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私と赤子と離乳食

私はこれまでありとあらゆる面倒なことから逃げてきたタイプの人間だ。
なので、子供を産むとき、正直不安だった。

子供の世話って、面倒なことばっかりじゃないの?

ちゃんとオムツ替えられるだろうか。
ちゃんとお風呂入れられるだろうか。
ちゃんと絵本読んであげられるだろうか。
ちゃんと寝かしつけられるだろうか。
ちゃんと…ご飯食べさせてあげられるだろうか。

私、ちゃんと母親になれるんだろうか。


生まれた赤子は、それはとても可愛かった。

劇団ひとりとキンタローを足して2で割ったような顔立ちの私から、
なぜ石原さとみが生まれてきたのか。

世界の七不思議に入れても過言ではないくらい不思議な出来事だが、私のお腹から、えらくべっぴんな赤子が出てきた。

そして、不安に思っていたあれこれは、意外と面倒ではなかった。
オムツ替えも、沐浴も全然苦ではなかったし、絵本もほぼ毎日読んでいる。(赤子が聞いているかは別にして)
寝かしつけにいたっては、全日本寝かしつけ選手権大会に出場すれば上位を狙えるほどのプロだ。

だが、問題は離乳食。
これだけは今のところ仲良くなれそうな気がしない。

赤子が5ヶ月を迎えた頃から始めたので、もう2ヶ月になろうとしている。
にも関わらず、慣れない。
面倒なんてもんじゃない。七面倒くさすぎる。赤子のうんちよりも、くさすぎる。

フリーズドライに、ライスシリアル。野菜フレークに、瓶詰めご飯。
便利な商品に、できるだけ頼ってみた。

だが、ナスやブロッコリー、玉子なんかは、お金で解決できない。便利な商品が存在しない。
それらは週末に多めに料理してフリージングか、食事の直前に作るほかない。

『20分茹でて作った!耳かき一杯分の卵黄粉』なんて商品を作ったらバカ売れするんじゃないかな。

とにかく、私はありとあらゆる手を使って…いや、お金もかけて、面倒から逃げているはずなのに、離乳食が面倒なのだ。

食べるとき、お湯で溶かして、レンジでチンして、ライスシリアルと混ぜて、味と温度をみるために手のひらにとって、味見する。

熱いな、混ぜる、味見する。

江戸時代の将軍に料理持っていくのか、ってくらい慎重に作るのだ。

面倒だけど、アレルギーが出たら困る。
口の中が火傷したら困る。
我が家の石原さとみに何かあっては困る。

いろんなものを食べさせてあげたい気持ちと、安全に食事をさせたい気持ちと、面倒くさい気持ちが私の中で葛藤している。
もう、毎日葛藤している。

葛藤しているが、面倒くさい気持ちが勝ったところで食事をしないわけにはいかないので、頑張っている。

そして、1日2回の食事になった日、泣いた。
泣いたのは赤子ではなく、私だ。

面倒くさいだけでない。不安だったのだ。
量も味も質もアレルギーのこともわからなくて日々不安なのだ。

世の中のお母さんたち、すごい。
便利な商品に頼らないお母さんたちは一体、何者?
超人?鉄人?神?仏?
毎日頑張ってるお母さんたち、本当にすごい。

私は現在進行形で苦しみもがいているingだけど、唯一の救いは、赤子がニコニコしながら全部食べてくれること。

『あーん!モグモグ!あっ!美味しいね!』
って全力でやりながら食べさせてたら、赤子が爆笑しはじめて食べなくなっちゃうから加減が難しいのだけど。

赤子のために、私は今日も頑張ろう。
そのうち、楽になる日がくるはずだ。


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