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久しぶりの資金調達、その背景に込めた思い

先日、資金調達のプレスリリースを私が創業の株式会社アイスリーデザインとしてはじめて出した。資金調達をするITベンチャーというと20代、もしくは30代の社長が主流ではあるが、私は既に49歳なのでベンチャー社長というにはいい歳だ(笑)。どちらかというとIT業界でいえば、ひと世代前のおじさん。ここで文章を綴りたいなと思ったのは、今回の資金調達にはいろんな思いがあったので、それを残しておきたい。同世代ならびに若手の経営者にも読んでもらえれば幸いだ。

簡単に自己紹介

大学では哲学、社会学と人文系の学問を専攻し、大学院、ドイツ留学と26歳まで学生をしていた。新卒で入社した会社は野村総合研究所、その後ソフトバンクで新規事業と子会社の役員等をやって、いずれも比較的優秀だった?(笑)こともあり、30代前半で早々にアップアウトしてしまった。それから30代は、今時流行りのフリーランスではないが、フリーのコンサルと、いくつかのベンチャーの役員として会社経営をしていた。

現在のアイスリーデザインは、登記は2006年だが、実質は2011年からリスタートなので39歳の時から始めている。アイスリーデザインとしては今回初の資金調達だが、個人のバックグラウンド的にファイナンスは強く、過去いろんな会社で資金調達、資本提携で約30億近くはやっている。

数多くの経験という名の失敗

上のように書くと、なんだ自慢かよ、思われるかもしれないが、実際には、そんな綺麗な話ではない。むしろこれまでの人生を振り返ると多くの失敗と挫折を繰り返している。30代中盤から後半にかけては、商売で損をして、株式運用で損をして、またアフリカでも損をしたので、個人資産で数千万後半は軽く失っている。

その後、現在のアイスリーデザインで事業をスタートさせた時はマイナスからの出発だった。初期のクラウドサービス(今で言うSaaS)が比較的当たり最初は好調だったが、その後、組織・人のことオペレーション設計ミスと、一時期は社員が30%近くもやめ会社崩壊の危機もあった。嫌になって会社を売却して引退しようかとも思ったこともあった。いずれにせよ、経営者としては随分遠回りをした。お陰でどれだけ損をしても死なない、這い上がってこれるだけ生命力は養われたが(笑)。

i3DESIGNという会社とビジネスモデル

ここで改めてi3DESIGN(アイスリーデザイン)という会社について紹介したい。当社は、世の中のデジタルサービスの創出からグロースを一気通貫で支援するDX支援企業を標榜している。

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端的にいうと業種としてはいわゆる受託になるが、我々がやっているのは通常の受託とは違う。大きく2つあって、一つには我々は顧客がやりたいことを実現するのが受託はしない。顧客がやりたいことではなくクライアントとも徹底的に意見を戦わせるのを是としている。

もう一つは、我々は元々ツールベンダーから出発している。通常、受託の会社はいつかは自社サービスと夢を持つが、当社は逆で自社サービスの提供がスタートで、そこから受託エリアの事業を膨らませている。そもそも受託開発とプロダクト開発は、開発のアプローチが全く違う。プレスにも出しているが現在、開発を進めている次世代のノーコードプラットフォームは、これまでのプロダクトの開発・運用ノウハウを活かして、2-3年後の未来を見据えたサービスに育てたいと考えている。

また通常、受託事業は事業計画が立たないが、我々はITの会社であって計算の上に事業を形成している。シンプルに説明すると、戦略をもってリードを生成し、顧客の獲得数と、顧客の継続契約率、LTVの試算から売上予測と人員予測を計画している。また人的リソースに依存しがちなところを、型か仕組み化の徹底と、各人の作業を簡素化するためのツール(サービス)を自社で開発をすることによって生産性をあげている。

これを繰り返し強化することによって、ある意味SaaS的に計画と予測をもって成長ができるITサービスの会社を確立しようとしている(まだ完成度は30-40%な感じではあるが、あと1-2年後にはさらに強くなる)。

改めて野心の決意表明

経営者には色んなタイプがいるが、私は、もともと社会的な使命であるとか、大きなビジョンを持って独立したタイプではない。むしろ今流行りのFIRE(Financial Independence, Retire Early)ではないが、約20年前に同じようなことを志向していた。

