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アメリカ黒人史ー奴隷制からBLMまで

新たに読んだ本を紹介したい。「アメリカ黒人史」という本。アメリカの歴史を語るにあたって黒人の歴史や経験を抜きには語ることはできない。アメリカ文化、社会、歴史、スポーツ、ビジネスなどの話では必ず黒人の歴史が入ってくる。僕自身、英語で書かれたものも日本語で書かれたものも黒人の歴史に関する本はたくさん読んできた。ここ最近のBLM問題までもカバーしている本はなかったので、興味が惹かれて買ってみた。

ミュージシャンや政治家やスポーツ選手など、グローバルな舞台で活躍される様々な人には読んでいただきたいと感じた本である。非常にアカデミックな内容で興味が沸くかわからないが、この本をきっかけに何らかのメッセージを感じ取って発信してほしいと感じさせる本の一つである。

この本は、アフリカから奴隷船で黒人たちがやってくるところから始まり、歴史の教科書では必ず取り上げられる1960年代公民権運動のキング牧師、マルコムX、「ブラックパワー」を提唱したカリフォルニアの活動家ストークリー・カーマイケルなどの活動も忠実に書かれ、1960年代に黒人たちが市民権を勝ち取るために立ち上がるトリガーとなったポップカルチャーの側面も書かれているから面白い。ゴスペル、ソウルミュージック、ジャズといった黒人が自分自身たちのエスニシティに誇りを持つきっかけを作り、アメリカ社会に存在をアピールしたのがブラックミュージックだ。

黒人の有名人というと誰を思い浮かべるだろうか?マイケル・ジャクソン、ホイットニー・ヒューストン、ジャッキー・ロビンソン、カール・ルイス、ジェイムズ・ブラウン、ジョン・コルトレイン、ビリー・ホリデー、2パック、マイク・タイソン、モハメド・アリ、ジョージ・フォアマン、etc. 多かれ少なかれ、日本人に多大な影響を与えた人たちはたくさんいる。そしてつい先日亡くなられたハンク・アーロン氏もそうだ。世界を支えているのはブラックカルチャーとその精神であると僕は思っている。

本の話に戻る。ネタばらしになるので、詳しいことは一切書かない。2020年以降についても書かれている。ジョージ・フロイド氏が白人警官に暴行を受けた映像がYouTubeで流れ、全米のデモが起こるきっかけとなった出来事。自分たちの立場を捨ててまでその抗議運動に賛同するNBAやNFLのチャンスたち。まるで、1960年代の公民権を勝ち取るために行進をしてた黒人たちが、警官たちにホースや細粒ガス、警察犬などで攻撃を受けていた時代を彷彿させるほど、今日の差別問題があるということを露呈してしまっていることであるが、大きな進化を遂げていると僕は感じた。

全く別の人種の人たちが、このBlack Lives Matterの運動に賛同し、参加していたからだ。まさにこれは、黒人が黒人のための権利を勝ち取るための運動という位置づけではなく、地球上に存在するあらゆる人種の人たちが、「みんな同じ人間なんだ」ということを再認識させてくれるムーブメントであり、また自分たちにも権利があり、アクティブに動くべきであるということを再認識させてくれるものであると感じた。彼らの歴史は繰り返しているが、よりタフになっているし、自ら動きまくるというムーブメントが凄まじいと思う。


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