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男性上司の部下の管理職が全員女性だと、どうなるのか?

前回に続いて、バイアスの話です。ただし、就活ではなく、日常の仕事におけるバイアスです。それは、ジェンダー・バイアスです。

私の勤め先はメーカー系IT会社なので、大多数が男性の男社会です。そんな中、私が取締役として担当する経営企画部は、女性が過半数です。

私含めて14人しかいませんが、男性6人・女性8人です。そして、管理職の課長3人全員が女性です。

もともと女性が多い会社では、これくらいのことは珍しくないかもしれません。

でも、今の勤め先では、男性マジョリティの大海に浮かぶ、女性マジョリティの小島で、かなり珍しいケースです。部は100以上ありますが、管理職全員が女性の部は、社内でここだけです。

また、他社の方にこの話をすると、驚かれることがあります。日本社会全体で見ても、男性がマジョリティの会社が多いの中で、管理職全員が女性の組織はレアなのかもしれません。

そんな中、男女を問わず聞かれるのが、「部下の管理職が全員女性で、どうですか? やりにくさとかありますか?」という質問です。

こういう質問が出ること自体が、日本社会にジェンダー・バイアスが根強くある、ということなのだろうと思います。でも、正直に言うと、私も「うーん、どうなるんだろう?」と内心で思いながらやってきたので、私にもジェンダー・バイアスはありました。

そこで、男性マジョリティの会社で、女性マジョリティの組織をマネジメントしてみて、わかったことを書いてみます。

結論:何も変わらない、けど・・・

つまらないかもしれませんが、これが事実です。部下の管理職が全員女性でも、やることは何ら変わりません

そもそも「この人が課長なら、何とかなるはず」と判断して、課長を人選してます。その際、順番に異動が発生するので、2人目までは無意識です。

3人目を決める時に、課長が全員女性ということに気付きました。でも、それを理由として、男性に変えようとは考えませんでした。

部下の管理職が全員女性でも、組織として成果を上げ、彼女たちが充実して仕事して、成長できるように、助言・指導したりするだけです。

少し高めの目標を与えるのも同じ、悩んでいたら相談に乗るのも同じ、時に厳しくダメ出しするのも同じです。組織マネジメントの基本は、ジェンダーに左右されません。

とはいえ、細かいところでは、色々と感じることはあります。それらは、女性マジョリティの中で、マイノリティ男性が抱くジェンダー・バイアスの一種とも言えます(私特有かもしれませんが)。以下では、そんな一風変わった逆説的なジェンダー・バイアスを紹介します。

1) 身だしなみ(清潔感)に気を使うようになった

責任者会議をやると、男性は私だけで、あと3人は女性です。なんだかんだで、異性の目は気になります。しかも、1対3です。

不思議なもので、男性が多数の中に女性が少数いても、異性からの見られ方は気になりません。でも、女性多数の中で男性が私だけだと、気にしてしまいます。モテたいというものではなく、女性に嫌われたくないという感じです。

そうなると、決してオシャレでない男性(=私)も、身だしなみに気を使うようになります。特に清潔感は意識します。白シャツが増えました。髪の毛をドライヤーで整えるようになりました。在宅勤務でWeb会議しかなくても、髭をきちんと剃るようになりました。

2) 転入してきた男性部下がカルチャーショックを受ける

男性がマジョリティの会社です。そんな会社の一般的な部門から、女性マジョリティの職場に男性社員がやってきます。課長全員が女性ということに加えて、課によっては、男性は自分だけのところもあります

着任後に男性メンバーと面談すると、異口同音に「ここまで女性ばかりの職場は初めてで、驚きました」と言ってました。あるメンバーは、異動元の部は30人くらいの全員が男性だったそうで、同じ課に女性がいるのは初めてだったようです。

とはいえ、彼らもしばらくすると慣れるみたいで、自然体で仕事するようになります。男1・女3で、ランチにも行ったりしてるみたいです。あと、マイノリティの男性メンバーが結束して、男子会(私以外)をやっていたりします。メンバー同士が仲が良いのは、有りがたい限りです。

3) 先進事例として話題にしてもらえる

ダイバーシティが求められる時代です。男性がマジョリティの会社(日本社会も)で、管理職全員が女性というのは、ある意味で先進事例です。私から話題にすることもありますが、周りの人も意識的に話題にしてくれます。

周りの人が話題にしてくれる時は、有りがたいことにポジティブです。性別に関係になく、課長の仕事ぶりを評価してもらえることが多いです。こういうニュートラルなところは、いい会社だなぁ、と思います。

社長(上司)が他の役員に、「経営企画は課長が全員女性だけど、みんなしっかりやっている。仕事に性別は関係ない。女性管理職はどんどん増やしたらいい。」と紹介してくれたのは嬉しかったです。

4) 狙って女性で固めたと誤解される

やはり珍しいケースなので、意図的に課長全員を女性にしたのかと質問されることがあります。「ダイバーシティの先進で凄いですね。流石です。」と評価されてしまうこともあります。

女性メンバーが社内の女性から、「周囲を女性で固めているけど、よはしさんは女好きなのか?」という質問を受けたこともあるそうです。

でも、狙って全員女性にしたわけではありません。男性課長の転出時に、後任を社内で調整したら、結果として課長全員が女性になったというのが実情です。とはいえ、課長が全員女性になった後は、私から積極的に「課長は全員女性です」と言及することはあります。

まとめ

つらつらと書きましたが、「男性上司の部下の管理職が全員女性だと、どうなるのか?」に対する私の見解は、「何も変わらない。でも、細かいとろでは、逆説的なジェンダー・バイアスは存在する。そのバイアスは仕事には支障ない。」という感じです。

とはいえ、改めて考えると、何も変わらずにやれていけるのは、部下の女性3人の人柄の良さに起因するところが多いように思います。また、3人とも難しい仕事に対して、根気よく丁寧に取り組んでくれています。

女性がマジョリティ、男性がマイノリティの職場でも、なんとかなっているのは、マジョリティ側の女性に助けられているからだろうなぁ、というのが本音です。

色々なジェンダー・バイアスはありますが、ゼロにできない以上、上手く向き合っていくしかないのでしょうね。性差も個性の一部程度になって、男女関わらず活躍できる社会になるといいなぁ、と思います。

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