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英語学習は音の違いの認知から始めると成功する

1.日本語は音のバリエーションが少ない=日本人は耳が弱い?

山口俊治さんの「英語構文全集」の例文に、以下のようなものがある。

有名ミュージシャンを目の前にすると、西洋人は目を閉じ、日本人は目を見開いて耳を閉じたいと思う。

随分とパンチの効いた皮肉だが、これは結構当たっているかもしれない。日本人は、

耳より目の感覚を重視する。

顔文字にしても、日本と英語圏はハッキリと違いを見せている。

日本の笑顔→   (^_^) 

英語の笑顔→     :)

日本人がいかに「目」に頼って生きているかの証拠の一つである。日本人にとっては、目が感情のポイントなのだ。英語圏では、口元の形で意思を読み取っているけど、結局「目で見て判断」しているじゃないか!こじつけだ!!と言われれば、そうなのかもしれないが、口元に注目している=そこから発せられる「声=音」に注目しているという可能性がないだろうか。

他にも、日本語の漢字は見れば一瞬で意味がとれる一方、日本語は聞いただけではどっちの意味か分からない

同音異義語

が英語と比べてめちゃくちゃ多い。英語はせいぜい同じ発音でも2個の意味がある程度で、基本的にどの語も発音が違う。昔から日本人は音にはあまり頼らずにコミュニケーションを取ってきたのだ。

学術的には、母音が「あいうえお」5個に対して、英語の母音は26個ということで、

その数、実に5倍以上ある。

英語は子音の数も多くて、数々の音の違いを発せられるようになるために、英語圏の人たちは成長の過程で日本語ネイティブよりも口元の筋肉を発達させてきた。その影響で、英語の話者は口の動きが活発である。そして、結果として、英語は

単語と単語がくっついたり、音が脱落したり、強弱が激しい

という、非英語圏の人にとってはリスニング的にもスピーキング的にも難しく感じる現象へと帰結している。

日本語の音のバリエーションが少ないことで、日本人は耳が弱いように感じるかもしれないが、帰国生は日本人でも英語の音を習得していることから、生物学的に同じ人間であり機能の違いはない。

弱いのではなく、「慣れていない」ことが問題なのだ

2.フォニックスと発音に、最初からしっかり取り組む

私も英語を学んできて、今は指導する側ではありますが、日本の教育の流れで明らかに軽視されていることがあります。それは、

導入期のフォニックスと発音の認知

いやそんなことはない!今は小学校でも英語が3年生から始まっているし、中には子ども英語などで、発音をかなり上手にマスターしている子どもがいるのではないか!と反論されてしまうと思いますが、幼くして発音が上手になった彼らは、実は、

「音の違いを認知しているわけではない」

から、正しくきれいな発音ができても、のちに学習する単語やフレーズについてはほかの初学者たちと大して差はない状態でインプットしていくため、やがて英語力という点ではエリート街道から落ちていき、高校卒業の段階では

英語の発音は上手だけど英語が苦手な人

という残念なポジションに収まることが割と多いのです。まあ、一般の日本人が通う学校での小学校の英語授業にありそうな

発音を真似させて、ネイティブが大げさにほめる

というような茶番に時間を使うよりはよっぽど有効に発音を手に入れているので、伸びしろはかなりあるのは事実です。

いずれにせよ、導入期の小学校、中学校で、

フォニックスと発音

を認知させつつ繰り返し教え込む(ただ真似させるのではなく、音の違い、日本語との違いを意識的に理解させて言えるようになることを目指す)と、

英語が苦手

な子どもは減ります。もう一つ苦手の原因の「スペルの問題」については、また今度書きます。


3.具体策:BBC Learning Englishで十分

では、具体的に何を取り組んだらいいのか?

授業時間が限られている中で、フォニックスや発音に時間を割く余裕がないのはその通りで、文科省の人たちが夢物語で指導要領を作っている現状と、まだリーディング中心である高校受験、大学受験の現状において、フォニックスや発音の優先順位は当然落ちます。

そこで、youtubeなどのネット上の動画でカバーするのです。発音に関してならば、

BBC Lerning English

の発音基礎のパートを地道に取り組むだけで十分です。こんな優良コンテンツが無料の時代なんて、本当に今の若者は恵まれています。

オールイングリッシュのコンテンツなので、これらをかいつまんで教師が説明を加えてあげれば、最初の動画から家で計画的に取り組むシステムさえ作り上げれば、

英語の発音のレベルは 7/10

くらいまでは十分に上がります。多くの日本人がレベル2~3くらいで、英語が得意な学生でもせいぜい6くらいまでが通常なので、科目として英語が得意な人より上にすべての生徒が到達できるわけです。

フォニックスに関しては、youtubeなどにあまりにも多くの有効な動画がありますので、ピンときたものどれか一つを選んで、その一つを「一から最後まで」視聴して取り組むべきです。

4.具体策:上級者になるための発音練習とは?

レベル7程度までの道筋は、先ほど示しましたが、それ以上を目指す場合はどんな練習ないしトレーニングがあるかを示します。

1.シャドーイング

「自分で言えないことは聞き取れない」

という格言が英語リスニング学習にはあります。シャドーイングで、リスニング能力を高めつつ発音のレベルをあげていくと、レベル8~9まで行きます。

2.朗読

朗読で、感情を込める練習をすると、いよいよレベル9~10で、もうこれ以上は発音を気にする必要はないといく状態になります。音読は流行りに流行っていますが、結構

ロボットみたいな音読

で練習している人が多く、英語の学力はあがっても

実際のスピーキングには生きにくい練習

になっている人が結構多いのは残念なことで、我々教育者側の指導力不足を感じます。

ちなみに英語圏の人でも国や地域によって発音のアクセントなどだいぶ違うので、多少日本語の音が混ざる瞬間があっても、

100%意思の疎通に支障がない聞き違いが起きない状態

まで来たらレベル10というのが私の考えです。

3.ボイスアクター(声あて)

もう十分なのですが、最終的には英語話者と同じになりたいということならば、アニメや映画の登場人物のセリフを聞いて真似てから覚えて、音を消して自分が声優になってアクセントまで含めて再現するという遊びみたいなトレーニングが有効かと思います。最近はアプリなんかでも、この練習を促すものが結構ありますよね。でもこれらの練習は、

最終段階

であり、その前に、BBC Learning Englishなどの動画、またはフォニックス・発音に関する教材で、

音の違いの認知

してから練習するべきです。その方があとあとの伸びしろがグググっと増えます。


5.まとめ

フォニックスと発音を認知的に学んでから、音読やシャドーイングなどの訓練を継続的に続けることで、正しい発音とリスニング力が身につき、結果的にその人の英語学習は成功する。

P.S. 今回一切触れなかった文法の学習も、そのコンセプトが使われている文を意味を理解して声に出して覚えていくわけですから、発音練習の一環でもあると言えます。正しい発音で声に出さないと「間違った英語」が身につくので、そこで覚えた文法力はリスニングにはほとんど生きませんし、スピーキングには全く生かせません。

私も偏差値教育のただ中にいるので、当然生徒が偏差値60以上辺りは言ってもらわないとと思って英語を指導するため、文法やリーディング重視になってはいますが、実際に使用することを中心に考えた時、伝えたいことはこの通りです。

急がば回れで「音」の練習をちゃんとやろう!

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