管長と音程の関係について

任意の長さの管を吹いて音を出した時、管長と音程の関係について、以下のような式が成り立ちます。

※ただし、ƒ:周波数[Hz]、T:気温[℃]、l:管長[m]、r:菅の半径[m]

[導出]
音速v[m/s]と気温T[℃]の関係式はv=331.5+0.6T ……①
波が一秒間に進む速さv[m/s]は振動数ƒ[1/s]と波長λ[m]の積なので、v=ƒλ……②
開管の場合、基本振動では管長l[m]の倍の波長λ[m]になるので、λ=2l……③
しかし、開口端補正(実際の振動の腹は管長より0.6r[m]だけ外側にある)が両端に働くので、管長はl+1.2r……④となる。
これを③式のlと交換するとλ=2(l+1.2r)……⑤
①、②、⑤式よりƒを解くと上式を得る。

ディジュリドゥやアルプホルン、チベッタンホルン等の自作を考えている人は「どのくらいの周波数が何の音か」というのがすごく重要だと思うので、周波数と音名の対応表を作りましたので参考にしてください。(表計算ソフトで÷2^(1/12)を下にビャーっとやっただけ)(テキストデータじゃなくてすまない)

この表を見ながら、欲しい音の周波数をƒに代入して、あとはlとrを調節していくだけです。

実験

家に何故かたまたまあった塩ビ管を使って、理論値と実際の音がどのくらいになるか調べます。たまたまあった塩ビ管のサイズは長さが77.6cm、口径は3.6cmでした。lとrは単位が[m]かつ、rは半径だということに注意して、l=0.776、r=0.018を代入します。室温は正確に測るツールが無かったので、その時の気温27℃をTの値として計算します。

ƒ=331.5+0.6*27/(2*0.776+2.4*0.018)
ƒ≒217.966399…

ということで、ƒ≒217.966Hzが得られました。この周波数は対応表を見るとA3(220.000Hz)に近いので、実際に鳴らしてみてだいたいA3の音が出れば実験成功です。

さて結果は……?

おーっ!

だいぶ良い感じですね。吹き方によってかなり振り幅がありましたが、ほとんどAの音になっています。物理学すごい。

おまけ①

加工上、あるいはデザイン的な問題で、吹き口と管尻の口径が違う場合の計算をどうすれば良いかを示しておきます。開口端補正の部分を少し変えれば良さそう。

※管の吹き口の半径をr1[m]、管尻の半径をr2[m]とする。

おまけ②

ピアノの最低音A0を出すには、どのくらいの大きさの管が必要になるかを求めてみます。仮にƒ=27.5、T=25、r=0.02としたときのlを求めます。

27.5=(331.5+0.6*25)/(2l+2.4*0.02)
2l+0.048=346.5/27.5
2l+0.048=12.6
2l=12.552
l=6.276[m]

ということで、627.6cmの管が必要なようです。


※補足※

今回はディジュリドゥ等のバズィングをした時の話ですが、尺八やカヴァルのように笛として音を出すとちょっと違うことになりそうです(この辺は僕はよくわかっていない)。悪しからず。

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