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メーカーとスーパーと私の見立て

2023年7月12日。
スーパーで買い物をしていて、一時期に比べ値段が下がった商品をちらほら目にするようになってきた。例えば、高級食材と化していたバターは違和感のない水準に戻っている。消費者物価統計を見ると、前年同月比で下落へと転じたのは4月。下げ幅はそのご順調に拡大している。個人的には食後に必ず食べるリンゴがキロ2.99ユーロから2.49ユーロに下がったことが嬉しい。

通常価格は高騰した水準に据え置かれているものの、特売の形で時々、安くなっている商品もある。筆者の購入頻度の高い商品ではヨーグルトとトイレットペーパーがこれに当たる。

トイレットペーパーは長年、エシティ系の「Zewaウルトラ・ソフト」を愛用してきた。価格は8ロール入りのパックで3.99ユーロであることが多かったと思う。ロシアのウクライナ進攻を受けてこれが5.29ユーロに上がってしまった。円に換算(1ユーロ156円)すると800円を超える。「いくら何でも高いよな~」と思い、他の商品に乗り換えた。ここ1年ほどは、プライベートブランド「REWEベステ・ヴァール」の代物を使ってきた。残念ながらZewaウルトラ・ソフトは安売りの対象とならなかった。

だが、最近になってZewaウルトラ・ソフトの値段に動きが出てきた。ここ1カ月で安売りが2度も行われたのである。一度目は3.99ユーロと従来の価格であり、迷わず購入した。二度目は4.39ユーロとやや高めだったが、製造コストの上昇を踏まえれば仕方がないだろうと思い購入した。
この小刻みな特売と価格設定の背後に何があるのだろうか。筆者は価格を巡るメーカーとスーパーの攻防という構図を超えた問題があると想像している。

エネルギー価格の高騰を受け川下製品の価格は上昇した。価格転嫁しなければ採算が合わないわけだから当然だろう。だが、値段が上がれば上がるほど、買い手は減少するというのは需要曲線の教えるところである。販売減が長期化すれば、メーカーは過剰な生産能力と労働力を抱えることになり、いつまでも続けることはできない。

では、どの程度の価格ならば採算を取れるだけの需要を確保できるのだろうか。特売はその最適解を探る観測気球として使われているのではなかろうか。この見立てが正しければ、Zewaウルトラ・ソフトの店頭価格は近い将来、一定程度下がったうえで安定するはずである。

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