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赤信号みんなで渡れば怖くない?

※閲覧注意です。
いじめの描写があります。
それぞれの自己責任で読み進めてください。※









集団がとても苦手だ
幼稚園から高校卒業まで10年以上
年に一回毎年いじめにあった

それはいつも突然始まる

「おはよ」
そうクラスに入ると
シーンとする
それが無視だと気付かず
比較的仲の良いクラスメイトの所へ行こうとする
すると気まずそうに教室から出て行く
そこで初めて私は気付く
原因は思い当たった事がないのがこれまた厄介

父から無視されていた私に
無視と言ういじめは効果覿面だった
気持ちは心底辛かったが
いじめが終わるまでの間は
無遅刻無欠席で早退もせず
朝もお昼も帰りも
誰に言うでもなく声を出し続けた

大体3ヶ月で終わる
飽きるのだ
態度の変わらない私に飽きるのだ

とてつもなく消耗するが
アホらしくて絶対にその不毛な遊びに付き合わない
毎回そう決める

ある時は
「よはくを泣かそうの会」
なる物が男子の間で公に結成され
背後で突然袋バンされたり
鉛筆を顔面に投げられたり
防災頭巾の中に画鋲を仕込まれたり
よくもまあ思い付くものだ

それ以外は女子全員からの無視だった

一度だけクラス全員から無視された時に
誰も居ない瞬間
クラスの男子から
「あんま気にすんなよな」
そう言うだけ言って急いで走って行った
精一杯の親切だったのだろうけれど
後ろ姿を見ながらそう思うなら行動してみろや
そう思うが後に行動する事がどれだけ大変か思い知る


そしていじめが終わった後は
突然相談係になる
昨日まで無視していたひとが突然
「ねぇ、よはく、ちょっと聞いてくれる?」
続きはみんな大体同じだった
女子グループの誰々の悪口か
好きな男子が誰々と同じでどうしようとか
私はいつも「うん」としか返事しなかったが
何故か抱き付かれ感謝された
「聞いてくれるのよはくだけ!もう!ありがと〜!」
「うん」


高校の3年間はクラス替えがなく
地獄だった
年度始めに無視があり
女子グループの入れ替わり
どこにも入っていない私の所には
常に情報が集まった
グループの誰が次のいじめのターゲットになり
どのグループからどのグループに誰が移動し
仲良かった誰と誰が急に何かで喧嘩をし
私が好きだって知ってて誰が誰と付き合った
もう誰も何も信じられない…
大体最後は嘆きの言葉だった


どうでもよかった
それどころじゃなかったのだ
中学3年の1年間を除き
先生達は常に知らんぷりの私を見て知らんぷりを決め込んでいた
後に知ったが単独行動の私は職員会議でノーマークだったそうだ
周りを巻き込むタイプのひとが職員会議で話題になるらしい

ほーん
でもそれって私みたいな単独行動大歓迎だけでなく
犠牲になってる所謂いい子も取りこぼすよね

話しが逸れた
集団は危ない
個々の判断力が極端に鈍るのだ


一度だけ
いじめに加担してしまった事がある
新任の先生の授業が気に喰わないと誰かが言い出して
思い知らせてやろうぜと誰かが言い出して
どんどんことが大きくなり
どれかの言い出しっぺの真後ろの席だった

机の間を通れない様にスクールバッグを綺麗に並べて
授業が始まっても起立礼をせずに
言い出しっぺの合図で全員筆箱を落とそう…と
「よはく、お前、絶対落とせよ。落とさなかったら、分かってるよな」
私は念を押された
いや最早脅迫である
子どもは経験が少ないため時に平気で罪を犯す
いつも騒がしくバラバラなクラスが妙に高揚し団結していた

震えが止まらなかった
先生は教室へ入った途端に異様な空気を察し
毅然と授業を始めようとした瞬間

合図が響いた

私は
筆箱を落とした
一番後ろの席の言い出しっぺが
全員落とすかどうか見張ってるとまで言っていたのだ
スクールバッグも並べられた物を直さなかった
止めようと言えなかった
授業時間が終わるまで顔を上げる事が出来なかった



子どもの頃に習いませんでしたか?
「赤信号みんなで渡れば怖くない。この考えは一番危ないですよ」



私は赤信号で止まれるひとでありたい


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