余白珈琲

夫婦でコーヒー豆屋を営んでいます。生活になじむコーヒーをお届けします。 ◎https:…

余白珈琲

夫婦でコーヒー豆屋を営んでいます。生活になじむコーヒーをお届けします。 ◎https://yohaku-coffee.com/

マガジン

  • 豆袋の野鳥印

    毎月、私たちの好きな野鳥のハンコをひとつ作って、「いつものブレンド」の豆袋に押しています。これはその記録です(2023年1月~)

  • 『台所珈琲の手びき』

    2023年8月末に『台所珈琲の手びき』という冊子を発行しました。

  • お店のこと

    お店のことについて書いた記事をまとめました。

  • コーヒー豆のこと

    おしながきです。どの豆も100g600円です(定期便550円)

最近の記事

  • 固定された記事

小さな商い、健やかな生活

小さな商いであることに、愉しみや誇りをもって生活をしています。それはたとえば、ひとつの豆を仕上げて届けるために必要な費用がかさみ始めたとき、小さな店なりの答えを出すということです。 大きな商売であるほど、たった数十円の話であっても、それが何万倍もの出来事になるので、「率」の考えは欠かせません。ところが小さな店であると、それは無限の膨らみではなく、ひとつひとつの具体的な話になります。それだったら、「もう何人か、新しく気に入ってもらえるようにやってみようかな」とか「今いるお客さ

    • 豆袋の野鳥印(その23)11月『ジョウビタキ(雌)』

      「いつものブレンド」の豆袋に押している野鳥印、2024年の11月はメスのジョウビタキです。 10月の野鳥印はオスのジョウビタキだったので、2ヶ月連続のジョウビタキです。秋に渡って来て、春に去って行く渡り鳥ですが、観測地点わが家では、10月24日に今季初確認。その日以来、毎日のように声が響いたり、近所で姿を見かけたりします。待ちに待った季節。 渡って来てすぐのジョウビタキの声は、真冬に聞くそれよりも、鋭く強い印象です。越冬のためのナワバリ争いか、数羽が近くで追いかけ合ってい

      • フレンチプレスの味Ⅱ(台所珈琲の足どり④)

        フレンチプレスのような「湯をためる」タイプの道具は、味の形を整えることが得意です。前回書いたように、誰がやっても同じ味をつくることができますし、味そのものにも安定感があります(抽出の時間を安定させやすいということでした)。 しかし、苦手なこともあります。それは、味わいにふくらみを出すことです。 たとえば、コーヒー豆の中に、味が入っている箱がいくつかあるとします。ひとつの箱につき、1種類の味(酸味や苦味、甘味など)が入っています。「湯をためる」と、それらの箱をひと通りすべて

        • フレンチプレスの味(台所珈琲の足どり③)

          前回書いた「コーヒーを淹れる方法」2種類のうち、「湯をためる」について、まずは「フレンチプレス」を例に挙げてみます。 フレンチプレスは、ビーカーと金属製のフィルターで構成された、とてもシンプルな道具です。使い方も単純で、粉と湯をビーカーに入れて、抽出中は待つだけ。おわりに、フィルターを上から押し下げて、ろ過します。 シンプルな方法なので、分量と時間をはかれば、「誰でも同じように」つくることができます。味わいとしては、ろ過がゆるい(金属フィルターは目が粗い)ことによる微粉や

        • 固定された記事

        小さな商い、健やかな生活

        マガジン

        • 豆袋の野鳥印
          6本
        • 『台所珈琲の手びき』
          7本
        • お店のこと
          5本
        • コーヒー豆のこと
          4本

        記事

          コーヒーを淹れる(台所珈琲の足どり②)

          コーヒーを淹れるための道具は数えきれないほどありますが、共通して必要なものは「湯(水)」です。湯は材料でもあり、道具のひとつでもあります。 この湯の使い方という観点から眺めてみると、コーヒーを淹れる方法というのは、たったの2種類しかありません。それは、「湯をためる」か「湯をとおす」かです。 「湯をためる」とは「静」のイメージ、たとえば風呂に栓をすることです。そこにコーヒー粉を浸して、成分を引き出します。流れがないので、安定感があり、分量をはかれば同じ状態を再現しやすい方法

