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大量消費社会からポリファーマシーについて考える②

前回は、まず前提として、ポリファーマシーの現状などを簡単に確認してみました。

今回は、似たような文脈から気づきを得られるかと大量消費社会のことやその対策について学んでみようと思います。

大量消費社会について

まずは、大量消費社会について学んでいこうと思います。なんとなく、モノで溢れる時代になっていることは感覚的にも異論はないのではと思います。
日本では、高度経済成長と共に、大量消費の文化が徐々に醸成されてきております。*11

環境省.1 利便性の追求と大量生産・大量消費・大量廃棄の始まり−昭和30年代−より引用(2024年2月14日参照)

エネルギー消費の観点からでも、世界的に増加傾向であり、大量消費の動向は世界的なトレンドであることが窺えるかと思います。*12

BP p.l.c.bp Statistical Review of World Energy 2022 | 71st edition より引用

また廃棄物量についても、環境省のレポートでは世界的に増加傾向であり、今後も増加傾向は持続すると予測されています。*13

環境省.第2節 静脈産業で世界の循環型社会の構築をより引用(2024年2月14日参照)

このように、産業革命以降現在主流となっている大量生産・大量消費を経て大量廃棄に至るというリニアエコノミー(線形経済)が問題視されています。

循環型社会

このような大量消費・大量廃棄の背景から、日本では、循環型社会の形成の推進を目指し、2000年に「循環型社会形成推進基本法」が公布されています。その中で、循環型社会とは以下のように定義されています。*14

「循環型社会」とは、[1]廃棄物等の発生抑制、[2]循環資源の循環的な利用及び[3]適正な処分が確保されることによって、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会。

環境省.循環型社会形成推進基本法の概要より引用(2024年2月17日参照)

この「循環型社会形成推進基本法」に基づき、循環型社会形成推進基本計画が2003年より始まり、現在は第四次循環型社会形成推進基本計画まできております。*15

環境省.第四次循環型社会形成推進基本計画(パンフレット)(日本語)より引用(2024年2月17日参照)

直近の報告では、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーについて主に触れられております。*16

カーボンニュートラル

カーボンニュートラルに関しては、2020年10月に当時の菅義偉首相が2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを表明しています。*17
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることで、「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにするということです。*18
世界共通の長期目標値としては、産業革命前よりも世界の平均気温の上昇幅を2℃以下(2℃目標)、できれば1.5℃以下(1.5℃目標)にすることが掲げられています。*18
しかしながら、脱炭素が現実的に困難な場合の支援も必要となり、移行時期として、トランジション・ファイナンスなどの取り組みも行われています。*19

経済産業省.トランジション・ファイナンスより引用(2024年2月24日参照)

さらに、グリーンウォッシングなど、見た目上環境のためっぽい取り組みも出てしまってることから、環境面で持続可能な経済活動の分類として「EUタクソノミー」が作成され、日本でも対応が進んでいます。*20

環境省.EUのサスティナブルファイナンス戦略の動向より引用(2024年2月22日参照)

ただ、昨年年末に行われた気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)では、世界の平均気温は1.5℃の上昇に近づいてきており、目標達成の実現困難性が出てきている現状が浮かび上がっております。*21,22
このように、現状課題が多く目立つカーボンニュートラルであり、再生可能エネルギーなどの取り組みを達成していけたとしても全ての問題解決とまではいかない可能性も指摘されています。*23 このことに関してエレン・マッカーサー財団では、サーキュラーエコノミーと再生可能エネルギーと合わせて両輪で進めていく必要性を提案しております。*23

次回は、サーキュラーエコノミーについて深ぼっていければと考えております。

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【参考資料】
*11:環境省.1 利便性の追求と大量生産・大量消費・大量廃棄の始まり−昭和30年代−(2024年2月14日参照)
*12:BP p.l.c.bp Statistical Review of World Energy 2022 | 71st edition
*13:環境省.第2節 静脈産業で世界の循環型社会の構築を(2024年2月14日参照)
*14:環境省.循環型社会形成推進基本法の概要(2024年2月17日参照)
*15:環境省.第四次循環型社会形成推進基本計画(パンフレット)(日本語)(2024年2月17日参照)
*16:環境省.進捗状況の第2回点検結果及び循環経済工程表に関する参考資料集(令和4年9月)(2024年2月18日参照)
*17:経済産業省.第1部 エネルギーをめぐる状況と主な対策 第2章 2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と取組 はじめに(2024年2月18日参照)
*18:脱炭素ポータル.カーボンニュートラルとは(2024年2月18日参照)
*19:経済産業省.トランジション・ファイナンス(2024年2月24日参照)
*20:環境省.EUのサスティナブルファイナンス戦略の動向(2024年2月22日参照)
*21:国立環境研究所.COP28閉幕:化石燃料時代のその先へ(2024年2月18日参照)
*22:Copernicus.Record warm November consolidates 2023 as the warmest year(2024年2月18日参照)
*23:Ellen MacArthur Foundation.Completing the picture: How the circular economy tackles climate change(2024年2月18日参照)


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