【デザインのお仕事】オトモダチ価格のこと
作り出す仕事をしていると、わりとよく「友達だから割引して!」と言われることがある。
デザイナーに限らず、他の仕事でもあるんだろうなーと思うんだけど、わたしの場合はそれを言われた時点で、残念な気持ちになる。本当に『友達』で、相手を応援したいと思っていたら、割引してほしいだなんて、気軽に言えるはずがない。相手がそれを『趣味』ではなく『仕事』として、生きる『生業(なりわい)』としているのならなおさらだ。
少なくともわたしの場合はそうだ。アーティストの友達なら、もちろん好きになった作品は定価で買うし、作家なら書籍を買う。ミュージシャンなら音源も買うし、ライブにも足を運ぶ。友人のお店にはなるべく行く。そして本当にいいと思ったものは積極的に人に伝える。応援したいものにはきちんと対価を払って、相手の環境を支えるべきだ。
わたしが勧めたことが購買につながった、とお礼の連絡をいただくことも増えてきた。だからといって「じゃあ宣伝してあげたんだから割引して!」とは言わない。言うべきではない。だってそれは自分がしたくて勝手にやったんだから。
逆にわたしが友人からお仕事を依頼されたときに「いつもお世話になってるから、この価格でいいよ」ということは、ある。それは金銭以上のものを得られる関係であったり、時と場合による。それは作り手であるこちらが決めることだからこそ、気持ち良く『仕事』として受けることができる。
『オトモダチ価格』という言葉を使うだけで、『友達』ですらなくなる場合があるということを、肝に銘じておくべきだ。
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