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奇跡しか信じない夜

僕は19歳のごく普通の大学生だ。
そんな僕が高校2年の頃に一つの詩を書いた。

目覚ましを2分遅らせ目を閉じる夜
弱く大きい
黒く眩しい
泪が耳を痛く撫でる
薄情な温かさ
冷めた優しさ
「僕は君の1日の頑張りだよ」
耳元で囁く
アイロニカルな言葉の語尾に
瞑る目はもう余ってない
生ぬるい布団
足跡つけて外に出る
行き先は丘ではなくて
最寄駅
カムパネルラは…
いない
見慣れた町に目を背ける
無感情に流れる吊革
アラベスクのイス
残酷なまでのトートロジーに
いつのまにかいつもどおりでいる
奇跡を信じない自分でいる

思春期の平凡な日常に対する鬱屈した思いをひたすらに書き殴ったこの詩に今ならこう続きを書き足したい。

見慣れない街に目が回る
満員電車に息が詰まる
いつのまにかいつもどおりがなくなって
「ノスタルジア」に着いていた


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