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Figmaから多職種協働について考える②

前回までは、Figmaについて自分なりに学んできました。

Figmaの振り返り

大きな部分としては、Figmaは、メールなどでやり取りしている状況からデザインのコミュニケーションコストが高かった部分を、URLひとつに集約したブラウザファーストアプローチにより、業務のボトルネックを取り除いていったと思います。また、ブラウザファーストアプローチは他職種のコミュニケーションコストの低下にも役立ち、クロスサイドネットワークの拡大につながっています。さらに、コミュニティ形成、それを拡張する仕組みへの投資よりCommunity-led Growthに繋がったという理解です。

今回は、多職種協働について少し調べていけたらと思います。

多職種協働について

多職種協働とは、そもそもどういったことを指すのでしょうか?
多職種協働は、類似した言葉が多い現状もある様ですが、Interprofessional collaboration (IPC)として、コラボレーションを以下の様に説明している文献があります。*1

コラボレーションとは、共通の目標を達成するために 2 つ以上の組織が締結する、相互に有益で明確に定義された関係です。
この関係には、相互関係と目標の定義へのコミットメント、共同開発された構造と責任の共有、成功に対する相互の権限と責任、リソースと報酬の共有が含まれます。

Bart N Green,et al.2015;PMID: 25594446(2024年5月20日翻訳)

要は、同じ目的に対して2つ以上の職種で、それぞれの専門性の元協力し合う関係性のことを指しているのかと思います。
このように定義できた時、多職種協働はスキルミックスや効率性、サービスなどの向上につながるメリットが期待される一方で、職種間のパワーバランスや衝突、サービスの方向性や報告体制などが障壁や課題となる可能性が示されています。*1
また、IPCについて調べているコクランレビューでは、IPCの効果は限定的であり、IPCを促進するための介入も、現時点では効果的なものは少なそうな印象を受けます。*2
これらは、ポリファーマシーと同じように、ユースケースが複雑なため、画一的な方法にまとめて研究したりなどが難しい可能性もあるのかもしれません。

では、日本での多職種協働に関してはどの様な感じでしょうか。
あまり良い情報源を見つけられませんでしたが、病院ですとチーム医療、地域では地域包括ケアシステムや在宅医療など、多様な文脈で多職種連携は必要とされているかと思います。*3
一方で、多職種連携の困難さにも言及されており、職種による目標の違い、職種間の教育的背景や文化・言語の違い、他職種への理解不足などが障壁要因として挙げられている場合もあります。*3
在宅ケア時の多職種連携の困難さなどの実情を調べているアンケート調査では、多職種連携の困難には、「コミュニケーションでの困難」、「サービス提供上の困難」、「チームとして機能する上での困難」が挙げられております。それらは<互いに時間的余裕がない>という在宅ケアにかかわる各職種に共通するもの、<専門職の視点や役割期待が異なる>といった多職種協働であるがゆえの困難、そして<本音で話しづらい>等の個々の職種の努力で乗り越えられるものが含まれていた、と考察されています。*4
また、多職種連携の効用をグループインタビューから分析している研究もあり、この研究では、地域ケア会議に継続的な対話を取り入れることで「場の変容」が生じ,場の変容は「職種間の関係性と視点の変容」に寄与し,その後「援助の変容」が生じるというプロセスが見られた、と考察されています。*5
多職種が会する場を作り、継続していくことで、連携面の効用が醸成されていくということかと思います。
他には、介護福祉士が展開する多職種連携の状況と課題をアンケート調査している研究もございます。*6
個人的に印象に残った点は、主に連携をとっている職種は看護師、ケアマネジャーで、医師や薬剤師は低い傾向が見られていました。また、多職種連携の課題として、時間的問題、会議開催時のファシリテーション能力の不足が挙げられておりました。*6
多職種連携は継続していくことが重要であり必要とされている一方で、課題としては運用面、コミュニケーション面で大まかに分類でき、具体的な解決策はそこまで出ていない印象を受けました。

薬薬連携

僕は薬剤師ですので、もう少し掘り下げて、薬薬連携についても少し調べておこうと思います。
薬薬連携は、病院と薬局間での薬剤師の連携であるというイメージです。
薬薬連携はシステムの違いなどはあると思いますが、特定の薬では、顧客満足度が高くなる可能性も示唆されています。*7
また、宮崎美子氏の薬薬連携についてのレビューを参考にすると、以下のような利用シーンが挙げられております。*8

現状での薬薬連携における主な形態は,
地域勉強会を中心として連携する「地域勉強会型」
院外処方せんの対応を中心に連携する「院外処方せん対応型」
病院を退院する際に実施される連携として「退院時地域連携型」
これらの 3 形態に分類されると考える.

宮崎美子.YAKUGAKU ZASSHI.2013 年 133 巻 3 号 p. 337-341.地域における医療連携—理想的な薬薬連携とは

本レビューでは、それぞれの現状や課題、取り組み事例についても紹介されております。特に「院外処方せん対応型」として、疑義照会やトレーシングレポートの内容についてなどは、よく目にするテーマではないかと思います。
また、最後に理想的な薬薬連携の構築のための取り組み案についても言及されております。

第一に「地域での勉強会・研修会」を病院薬剤部門主導だけでなく,保険薬局からも地域基幹病院などへ提案し,連携のきっかけ作りをする.
第二に,患者により安全な医療サービスを提供できるよ う,院外処方せん対応に係わる病院薬剤部門と薬局との処方せん情報の共有化の方法を見直す.従来のお薬手帳の有効活用や新たな Webシステムやクラウド利用システムなどの構築方法の検討などが該当するであろう.
第三に,退院時のカンファレンスなどへの薬剤師同士の積極的参加を推進する.

宮崎美子.YAKUGAKU ZASSHI.2013 年 133 巻 3 号 p. 337-341.地域における医療連携—理想的な薬薬連携とは

病院でできていることできていないこと、薬局でできていることできていないことを可視化するためにもシステムの構築が必要であり、現状稼働している仕組みである勉強会やカンファレンスの機会を最大化していく取り組みが重要になってくるのであろうと思いました。

ざっくり、見つけられた情報を並べた程度にはなりますが、今回の多職種協働について調べたことを踏まえて、次回は、現状の医療における多職種協働において、Figmaのようなアプローチで参考になる部分はないか個人的に少し考えていければと思います。

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【参考資料】
*1:Bart N Green,et al.2015;PMID: 25594446
*2:FScott Reeves,et al.2017;PMID: 28639262
*3:茅ヶ崎市役所.多職種連携ガイドライン第2版(2024年5月20日参照)
*4:成瀬 和子,et al.神戸市看護大学紀要 Vol.22, 2018.在宅ケアにおける多職種連携の困難と課題
*5:東根 ちよ,et al.日本プライマリ・ケア連合学会誌.2023 年 46 巻 2 号 p. 36-42.多職種による継続的な対話の場づくりによる効用と枠組み―地域ケア会議に着目して―
*6:口村 淳,et al.実践現場のための専門誌「介護福祉士」第29号(令和6年3月発行).介護福祉士が展開する多職種連携の現状と課題−A県介護福祉士会を対象とした質問紙調査を通して−
*7:Olivia Ferrándezet al.2024;PMID: 38779422
*8:宮崎 美子.YAKUGAKU ZASSHI.2013 年 133 巻 3 号 p. 337-341.地域における医療連携—理想的な薬薬連携とは


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