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さよならは言わない。映画「ノマドランド」をみて考えたこと。


きっとこの人とはもう会わないんだろう。
日々の中でそう思うことは結構あるのではないだろうか。

それは直感的だ。
可能性はゼロでなくても、自分のライフスタイルや居住地、相手のそれを考えるときっと会おうとしない限りは会えないんだろうと。

ノマドとは「遊牧民」のことだ。
劇中のノマドはそれぞれの理由で住所を持たず、車で放浪しながら生きている。主人公もそうだ。

彼らは「さよなら」を言わない。
なぜなら居場所を決めず動き続ける彼らは制限なくどこにでも自分を連れて行くことができるからだ。移動し続ける彼らにはすれ違い、また出会う可能性は無限にある。

どこかに属することで、不変の居場所があるというアイデンティティーを得る代わりに、もう出会うことができなくなる「何か」が出来てしまうこともあるのではないか。

それは人に限ったことじゃないのかもしれない。
感情、思い出、経験、夢。
その中には会おうと思っても会えないこともあるのではないだろうか。

会いたいことにいつかまた会えるように。
まだ会っていない何かに出会えるように
人は動き続けなくてはいけないのかもしれない。


映画:ノマドランド (2021)
監督:クロエ・ジャオ
あらすじ *filmarks引用
リーマンショック後、企業の倒産とともに、長年住み慣れたネバダ州の企業城下町の住所を失った60代女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)。彼女の選択は、キャンピングカーに全ての思い出を詰め込んで、車上生活者、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩くことだった。その日その日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流とともに、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく。大きな反響を生んだ原作ノンフィクションをもとに、そこで描かれる実在のノマドたちとともに見つめる今を生きる希望を、広大な西部の自然の中で探し求めるロードムービー。

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