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マジック・ステップ

「おめでとう。君には才能があった」

どういうことだ。
俺はゲーセンでダンスゲームをしていたはずだ。
画面に流れてくる矢印に合わせて床のボタンを踏んで、ついにパーフェクトだと思ったところなのだ。
ここはどうみてもゲーセンじゃあないし、変な男たちに囲まれている。

「魔法の発現に必要なのは呪文じゃない。脚だ」
「君のプレイしたゲームはね、魔方陣を踏むんだ」
「魔力のある者がプレイするとこの場所にワープする魔法だ」
「君には才能があった」

スタタン、タン。
彼らの一人がステップを踏むと、突如俺の体が宙に浮いた。

「君には魔法を学んでもらおう」
「ぼくらの一員として戦ってもらう」
「大丈夫、ダンスバトルのようなものさ」

混乱する俺に彼らは一方的に語り続ける。

「自己紹介が遅れたね。僕らはジダンダ。君にいろんなステップを教えてあげるよ」

魔法が下手そうな名前の組織だな。

【続く】

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