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【美術展レポ】エッシャー 不思議のヒミツ、豊田市美術館

2024年度は家族で月イチ美術展めぐりをしています。わたしは神奈川県在住のため、主に関東近郊の美術館へ行くことが多いです。先月、親戚のイベントに参加するため愛知県豊田市を訪れました。

ある日の新聞記事で、豊田市美術館のことが紹介されていて興味があったことと、今回の行き先と近いことから、豊田市美術館に行くことにしました。

豊田市美術館では、企画展で「エッシャー 不思議のヒミツ」が開催されていました。

【開催概要】
会期:2024年7月13日[土]-9月23日[月]
開館時間:10:00-17:30[入場は17:00まで]
休館日:月曜日[7月15日、8月12日、9月16日、9月23日は開館]
主催:豊田市美術館、NHK名古屋放送局、NHK エンタープライズ中部

https://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/escher


結構混雑していましたね


幾何学的で緻密な版画

同時代のアートのみならず過去の美術からもインスピレーションと影響を受けたマウリッツ・コルネリス・エッシャー(1898-1972)は、幾何学的な構成と厳密さを追求して、視覚芸術の本質に迫る作品を生みだしました。多才で先進的なこの芸術家は、幻視的イメージや錯視を用いた作品で独自の芸術世界を創造した存在であったと言えます。エッシャーが自身の独創的な世界を形づくる鍵を見出したのは、数字や幾何学、数学の世界においてだけではありません。奇想の天才として、芸術的言語を幅広く駆使し、それらを融合させて魅力的な新しい道を切り開いたのです。この点で、エッシャーは美術史における例外的な存在であり、幅広い層の人々の関心を惹きつけてやまない人物だと言えます。

https://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/escher

描写がとても細かく、こういった作品は写真では伝わりづらいですが……、雰囲気だけご紹介します。

夜のローマ コンスタンティヌス教会
1934年 木版

天地創造の4日目
1926年 木版

モラーノ・カラブリア州
1930年 木版

写真球体を持つ手
1935年 リトグラフ
球体の中にエッシャーがいる…

三つの球体Ⅱ
1946年 リトグラフ


日本の浮世絵との違い

日本の浮世絵の場合、「下絵を描く」、「版木を彫る」、「紙に摺る」という3つのプロセスが、それぞれ専門職として分業化されています。しかし、エッシャーは全工程をひとりで作業していたそうです。


色彩豊かな版画もある

カラフルな版画もありました。繰り返されるモチーフを規則的にリズミカルに並べていて、わたしは心地よさを感じました。

太陽と月
1948年 木版
この作品がステキだったのでポストカードを買いました

渦巻き
1957年 木口木版 木版

依頼を受けて制作した作品
新年用のグリーティングカード、どれもステキ!
手前から 水1956年  火1955年  空気1954年  地球1953年


メタモルフォーゼⅡ
1939〜40年 木版
横幅4mちかくもあります…

メタモルフォーゼⅡ
1939〜40年 木版
部分的に近づいて撮影すると、細かい描写がわかります


子どもが楽しめるコーナー

エッシャーは、図形を反転または回転させて増殖させる「平面の正則分割」の手法や、錯視を利用した「だまし絵」で知られます。展示会場の随所には、子どもも楽しめる体験型のコーナーがありました。

体験型コーナー


豊田市美術館

豊田市美術館の建物にも興味があって訪れました。

1995年に開館した豊田市美術館は、これまで鑑賞される方一人ひとりが作品と対話し、それぞれの作品との関係をつくっていただく場となることを目指して、展示や教育普及活動を行ってきました。当館の設計は、美術館建築で名高い谷口吉生、庭園はアメリカのランドスケープ・アーキテクト、ピーター・ウォーカーによるものです。

https://www.museum.toyota.aichi.jp/about/architecture.html
豊田市美術館のロゴをみつけた
アプローチを進むと…
どーんと直方体の建物が現れる 敷地がひろーい


どこを撮影してよいかわからない広さ


建物と青空がマッチしてとても綺麗です


訪れたのが40℃近い炎天下の7月でした。素敵な建物でしたが、じっくりみるには暑すぎました……。

常設展へ行くと、建築のすばらしさがよくわかりました。光がたくさん入る大きな吹き抜け空間があったり、展示室もゆったりと明るい空間で、作品がのびのびと展示されているのが印象的でした。

展示室に向かう階段


2階の小窓から1階をのぞく
おおきな作品を上から見学することができます


どこもかしこも光が差しこんでいて明るい


* * *


中3の長女は、エッシャー展に夢中でエッシャー展のみ見学していました。こういう作品が好きなんだなと、あらためてわかりました。いろいろな展覧会に一緒にいくとだんだんと好みがわかるものですね。

親戚のイベント前の限られた時間での見学となってしまいました。建物も素敵で、もう一度ゆっくり訪れたい美術館でした。しかしゆっくりするなら、すずしい季節に訪れたいです……。


最後までお読みくださりありがとうございました。

美術展レポはこちらにまとめています。



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