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メゾン・ド・プラージュ

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結婚7年。ついに理解し合えることのなかった夫との関係を解消し、故郷の海辺で人生を生き直す女性のストーリー。「赦し」をテーマにした再生物語です。週1回更新しています。
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2023年3月の記事一覧

【連載小説⑩】夫からの着信

【連載小説⑩】夫からの着信

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夫からの着信に気がついたのは、アウトレットモールの駐車場に車を停めたときだった。予想以上に早い連絡に心臓が跳ねるのを感じながら、それでも家を出てまだ2日。事務的な連絡なら別居に触れずに話ができるかもしれない。

そう判断して電話に出ると、慌てたような間があり「ダスキンモップの交換が来てて…」と夫のうわずった声が聞こえた。

集金に来ているなら2,000円の使用料を支払い、今後必

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【連載小説⑨】与えられた船室

【連載小説⑨】与えられた船室

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カギについていた「C2」を頼りにメゾン・ド・プラージュの中庭に足を踏み入れると、突き当り一番右にある1,2階がC棟であることがわかった。2階の玄関に「C2」の表示が出ている。レンガの階段を上がりドアを開けると、想像していたより広い部屋が広がっていた。奥にある大きな窓の向こうは海だ。

車からニトリで買った荷物を運び、カーテンをつけたら部屋はすぐ住める状態になった。

築43年だ

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【連載小説⑧】メゾン・ド・プラージュC2号室

【連載小説⑧】メゾン・ド・プラージュC2号室

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新幹線の駅近くにあるカプセルホテルに泊まり、翌朝10時にメゾン・ド・プラージュの近くに住むオーナーを訪ねた。

電話でのやり取りはあったが初対面なので手土産を渡し、改めて最後の入居者が退去するまでのあいだ、住まわせてもらうことへの感謝を伝えた。

「県外から来られたの?」と不思議そうにしたオーナーには、昔この近くに住んでいてよく海に遊びに来ていたことや、幼心に垢ぬけた建物がとて

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【連載小説⑦】新生活はおひとりさまで

【連載小説⑦】新生活はおひとりさまで

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ハルとのおしゃべりがひとしきり済んだあと、ダメもとで家主に電話をかけてみると、「ちょうど今日クリーニングが入ったばかりだから」と明日入居の許可が降りた。日割りで家賃が発生するかもしれないが、新居で生活をスタートできるのはありがたかった。

ハルには「またすぐ会おう」と伝えた。これからは車で15分ほどの距離にいられる。学生のときのようにしょっちゅう会えなくても、今はこの距離が心強

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