          コーヒーを淹れる(台所珈琲の足どり②)

          道具のいろいろ(台所珈琲の足どり①)

          昨年発行した『台所珈琲の手びき』は、生活になじむ、家のコーヒーについての冊子です。ひとつの家庭料理としてコーヒーを眺め、主に材料のこと(豆選びや水について)と、調理のこと(ドリップについて)を書きました。ふわっとさせるのではなく、さらりとした流れの中で、太い骨をつかむことができるような手引きになればと意識しました。 その中で、読書の習慣がない人にでも、気が向くサイズ感も大切にしたかったので、「書いた方が丁寧かも」と思いつつ、そぎ落とした部分があります。その代表が、ペーパード

          道具のいろいろ(台所珈琲の足どり①)

          『台所珈琲の手びき』の「はじめに」

          こんにちは。余白珈琲です。小さな海町の坂の上、夫婦でコーヒー豆屋を営んでいます。日々せっせと豆を焼き、遠くの人には郵送で、近くの人には歩いて届けています。食事や散歩、生活そのものが好きです。毎日食べている粥やみそ汁のような、質素で温かな商いが好きです。 もとをたどれば、2013年の秋、いろいろあって焙煎機を買いました。2014年に開業、2015年に廃業。2016年に再開して、妻と出逢いました。そこからはふたりで、この小さな店と共に、その日その日を愉しくやっています。 今振

          『台所珈琲の手びき』の「はじめに」

          『台所珈琲の手びき』

          降っても晴れても、自分でつくる今日の味。 生活になじむコーヒーの手引き書。ひとつの家庭料理としてコーヒーを眺め、全体像と細部の両方を意識してつくりました。ふわっとしていた部分の手ざわりを得られるような、入門書としても、見つめ直す書としてもおすすめです。 【目次】 はじめに「のれんを掲げる」 (第一部)豆と水について 「味わいを眺める」 「新鮮な豆を買う」 「好みの豆を買う」 「豆を常備する」 「白湯を飲む」 (第二部)ドリップについて 「調理を工夫する」 「おいしい味

          『台所珈琲の手びき』

          出張喫茶のお知らせ

          年に1回くらいは顔出さないとな(コーヒー淹れに行かないとな)と思える場所があることは、本当に嬉しくありがたいです。年に1回といっても、いつものコーヒーをふつうに用意しておきます。気楽にふらっとどうぞ、お待ちしております。 *11月2日(土)11時~18時 *オオノ食材店の奥の小部屋にて 大阪府大阪市北区天満3-4-5 タツタビル102号室 *コーヒーほか、オオノさんが用意するパン類の軽食やおやつもあります。一部、お持ち帰りもできます。

          出張喫茶のお知らせ

          豆袋の野鳥印(その22)10月『ジョウビタキ(雄)』

          「いつものブレンド」の豆袋に押している野鳥印、2024年の10月は雄のジョウビタキです。 わが家の付近では、毎年10月下旬にやって来て、4月(ちょうど桜が咲く頃)に北方へ帰って行く、冬の渡り鳥です。最近では、北国に帰ることなく、山地や高地に残り続け、国内で繁殖している例も珍しくないようです。 円みのあるフォルムや、お辞儀のように尾羽を振る仕草がとても愛らしく、雌雄共通でオレンジが美しいです。特に雄のジョウビタキは、濃いオレンジの部分が広く、秋冬の町の風景によく似合っている

          豆袋の野鳥印(その22)10月『ジョウビタキ(雄)』

          「よはくもの」の夢

          張り子――木や粘土でつくった型に、小さな紙片を何枚も貼って立体とし、乾かしたのちに型を抜き、中身が空洞になった物のこと。古くから、それぞれの時代や場所で手に入る材料で、多様につくられてきた、どちらかと言えば身近で生活感のある玩具です。 私たちがこの張り子に魅せられ始めたのは5年ほど前。ふらりと立ち寄った地にあった玩具館で、展示されているのを目にして、いっぺんに好きになったのでした。 元来の性質なのか、ふたりともちまちまと手を動かすことが好きで、コーヒー豆屋を営む中でも、た

