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大量消費社会からポリファーマシーについて考える④

前回は、サーキュラーエコノミーについて少し学んでみました。

今回は、これまでのことを踏まえて、タイトル通り、大量消費社会からポリファーマシーについて最後に少し考えていけたらと思っています。

大量消費社会を通してポリファーマシーについて思うこと

今回、ポリファーマシーの現状に始まり、大量消費社会から、日本の現状、カーボンニュートラルの取り組み、サーキュラーエコノミーについて、自分なりに学んでみました。
ポリファーマシーについては、ポリファーマシーを解消することの可否には議論がありつつも、なかなか最適解と呼べるポリファーマシーへの介入手法も存在していない現状があります。
大量消費社会については、産業革命以降現在主流となっている大量生産・大量消費を経て大量廃棄に至るというリニアエコノミー(線形経済)が問題視されており、その中で日本では、循環型社会が提唱され、主にカーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーについて今回は取り上げさせていただきました。
カーボンニュートラルについては、目標値の達成は難しいとしながらも、困難事例に対してはトランジションという移行期の設定であったり、タクソノミーという持続的な経済活動の定義をより明確化した取り組みについて学びました。
サーキュラーエコノミーについては、「3Rイニシアティブ」に始まり、「RE・CE政策」、ファストファッションの取り組み事例としてEUROPEAN COMMISSIONについて学んでみました。
全体として個人的な所感は、リニアエコノミーでのサプライチェーンを意識しながらも、サーキュラーエコノミーとしてのバリューチェーンを主軸としてあるべき状態を定義していく。そして、そのために必要なルールメイキングを整理し、各プロセス上で打ち手を設定していくことの必要性を感じました。
ポリファーマシーの視点で考えてみると、減薬の取り組みとしては、エビデンスが増えてきておりますが、健康アウトカムの改善に貢献しているものは限定的です。ひとえに、さまざまな原因から複合的に起こるポリファーマシー、そのサプライチェーンと呼んでいいのかわからないですが、一連の工程が整理できていない部分に起因の一つがある様に思いました。
今は、各エビデンスがリニアの様に一方通行で各工程別にシステマティックレビューがされたりしておりますが(糖尿病の人への減薬など)、これらをあるべき状態を定義し、ポジショニングマップのように整理し、さまざまな視点で分析できるようにしていく必要性があるのかもしれません。もしくは、あるべき状態も、1つにしにくい部分もあり、シナリオをいくつか用意しておく必要があるかもしれません。
また、カーボンニュートラルでの一度に達成できないものにトランジションを設定するという考え方は、調剤報酬でのポリファーマシーにおける服用薬剤調整支援料2の意味合いが共通する様にも思いました。
服用薬剤調整支援料2は実際に減薬したりなどの成果は要件に含まれておりませんが、減薬を知るきっかけになったり、ワンクッション置くためのものと考えると少しスッキリする部分も出てくるかと思います。
サーキュラーエコノミーでの3Rを、ポリファーマシーの視点でみてみると、リデュースとしての取り組みは少しずつ進んでいても、リユースやリサイクルという視点は服用するものとしては難しい気もします。
ただそもそも、大元の廃棄ゼロという視点で考えるのであれば、ポリファーマシーの場合、飲み忘れゼロという形にもなるのかと思います。
その場合では、毎日訪問し、飲み忘れがあれば、不足分だけ補充するというような、必要な薬だけお届けし、廃棄薬は無くしていくということなどを仕組み化し、実現は難しそうですが高付加価値サービスとしてできるのであれば一案としてはあるのかもしれません。
また、デジタルパスポートなどで、サプライチェーン上の透明性を上げるという部分は、個人的には面白く思いました。マイナポータルで、薬に関連した情報は集約化していく傾向はあります。ただ、その情報をどう現場の業務に落とし込んでいくかのデジタルヘルスリテラシーなどの部分は、まだまだイメージがつきにくく現場に放り投げられている様にも感じています。EUROPEAN COMMISSIONの取り組みのように、データベースやとりあえずみれる環境をただ整備するので終わりにするのではなく、スキルセットの構築体制なども重要であり、特に医療の意思決定に関しては、さまざまなステークホルダーが関わっているため、この様な部分も統合していくか、シームレスなデザインにしていくか考えていかないと、部分最適化でつぎはぎした様な取り組みになる可能性もあるのかなと思いました。
僕は、山住勝広氏のノットワーキングという概念が好きなのですが、さまざまなステークホルダーが関わり、その時の状況によった複雑化された要因により巻き起こるポリファーマシーに関しては、パターン化されたバリューチェーンでなく、柔軟にジャズのように即興で結ばれたり解けたりしてその時紡ぎ出せるベターなバリューチェーンを形成できる様な仕組みができるといいなと思っております。*35 それがEBMの実践の仕組み化にもつながるのではと思いますし、ただそういったものを全て人で管理・完結するのは難しいため、「Software 2.0」のようなどの様なデータを吸い上げられる様にし、ニューラルネットワークを進めていくのかなども意識していかなければいけないのかなと思います。*36

【参考資料】
*35:山住勝広,ユーリア・エンゲストローム.2008/2/8.新曜社.ノットワーキング 結び合う人間活動の創造へ
*36:Andrej Karpathy.Nov 12, 2017.Software 2.0(2024年4月20日参照)


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