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【連載小説⑨】与えられた船室

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カギについていた「C2」を頼りにメゾン・ド・プラージュの中庭に足を踏み入れると、突き当り一番右にある1,2階がC棟であることがわかった。2階の玄関に「C2」の表示が出ている。レンガの階段を上がりドアを開けると、想像していたより広い部屋が広がっていた。奥にある大きな窓の向こうは海だ。

車からニトリで買った荷物を運び、カーテンをつけたら部屋はすぐ住める状態になった。

築43年だけあって人が生活した痕跡がいくつもあるせいだろうか。心地よい気配にホッとしながら買い物リストを作った。

今日中に必要なものはストーブぐらいだろう。石造りの建物は冷えそうだ。

欲を言うなら仕事机も欲しいけれど、しばらくは食卓を兼用することにして持ち物をしかるべき場所に収納した。2日分と仕事道具だけの持ち物はあっけなくそれぞれの場所に落ち着いて、他にはもうすることがなかった。

予想以上に時間ができたので、買い物に出かけることにした。

まずはホームセンターで灯油ストーブ。トヨトミの対流式を選び、レジまで運んだ。仕事用にカウチにもなるイスが欲しいなと考えながら、まるで船室のような新居を思い浮かべていた。

目的地へ向かって進む、快適な私のキャビン。

突然ひらめいたコンセプトに満足しながらポリタンクや給油用のポンプを買い足し、そのままアウトレットモールへ向かった。キャンプ用品の専門店や、ちょっとおしゃれな生活用品ブランドが入っていた記憶があった。

イメージが固まって決断のスピードが上がってきたことを感じながら、私はモールへ車を走らせた。

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