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新卒採用の面接官から見たオンライン面接

新卒採用の面接官を、働き始めてから20数年の間に何度かやってきました。その経験をいくつか記事に書いてきました。

採用面接官の記事は有難いことに、そこそこ読まれてます。学生の読者でフォローしてくれている方もいます。感謝です。

ただ、私は人事の採用担当ではなく、本業の傍らの面接官です。20年間で10数回(150−200人)くらいの面接経験しかありません。そろそろ、ネタが尽きてきています。

他に何か書けることあるかなぁと思いだしてみると、前回(2021年春)に初めてオンライン面接の面接官をやったことが記事になるかもと思いつきました。

それ以前の平成の半ばから令和元年までは、全て対面のリアル面接です。それが、令和2年からオンライン主流になり、今年もおそらくオンラインが多いのでしょう。

そろそろ、採用面接を受ける人も増えていく時期のようです。そこで、リアル面接ばかりやってきた面接官が、オンライン面接の面接官をやって気づいたことを書いてみます。

オンラインもリアルも面接官がやることは変わらない

当たり前ですが、候補者に質問して会話するのは、オンラインでも変わりません。会話の内容から、当社で活躍できそうか判断して、採用の合否を決めるのも同じです。

「オンラインだと相手の反応がわかりにくい」という声もあります。学生の方は1対1のオンラインの面談の経験が少ないと、確かにやりにくいのかもしれません。

でも、私がオンライン面接した2021年春には、仕事のオンライン会議が定着していました。それまでに仕事で何百回もオンライン会議をやって、オンラインで相手の反応を掴むのにも慣れていました。

そのため、面接官の私には「オンライン面接だから相手の反応がわからない」ということはありませんでした。

10人くらい面接して、評価まで終わった後の印象は、リアル面接とあまり変わらないなぁ、という感じでした。

とはいえ、いくつか違いは感じましたので、以下に記載してみます。

オンラインの方が表情がよくわかる

リアル面接では、候補者の顔は、数m先に20cmくらいの大きさで見えます。それに対して、オンライン面接だと、私は24インチモニタなので、50cm位先に30cmくらいの大きさで見えます。

感覚的には2〜3倍の大きさで相手の顔が見えます。画質は粗いこともありますが、表情の変化や目の力強さとかは、オンラインの方がよくわかりました。これは意外でした。

オンラインだと全身の雰囲気がわからない

これは上記の逆のことですね。オンラインは顔は大きく見えても、全身が見えません。

リアル面接では、体格がいい学生が、ハキハキ受け答えしていると、最後まで仕事をやりきってくれそうな印象を受けました。姿勢が綺麗な学生が、よく考えた発言をしていると、難しいしごとでもやってくれそうな印象を受けました。

基本的には、質問の受け答えで合否判断します。でも、話す時の全身の雰囲気は伝えたい内容を増強する効果があります。オンラインだと全身の雰囲気での印象影響がありません。

この点は面接官として、少しやりにくかったところです。

服装は個人的興味でチェックしていた

仕事をしていると、在宅勤務の他社とのオンライン会議は、スーツでなくても問題ない場合が多くあります。オンライン面接でドレスコードフリーなら、リクルートスーツではなくなるかも、と思って、学生の服装をチェックしてました。

しかも、前回のオンライン面接の時は、面接官も学生もドレスコードフリーでした。私はジャケット、白シャツ、ノーネクタイだったはずです。

でも、オンライン面接でも学生は、全員がリクルートスーツでした。「なーんだ、オンラインでもリクルートスーツ着て、没個性なのは変わらないんだ」と、残念に思った記憶があります。

採用面接に限らず、仕事の服装で大事なことは、清潔感があって、相手に不快感を与えないことです(業種によっては指定やマナー、暗黙のルールはあります)。

ドレスコードフリーと言われたなら、オンライン面接で無理にリクルートスーツを着なくてもいいと思います。まあ、学生からすると、勇気がいるだろうとは思いますが。

(ちなみに、私が就活をした時の服装は、タイの旅行中に仕立てた緑色のスーツでした。しかも、赤の象柄のネクタイだったはずです。それでも、多くの面接は通過して、内定をもらってます。もちろん不合格もありましたが、それは服装以外の理由だろうと思います。)

背後の部屋が映るけど、ほぼ気にしてない

オンライン面接は不正防止のために、カメラオン・背景効果なしで行っていました。そして、学生はほぼ全員が自宅の部屋から参加でした。

そのため、学生は背景の部屋の写り方に気を配っていました。特に一人暮らしのワンルームの学生は、相当気を配っていて、シーツとかで棚を隠すとか苦労の跡が見られました。

でも、面接官の私は、背後の部屋はほぼ見ていません。1人目の学生の時には、ああこんな部屋なのかとは思いました。2-3人面接すると、後は気にならなくなります

最低限の整理整頓さえしてあれば、背後の部屋は面接官はジロジロ見ないから、そんなに気配りしなくても大丈夫だろうと思います。

アクシデント対応は人事がきちんと考えている

パソコンやスマホの故障、通信障害などでのアクシデントで、オンライン面接が止まることがあるかもしれません。また、面接官側もアクシデントが起こる可能性はあります。

そのため、人事から「アクシデント発生時は面談を中断して、復旧後に再開する。復旧に時間がかかる場合は、後日に再設定する」という方針をもらっていました。

そもそも、面接官は仕事でオンライン会議を学生以上に経験しているので、機器や通信のアクシデントは慣れています。もしも学生側の機器や通信の問題でアクシデントが起きても、よくある話なので、全く評価には関係ないです。

アクシデント発生時の対応は学生側にも伝わっていると思いますが、オンライン面接の機器や通信のアクシデントは、気にしなくても大丈夫です。
※幸いにも前回は一度も起こりませんでした

まとめ

こうやって書いてみると、非言語コミュニケーションの重心が全身から顔に移るくらいで、リアル面接とオンライン面接の違いはほぼないように思います。

むしろ、オンラインになって遠方の学生は、長時間の移動をしなくてよくなった分、楽になったのかもしれません。

でも、最終面接もオンライン面接というのは、それはそれで少し寂しいなぁ,と言う気もします。1次や2次はオンラインでも、最終面接くらいリアルで会って判断したいです

面接官から見たリアル面接とオンライン面接の最大の違いは「面接が終わった後、なんか寂しい」ということなのかな、と思いました。まあ、古い世代のノスタルジーなのかもしれませんがね。




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