余白珈琲

夫婦でコーヒー豆屋を営んでいます。生活になじむコーヒーをお届けします。 ◎https:…

余白珈琲

夫婦でコーヒー豆屋を営んでいます。生活になじむコーヒーをお届けします。 ◎https://yohaku-coffee.com/

マガジン

  • お店のこと

    お店のことについて書いた記事をまとめました。

  • 豆袋の野鳥印

    毎月、私たちの好きな野鳥のハンコをひとつ作って、「いつものブレンド」の豆袋に押しています。これはその記録です(2023年1月~)

  • コーヒー豆のこと

    おしながきです。どの豆も100g600円です(定期便550円)

  • 暑い日のコーヒーの愉しみ方

    暑い日のコーヒーの愉しみ方、ちょっとした工夫をまとめてみます。

  • 『台所珈琲の手びき』のこと

    2023年初秋に刊行した『台所珈琲の手びき』について書いた記事をまとめました。

最近の記事

  • 固定された記事

小さな商い、健やかな生活

小さな商いであることに、愉しみや誇りをもって生活をしています。それはたとえば、ひとつの豆を仕上げて届けるために必要な費用がかさみ始めたとき、小さな店なりの答えを出すということです。 大きな商売であるほど、たった数十円の話であっても、それが何万倍もの出来事になるので、「率」の考えは欠かせません。ところが小さな店であると、それは無限の膨らみではなく、ひとつひとつの具体的な話になります。それだったら、「もう何人か、新しく気に入ってもらえるようにやってみようかな」とか「今いるお客さ

    • 「よはくもの」の夢

      張り子――木や粘土でつくった型に、小さな紙片を何枚も貼って立体とし、乾かしたのちに型を抜き、中身が空洞になった物のこと。古くから、それぞれの時代や場所で手に入る材料で、多様につくられてきた、どちらかと言えば身近で生活感のある玩具です。 私たちがこの張り子に魅せられ始めたのは5年ほど前。ふらりと立ち寄った地にあった玩具館で、展示されているのを目にして、いっぺんに好きになったのでした。 元来の性質なのか、ふたりともちまちまと手を動かすことが好きで、コーヒー豆屋を営む中でも、た

      • 紙、いかがですか(『ペーパー余白』について)

        『ペーパー余白』は、コーヒー豆のオマケとして、毎月発行している読み物です。A4用紙1枚に、雑文や漫画、回文、なぞなぞ、季節の記録などが載っています。2020年の1月号から始まりました(毎月20日頃に発行)。 画質粗いですが、たとえばこんな感じです。 【手に入れる方法】 ①コーヒー豆やドリップバッグを買うと最新号が付いてきます。最新号以外も、お好きそうなお客さんには気まぐれで入れています。 ②特定のバックナンバーをお求めの場合は1枚30円で販売しています(オンラインストア

        • 豆袋の野鳥印(その21)9月『セグロセキレイとハクセキレイ』

          「いつものブレンド」の豆袋に押している野鳥印、2024年の9月は「セグロセキレイ」と「ハクセキレイ」です。 長めの尾羽を上下に振り、漫画のような足運びですばやく駆け抜け、くるっと華麗に飛び立ち、上空を飛ぶときは波線を描くように(ヒヨドリなどもそうですが、空を飛んでいる魚みたいです)……そんなセキレイの仲間のうち、身近で見られるのは「ハクセキレイ」「セグロセキレイ」「キセキレイ」の3種。 中でも、多様な環境への適応力のため、もっとも身近な存在になっているのがハクセキレイでし

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        記事

          豆袋の野鳥印(その20)8月『キジバト』

          「いつものブレンド」の豆袋に押している野鳥印、2024年の8月は「キジバト」です。 子どもの時分、野鳥にまったく興味のなかった私の耳にも届き、ものすごく印象に残っていた、ある鳥の声――「デーデポッポポー、デーデポッポポー」 なんとのんきで、魅力的で、ノスタルジックな声でしょう。長いあいだ、その声の主の姿を見ることもなく、名前すら知らなかったのですが、それが「キジバト」でした。 身近で見られるハトといえば、大きく2種がいます。 公園や駅前、海辺で群れているのは「ドバト」

