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『サウナ語辞典』 / 〈バレルサウナ〉について
つい先日、9月6日に『サウナ語辞典』(著者: 草彅 洋平+AMAMI / イラスト: 浜竹 睦子)が発売されました!
サウナ室におけるあれこれやサウナーならではの言動、施設特有の言い回しなど、なじみ深いものから聞いたことのないものまで、500超のサウナ語を収録。「文化系サウナー」の探求心をととのえる一冊になったかと!
さて、今日はそんな自著のどこにこだわったのか、少し突っ込んで書いていきたいと思います。
サウナ用語をひたすら集めた
今回、執筆にあたって「サウナに関する500の単語以上集めてください」と担当編集者に言われまして「僕一人ではもう無理!」と早々に泣きを入れて、CALTURE SAUNA TEAM "AMAMI"のメンバーと一緒に調査し、執筆するという体制を作りました。まずは組織づくりからというやつです(今後もなにかしらサウナの研究はしていきますので、ご興味ある人は "AMAMI"までご参加ください🙇)。
で、一般的なサウナ用語から、我々サウナチーム内で使っている独自用語も入れさせていただきました。
ちなみに、すでに昨年末に編集担当させていただいた「ブルータス」のサウナ号で、サウナ用語を執筆していました。ここで一度自分なりに用語というものに対して真剣に一度向き合っていたことが功を奏しました。この時、大きく次の3点に注意して執筆したからです。
・辞書的にきちんとその用語を説明する
・歴史的な背景や成り立ちに踏み込む
・資料や体験に基づき情報収集に励む
また公募をしまして自分たちが知らないだけで知られているかも、というサウナ用語も集めました。こちらもたくさんのご応募ありがとうございます!!
![](https://assets.st-note.com/img/1694241217564-DFadvc02bu.jpg)
なかでも読んでほしい用語
〈バレルサウナ〉
で、実はこの用語辞典、今後サウナ業界に一石と投じるであろうと勝手に僕が予測する、攻めた原稿をいくつか散りばめています。
そのうちの一つとして僕が書いた〈バレルサウナ〉の原稿があります。
みなさんは〈バレルサウナ〉の歴史をご存じですか?
僕も色々サウナに関する本を調べてみたのですが、〈バレルサウナ〉がどこからきたのか、皆目わかりませんでした。
ところが日本のサイトには次のような記述がたくさんあります。それがバレルサウナはフィンランドではごく当たり前に使われており、フィンランド由来のものであるという記述です。
一体みなさんどこで調べて、このような記事や販売文を書いたんでしょうか?
![](https://assets.st-note.com/img/1694242090908-8QzDFzHMnX.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1694242120434-cHCJrAGJjJ.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1694242278411-o25WFNDkrv.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1694242285610-rC2jRU22fS.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1694244657062-746IDXbhC9.png?width=1200)
こうした記述に僕はかねてより疑念がありました。
というのもまずフィンランドでバレルサウナをまず見かけたことがなかったからです。それにバレルサウナは正直良いサウナとはいえません。僕はサウナに行ってバレルサウナだとガッカリしてしまうのですが、あんなにサウナにうるさいフィンランド人がバレルサウナを好むとは思えないのです。
そこでサウナのことならこの人が一番詳しいという国際サウナ協会会長であるリスト・エロマー氏にコンタクトを取り、バレルサウナの歴史についてメールで質問をしました。
![](https://assets.st-note.com/img/1694241737117-Krn86SaHxa.jpg?width=1200)
するとエロマー会長からちょっとお怒りのメールが!
そうだ、お会いしたときにも言っていましたが、会長はバレルサウナが大変お嫌いなのだ!!
![](https://assets.st-note.com/img/1694243252676-C0uxef2e14.png?width=1200)
草彅洋平さんへ
バレルサウナは仕様等がないものだ。
最初のバレルサウナがどこに建てられたかは誰も知らない。
おそらく、最初は他の用途にその樽が使用され、その後バレルサウナとして建て直されたのだろう。
現在では、お客が悪いサウナを買いたいと思う限り、どこにでもバレルサウナはある。
ほとんどのバレルサウナは、輸送制限などのために低すぎるため、悪いサウナである。 実用的な最小の直径は2.5~2.6メートルで、十分な高さがある。しかし、これを1つのユニットとして輸送するのは難しい。 そこで、樽を一体化し、バックヤードで荷下ろし後、加熱できるような形で納品するというアイデアがある。 バレルサウナは低いので、ロウリュの法則を満たさない。つまり、足元が寒いのだ。 最大のメーカーのひとつは、アメリカのAlmost Haeven Sauna社です。標準的な外径は7フィートですが、これは低すぎます。 もっと情報が必要な場合は、私に知らせてください。
リスト エロマー
その後もメールのやりとりを続けたが、最初は「バレルサウナはフィンランドでもスウェーデンでも普通のサウナではありません」だった文面が、徐々に「本物のサウナではありません」とか「バレルサウナでは本物のフィンランドサウナを体験することはできない!」と雲行きが怪しくなってきたのでお礼を伝えて、メールを切り上げた。
こうして取材をもとに書き上げた原稿がこちらの用語です。
誤った記述でバレルサウナを販売している業者には、責任問題が生じる可能性があるでしょう。こうした業者に「もう少し勉強をし、きちんとした記述に書き直して欲しい」と警鐘を鳴らすつもりで書きました。
![](https://assets.st-note.com/img/1694241527718-b38HkxCw74.png?width=1200)
こんな感じで、たった一語の用語にそれなりの時間をかけ、踏み込んだ内容で記載しています。
それで用語が500以上あるんですよ!!
かけた労力の割の合わなさといったら。
ぜひ「サウナ用語辞典」を購入して、ご自身の目で確かめてみてください。
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