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仕事の役に立った学問① 地理学(特定領域を多面的に分析する視点と手法)

大学を卒業して20年ぐらい仕事をする中で、大学で学んだことが仕事に役立っていると感じています。このことは経営学や工学などの実学に限らないと思います。おそらく、大学で学ぶことは、何でも仕事の役に立つはずです。

そこで、私が大学で学んできて、仕事の役に立ったと思う学問について、順番に紹介していきたいと思います。今回は第1弾の「地理学」です。

どんな授業をとっていたのか

ある地域に対して、文献や統計数値などを分析しながら、取り組むべきテーマの仮説を設定し、それを現地調査で検証していくという授業を取っていました。いわゆるフィールドワークを行う学問です

テーマの設定は自由で、特定の学問領域(経済学とか人類学とか)に寄らずに、アプローチも自由でした。地理的な課題は複合的であり、対象地域の課題を多面的に検討せよ、という感じの授業でした。

統計分析した結果も、グラフにするだけでなく、地図という平面上で表現する手法も学びました。当時はパソコンが普及してなかったので、トレーシングペーパーに手書きでグラフを書いてましたが、それも良い思い出です。

また、「巡検」と呼ばれる現地調査も行きました。アポイント先への訪問ヒアリングをしたり、街中を自由に回って設定した課題に関連して気になることをメモしたりしてました。

巡検が終わったら、事前の文献調査・統計分析の内容と、現地調査の内容を統合した上で、課題に対して考察を行ったレポートを提出するという流れでした。

仕事にどう役立つのか

大学の先生は「君たちが学んでいることは、研究の道に進まなくても、色々な仕事で役に立つ。特にマーケティング分野などで役に立つ。」とおっしゃってました。私の仕事はマーケティングでないですが、学んだことは本当に役立ちました。

ビジネスにせよ経営にせよ行政にせよ、取り組むべき課題は、特定の領域(地理学の地域に相当)で、色々な事象が複合した結果として発生しています。お客様からのご要望一つとってもそうだし、その背後や自社が抱える経営課題、行政が直面する社会課題は、なおさらそうだと思います。

そうした課題は、お客様の要望だって値下げとかでシンプルに解決しない場合も多くありします、経営課題や社会課題は財務・会計や法律や人事や技術とか単一手法で解決はできません。

そもそも、シンプルに単一手法で解決するような課題は、たいした課題ではありません。複雑に絡み合って、一見わけがわからないけど、何らかの課題が発生していて、ビジネスや経営や行政が上手くいかないのです。

仕事では、そうした「特定領域で発生する複雑系の課題」に取り組まないといけないのです。この記事を読んでいただいている社会人の方も、仕事でこのような面倒な課題に直面されているはずです。

じゃあ、「特定領域で発生する複雑系の課題」にどう対応すればいいのか?

わけのわからない状況だからこそ、色々な専門知識を寄せ合って、多面的に分析しなければなりません。その上で、次にやるべきテーマを仮説設定し、あの手この手を組み合わせて解決していく必要があります。

また、ビジネスにせよ経営にせよ行政にせよ、数字は付きものです。課題に対する分析には統計分析(定量分析)は不可欠です。それには、統計学というゴリゴリの数学というより、社会事象を数字と紐付ける発送・視点が必要になります。

しかも、必ず人が動く現場(フィールド)があり、現場へのアプローチは不可欠です。どんな課題でも、課題が起きている現場がイメージできなければ解決に至りません。現場に落とし込んで実行に移らない限り、解決が完了しません。つまり、ある種のフィールドワークが重要なのです。

このアプローチは、地理学のアプローチそのものです。対象が地域という空間的な特定領域でなく、行政や経営や業務という執行単位の特定領域が対象という違いがあるだけに過ぎません。

まとめ

上述の通り、大学の先生は「地理学は色々な仕事で役に立つ」とおっしゃってましたが、私のこれまでの仕事の経験では、地理学で学んだ全てが本当に役に立ちました

このように書くと、大学時代に地理学をかなり勉強したように誤解されるかもしれません。ところが、大学時代に地理学はそんなに大して勉強してません。でも、今になっては、もっとちゃんと大学で地理学を勉強しておけば良かったと後悔しています。

私のような「よくある後悔」をしないで済むように、大学生で学校に地理学の授業がある人は、是非、地理学を学んでみてください!


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