          豆袋の野鳥印(その20)8月『キジバト』

          豆袋の野鳥印(その19)7月『カイツブリ』

          「いつものブレンド」の豆袋に押している野鳥印、2024年の7月は「カイツブリ」です。 潜水が大得意、ちいさな水上生活者。池や湖、河川の流れがゆるやかな場所にいます。身近で見られる水鳥でいえば、カルガモの全長が約60センチですが、カイツブリはなんと約26センチ。図鑑やネットの写真では、すべてが同じくらいのサイズ感になってしまうので、このカイツブリの「え、小さい!」という驚きは、実際に出会う面白味のひとつかもしれません。 はじめて見たときから、もうずっと惹かれているのが、クチ

          豆袋の野鳥印(その19)7月『カイツブリ』

          豆袋の野鳥印(その18)6月『コチドリ』

          「いつものブレンド」の豆袋に押している野鳥印、2024年の6月は「コチドリ」です。 黄色のアイリングがよく目立つ、小さなチドリ(全長16センチ、スズメよりやや大きいくらい)。繁殖期(夏羽)にくっきりと出る、顔まわりから首や胸にかけての黒色模様も特徴的で、白く残っている額の部分は、まるで忍者の額当て。 3月ごろ、ツバメと同じような時期に渡って来て、秋に去って行く夏鳥ですが、西日本以南ではそのまま越冬する個体も少なくないようです。実際、私たちも冬のコチドリを見かけたことがあり

          豆袋の野鳥印(その18)6月『コチドリ』

          (追記)豆の値段

          コーヒー豆の値段を「100g600円」にしています(定期便の場合は100g550円)。定番の「いつものブレンド」も、年に4回だけ登場する「季節の豆」も、すべて同じ値段です。 淹れ方や好みにもよりますが、「100g」というのは「7~8杯分」くらいの量です。つまりこれは、「1杯75円~85円」くらいの値付けということです。高くもないし安くもない、中途半端な値段かもしれません。 この値段は、わが家の金銭感覚によるところが大きいです。長い年月で積み上がった、逃れようのない、個人的

          (追記)豆の値段

          ちょうどいいコーヒー牛乳(冷)のつくり方

          冷たいコーヒー牛乳は、つくる順番にコツがあります。 ①いつも通り淹れ始める いつもホットコーヒーを淹れている、なじみのあるレシピでつくり始めます。豆の挽き方や湯温、注ぎ方なども特別に変えることはありません。 ②抽出をふだんの半量で止める 単純に、半分しか抽出しないことによって、濃いめのホットコーヒーをつくります。 ③抽出したコーヒーと同量の牛乳を注ぐ コーヒーの入っているサーバーに牛乳を注ぎます(ぬるいコーヒー牛乳ができます)。コーヒーと牛乳が半々で、結果として、全体量

          ちょうどいいコーヒー牛乳(冷)のつくり方

          ミルの掃除

          これからの季節におすすめなのが、ミルを掃除することです。 ドリップバッグなどをつくるときに、店で使っている電動ミルは、毎日分解して掃除するようにしています。一方、家で普通に使っているミルは、ふと思い立ったときにだけ分解します(季節に一回くらいでしょうか……)。毎日掃除する店のミルでも、たった一日で結構な微粉がたまります。 ミルを掃除すると、コーヒーの味が原点にかえって、とてもすっきりします。後味がのびやかになって、冷めたときに味が膨らみます。 こればっかりは、工夫などは