ソフトンバク出身者でありながら孫さんみたいに「志」とかビックビジョンを語れる訳でもない、いや正確にはソフトバンク時代は語っていたのかもしれないが、人生の山谷で現実的になった。けど改めて、年齢的にも世代的にも社会に対して、そして次の世代が夢を持てる社会の実現をする責任を背負いたいと考えている。

とは言っても、いまさら孫さんにはなれないし、20-30代の社長がやっているメガベンチャーにもなれない(笑)。だが、まだまだ野心の炎は絶やしていない。改めての決意表明をすると。

- 今度は上場させる(過去経営した会社では成せえなかったので)
- 上場するからには、それなりの企業に育てる
- 多くのイノベーションを創出するためにベンチャーと大企業を橋渡しする
- 社長を多く排出し、次の世代が夢を持てる社会を実現する
- 向こう10年以内に、この会社をHoldings化させ複数の事業を展開する
- 時価総額1000億を目指す

これらは出来るかどうかは分からないが、公言をしないことには始まらない。また気合いとやる気だけを語る歳でもないので、それなりに計算はしている。ビジネスマンとしての集大成として実現に人生をかける。これまで収益体質のオーナー会社だったが、それを捨て、今回の増資に踏み込んだのは、これらの決意を持ってのことだ。

何度でも失敗してもやり直せばいい

以前よりベンチャーのスタートアップ環境は格段によくなった。またプロダクト開発もクラウドの発展により、これまた以前より初期コストを抑えて実現しやすくなった。一方で事業なんて、そんなに簡単にうまく行かない。仮にプロダクトがよくても組織の問題でだめになったりもよくある話だ。

ベンチャーは始めやすくなったが、失敗する人も多くでる世の中ということだ。けど、失敗は悪くない、むしろ成功している多くの経営者は鬼のように失敗と挫折を乗り越えてきている。要は何度失敗をしても、やり通せばいいだけの話だ。

同世代に言いたい。大企業の会社員であればポストを上り詰めて、日本を代表する企業の経営者として日本を牽引してくれ。仮にそうでなくても保守的?もしくは内向きにはまだなるな。企業からスピンアウトした人は、組織とか、人の採用とか、もういいやという声もよく聞くが、こじんまりしないで欲しい。

我々の世代は経済的な安定性や裕福さより、社会に影響力がある、もしくはインパクトがある仕事をするのが責務だと思っている。我々の世代が、やらなければならないのは、次の世代のためによりいい社会を実現することではないのか?と。我々の世代が勢いをもって、かっこいい大人の背中を見せるのが、次の世代に夢を与えるために必要なことなんじゃないのか?。

20-30代の若者に言いたいのは、ややおじさん的な口調になって恐縮だが、FIRE(Financial Independence, Retire Early)でもギグワーカー、会社を売却しての小金持ちを目指す、でもなんでもいい。だが、あまり若い時から小さくならないで欲しい。中国は、インドは、アフリカは、東欧の若者はもっと野望と夢を膨らませていて大胆だ。君たちが小さく纏まってしまうと、君たちが私と同世代になった時に、この国はいま以上に競争力を失っている。

今回、増資に際して実は周りの経営者からは多くは反対された。利益体質で回っていれば好きに事業をできるのに、そんな外部株主いれて面倒だとか、自由がなくなるとか、確かにそれは正しい。

けど、上にも書いた通りで、自分なりの決意としては、小さく纏まっている自分と決別してみた。

気がついたら私もいい歳のおっさんだが、成功事例を作ってやろうじゃないか?と。今回の増資にあたっては複数社をもちろん当たったが出資を断れたVCの何社からは、端的にいえば若者の方が爆発力があるからねー、本当に上場をする気あるんですか?と言われ相手にされなかった。そうだよねー、と思いつつも、今に見てろよ、だいたい北米でも証明されているのは経験者の起業の方が成功確率が高いんだと。それなだけに、今回の増資に協力してくれた2社、ならびに担当者には本当に感謝している。

いずれにせよ、こんな思いと決意で今回の資金調達をした。そして、これから数年後にまずは上場を目指す。クライアントと多くのイノベーションを共創して、この国が輝きを持てる会社にする。そして志をともにできる多くのメンバーとは積極的に働きたいと考えている。是非、私あてに連絡を頂ければ幸いだ。

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