          「よはくもの」の夢

          紙、いかがですか(『ペーパー余白』について)

          『ペーパー余白』は、コーヒー豆のオマケとして、毎月発行している読み物です。A4用紙1枚に、雑文や漫画、回文、なぞなぞ、季節の記録などが載っています。2020年の1月号から始まりました(毎月20日頃に発行)。 画質粗いですが、たとえばこんな感じです。 【手に入れる方法】 ①コーヒー豆やドリップバッグを買うと最新号が付いてきます。最新号以外も、お好きそうなお客さんには気まぐれで入れています。 ②特定のバックナンバーをお求めの場合は1枚30円で販売しています(オンラインストア

          紙、いかがですか(『ペーパー余白』について)

          豆袋の野鳥印(その21)9月『セグロセキレイとハクセキレイ』

          「いつものブレンド」の豆袋に押している野鳥印、2024年の9月は「セグロセキレイ」と「ハクセキレイ」です。 長めの尾羽を上下に振り、漫画のような足運びですばやく駆け抜け、くるっと華麗に飛び立ち、上空を飛ぶときは波線を描くように(ヒヨドリなどもそうですが、空を飛んでいる魚みたいです)……そんなセキレイの仲間のうち、身近で見られるのは「ハクセキレイ」「セグロセキレイ」「キセキレイ」の3種。 中でも、多様な環境への適応力のため、もっとも身近な存在になっているのがハクセキレイでし

          豆袋の野鳥印(その21)9月『セグロセキレイとハクセキレイ』

          豆袋の野鳥印(その20)8月『キジバト』

          「いつものブレンド」の豆袋に押している野鳥印、2024年の8月は「キジバト」です。 子どもの時分、野鳥にまったく興味のなかった私の耳にも届き、ものすごく印象に残っていた、ある鳥の声――「デーデポッポポー、デーデポッポポー」 なんとのんきで、魅力的で、ノスタルジックな声でしょう。長いあいだ、その声の主の姿を見ることもなく、名前すら知らなかったのですが、それが「キジバト」でした。 身近で見られるハトといえば、大きく2種がいます。 公園や駅前、海辺で群れているのは「ドバト」

          豆袋の野鳥印(その20)8月『キジバト』

          豆袋の野鳥印(その19)7月『カイツブリ』

          「いつものブレンド」の豆袋に押している野鳥印、2024年の7月は「カイツブリ」です。 潜水が大得意、ちいさな水上生活者。池や湖、河川の流れがゆるやかな場所にいます。身近で見られる水鳥でいえば、カルガモの全長が約60センチですが、カイツブリはなんと約26センチ。図鑑やネットの写真では、すべてが同じくらいのサイズ感になってしまうので、このカイツブリの「え、小さい!」という驚きは、実際に出会う面白味のひとつかもしれません。 はじめて見たときから、もうずっと惹かれているのが、クチ

          豆袋の野鳥印(その19)7月『カイツブリ』

          豆袋の野鳥印(その18)6月『コチドリ』

          「いつものブレンド」の豆袋に押している野鳥印、2024年の6月は「コチドリ」です。 黄色のアイリングがよく目立つ、小さなチドリ(全長16センチ、スズメよりやや大きいくらい)。繁殖期(夏羽)にくっきりと出る、顔まわりから首や胸にかけての黒色模様も特徴的で、白く残っている額の部分は、まるで忍者の額当て。 3月ごろ、ツバメと同じような時期に渡って来て、秋に去って行く夏鳥ですが、西日本以南ではそのまま越冬する個体も少なくないようです。実際、私たちも冬のコチドリを見かけたことがあり

          豆袋の野鳥印(その18)6月『コチドリ』