          ミルの掃除

          わが家のチーズケーキ

          窓辺の掃除をして、風が気持ちよくて、畳に寝転がっていると、もう何もいらないなと思う。もう何もいらないなと思いながらも、昨晩焼いて冷やしていたチーズケーキはもちろん愉しみで、台所へ向かい、深やきのコーヒーを淹れる。 久々にチーズケーキが食べたいな、つくるか、と思い立ったとき、昔の『ペーパー余白』にレシピを載せたことがあったなと思い出し、ぺらぺらめくっていると、第3号(発行は2020年の3月)にあった。今の気分的に、生クリームがやたらと偉そうに見えたので、かわりに水切りヨーグル

          わが家のチーズケーキ

          お茶パックでつくる水出しコーヒー

          氷を使わないアイスコーヒーとしては、水出しコーヒーがあります。 水出しのナイスなところのひとつは、風味の変化がゆるやかなところです。そのため、弁当的なコーヒーとして最高です。前日に仕込んでおいて、ボトルに入れて職場に持って行くとか、そういうときにぴったりです。 また、ひとり暮らしを始めたときに冷凍庫なしの生活だったことを思うと、氷が不要だというのは、なかなか嬉しいところです。 当店でも毎年5月ごろから、「水出しコーヒーのもと」(あとは漬けるだけのもの)を販売していますが

          お茶パックでつくる水出しコーヒー

          ちょうどいいアイスコーヒーのつくり方②(氷の調整)

          もうひとつ、ちょうどいいアイスコーヒーをつくるための方法があります。それは、水割りにするということです。氷がとけて水になるのであれば、同じバランスで加水をしても、ちょうどいいだろうという発想です。この方法は氷の量が少なくて済むので、冷たすぎるのが苦手な人にもおすすめです。 基本はここでも同じで「いつも通り」です。いつもの豆をつかい、いつも通りの豆の量で、いつも通りの挽き方や注ぎ方で淹れていきます。そして、抽出の量だけ、いつもの半量で止めます。 そこに、抽出したコーヒーと同

          ちょうどいいアイスコーヒーのつくり方②(氷の調整)

          ちょうどいいアイスコーヒーのつくり方①(いつも通り)

          まず、アイスコーヒーの基本から。 アイスコーヒーをつくるときには、ホットコーヒーを手がかりとします。自分にとってちょうどいい「いつもの」があれば、そこからつくっていくのが気楽です。別のものとして考えてしまい、「それ専用に豆を買わなければ」とか「挽き方や豆の量を変えなければ」とか、そうなると面倒で大変です。まずはいつも通り、慣れ親しんだところからやっていきましょう。 ≪いつもの豆をつかう≫ ホットとアイスとでは、味の感じ方が異なりますが、無理にアイスコーヒー用の豆を用意する

          ちょうどいいアイスコーヒーのつくり方①(いつも通り)

          暑い日のコーヒー

          「昼間は暑いくらいですね」という会話が増えてくると、それと呼応するように、お客さんからの注文に小さな変化があります。もちろん、季節を問わず同じ豆を好まれる方も多くいらっしゃるのですが、こういうタイミングでは、いつもの注文に「ひとつ浅いもの」あるいは「ひとつ深いもの」が混じったり、何かしらの移ろいがある方もめずらしくありません。 少々暑くなってくると、味の感じ方や欲する味わいが変わります。それはコーヒーに限らず、ふだんの食事でも同様なので、理屈はさておき、誰にでも思い当たるフ

          暑い日のコーヒー

          冷めてもおいしいコーヒー

          冬が近づいてくると、「そういえば、コーヒーが冷めるのもはやくなってきたなあ」ということを、ふと思ったりします。こればっかりは、逆らうことのできない移ろいです。でも、そのせいで気ぜわしくなるもの嫌なので、「冷めてもおいしい」ということを、店の味としてすごく大切にしています。焙煎もブレンドも、まずはそういう「味」から考えます。 誤解を恐れずに言えば、当店は「香り」に重きを置いていません。どうでもいいというわけではなく、「味」をつくっていく中で自然と付いてくるもの、くらいに思って

          冷めてもおいしいコーヒー