRは教育に便利である、としても「敷居が低い」というわけではない。
その上「いまだ実装されていない」ことの理由はひとえに「VR講師という人種がいない」からだと思われる。

VR上での教育的強みを生かした授業をする、というのはそれに特化した、順応した講師である必要があり、そういった教育的人材がいまだ少なすぎる、生まれていないことが問題である。
すなわち、今後VRの値段が下がり、着用感が上がり、敷居が下がり、人口が増えることによって「教育」という概念がVR内に発生することは間違いない。そのため、筆者は小さいながらにVRの中で「教える」ということを普及し続けている。

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